ギフトマナー辞典
ギフトの老舗シャディが贈るGIFT MANNERS
メニュー
伝統的な行事食で家族の健康を守る
行事食
 

伝統的な行事食で家族の健康を守る

四季折々の行事食を楽しめるのは、日本の大きな魅力のひとつといって良いでしょう。一方、年々、用意する家族は減っているともいわれていますが、親から子へと脈々と受け継がれてきた伝統は忘れないでいたいところです。代表的な行事ごとの献立やその意味についてまとめました。手作りにチャレンジしたり味わう時などの参考になさってください。

行事食とは

特別な日に食べるもの

お正月を始めとして日本には季節ごとにさまざまな行事がありますが、それぞれの行事の折りに食べる特別な料理を行事食といいます。現在では一年中あらゆる素材を手に入れることができますが、かつてはそうではありませんでした。せめて年中行事やおまつりの時にはごちそうを食べ、しっかりと休息をとって家族の幸せと健康を願うという意味が込められていたのです。
行事食を用意するような特別な日は、服装や室礼(しつらい)なども日常とは違うものにして、生活にけじめをつけるという意味も込められています。あらたまった空間で旬の素材をたっぷりと取り入れた特別なお膳を囲んで栄養を摂取し、次のシーズンに備えたのです。

地方ごとの特色も豊か

行事食と一口にいってもその形はさまざまです。たとえば、お正月の行事食としてお雑煮は欠かせませんが、日本全国各地にいろいろなタイプが存在しています。大きく分けて、関東では角餅、関西では丸餅がよく使用されますが、汁の中にはその土地の旬の特産物が入っています。四季はもちろん地方色を豊かに感じることができる行事食なのです。ぜひ、次の世代に継承していきたいもののひとつといえるでしょう。

手作りは難しい?

しかし、残念なことに行事食を手作りする家は年々減少しているといわれています。作ったとしてもお正月だけ、端午の節句だけというように、すべての行事食を作っているような家庭は今や稀な存在といってもいいでしょう。
「行事食を作ってみたいけど難しそう」という声もよく聞きます。しかし、一度手順を覚えてしまえば毎年同じものを作ればいいわけですし、けっして難しいものではありません。この機会にチャレンジしてみる価値は大いにあるといえるでしょう。
もちろん、どうしても手作りしなくてはいけないというものでもありません。時期になるとスーパーやコンビニに出来合いのものが並ぶので、そういったものを購入しても構わないのです。忙しい毎日を過ごしていて自分で作るのは難しいとしても、せめてそういったものを利用して味わうことだけは忘れずにいたいものです。

代表的な行事食

おせち料理

代表的な行事食といえば、お正月のおせち料理です。三段から五段のお重にいろいろな料理を詰めますが、とくに大事なのが一の段に入る数の子、黒豆、田作りまたはたたきごぼうの「三つ肴」です。関東では田作り、関西ではたたきごぼうを入れるところが多くなっています。
それぞれの料理には家族の健康を願う意味が込められていることが、おせち料理の大きな特色です。たとえば、黒豆には「家族全員がマメに過ごせますように」と、また、数の子には「子孫繁栄しますように」と用意されます。
かつては、どのお重に何を詰めるかしきたりが守られていましたが、最近では彩りを重視して自由に詰められたものも少なくありません。年末になると予約をスタートする有名ホテルや一流レストランも多く、フレンチおせちやイタリアンおせちなどの斬新な商品も人気です。

うなぎの蒲焼

夏の土用の丑の日に食べるうなぎの蒲焼も、現在でも多くの人に認識されている行事食のひとつでしょう。しかし、実は江戸時代からの習慣で行事食の中では比較的新しい方です。
夏バテをしやすい土用の丑の頃に栄養豊富なうなぎを食べるというのは、栄養学的にも理にかなっています。このように行事食はただ華やかなだけではなく、その季節ごとに体に必要な栄養を取り入れることができるようになっているのも特徴のひとつです。昔の人々の知恵が込められているといっても良いでしょう。
また、うなぎの蒲焼はその発祥から鰻屋で食べるもので、家庭で一から手作りされることはほとんどありません。このように、出来合いを利用して伝統が受け継がれている例もありますし、無理せずにあくまでも楽しく味わうようにしたいところです。

雛祭り・端午の節句

3月3日のひな祭りには女の子が美しく成長するようにと願いを込めて、白酒やひなあられをいただきます。女の子のいる家はお雛様や桃の花を飾るなど、ひな祭りならではの室礼で整えられます。
一方、5月5日の端午の節句には柏餅がつきものです。柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちることがありませんが、このように親から子へと絶えることなく命が受け継がれていくようにとの願いが込められています。男の子のいる家では鯉のぼりを立て、五月人形を飾ります。

冬至のかぼちゃ

1年でもっとも夜が長い冬至の日にかぼちゃ料理を食べると、風邪をひかないといわれています。柚子を浮かべた柚子湯に入る習慣もありますが、ビタミンをしっかりととって、ゆっくりとお風呂につかって体をあたためれば、風邪に強い身体を作ることもできるでしょう。
このように、行事食は科学的な観点からもその時期に食べたい料理でもあります。日本古来の伝統を守るという意味はもちろんのこと、健康重視の人もぜひ生活の中に取り入れてみてください。