寺院や神社への「寄進」ってどういう意味?
神社や寺院で「寄進札板」というものを見た経験、ありませんか?人の名前がズラリと書いてある板状のもので、場所によっては石碑になっているところもあります。寄進札板とは、「寄付してくれた人の名前を紹介するもの」であり、神社や寺院による感謝の意を込めた言わば「御礼」代わりの行為なのです。ここでは、古来より続く「寄進」と言う文化について解説していきます。
目次
寄進=寄付?
かつてはお金より「土地」を差し出すケースが多かった?
「寄進」という言葉は「寄せまいらせる」という意味です。つまり「寺院や神社などに金銭や土地を寄付する行為」のことを言います。わかりやすい例を挙げると、賽銭箱に金銭を入れる行為も「寄進」にあたり、つまり自主的な行為と言えます。我が国において寄進の文化が盛んに行われていたのは、平安時代のこと。当時は各地で土地開発が進んでおり、持っている土地を貴族や寺社に寄進することによって、政治的な保護を受けられたようです。そして、その行為が後に荘園成立の一因になったと言われています。さしづめ、現代で言うところの「ふるさと納税」に似た役割と言えばわかりやすいでしょうか? つまり、土地や金品を差し出す代わりに、国税などの優遇措置があったのです。無論、現代における「寄進」は信仰心から行う方も多いかと思いますが、多くの方は見返りのない自発的な良心行為でしょう。
宗教活動に密接な「寄進」
何故この様な文化が現代まで続いているのかと言うと、寺院や神社、つまり宗教活動自体に生産性がないためです。つまり、寺院や神社には確固たる収益システムが無いため、かねてより、米や農作物、さらには建物の改修費から労働力の全てに至るまで、寄進によって賄われないと破綻してしまいます。そしてその代わりに僧侶は教えを説くことで人々を支えてきたのです。つまり、教えの対価を寄付という名目で預かってきたという訳です。
「奉納」と「寄進」の違いとは?
「寄進」に近い言葉として「奉納」があります。この差異はズバリ「贈るもの」にあります。「奉納」は物品だけでなく、芸能や競技などを捧げる場合、つまり無形のものを差し出す際にも使えますが、「寄進」は物品に限ります。さらに言うなれば、「奉納」は神仏そのものを対象としていることに対して、「寄進」は神仏を祀っている神社や寺院を対象としているからに他なりません。ちなみに、近い言葉の中に「寄贈」というものもありますが、これは人に物品を与えることで、基本的に神仏やそれにまつわる施設を対象にした場合は使いませんので、覚えておくと良いでしょう。
寄進した金銭の使われ方と寄進する方法
寄進した金銭は何に使われているの?
前記した様に、お賽銭箱に入れる「賽銭」も寄進の一つとされます。また、お賽銭以外にも、神社には寄付するための確固たる方法があります。方法は後に紹介しますが、ここで紹介すべきことは、「寄進した金銭は何に使われているのか?」ということです。施設の大きさによって金額も変わってくるので、一概にそれが全てとは言い切ることはできません。ただ、一般的には「神主さんや巫女さんの手当て」や、「神社や社務所の改修や運営費」として使われている様です。また、震災などの天災によって困っている方への支援として使われるケースもある様です。ちなみに、寄進できるものは金銭のみならず、「お酒」を納めることができるのはあまり知られていないでしょう。この場合は、「献酒」または「御神前」と表書きを記して社務所などに差し出しましょう。
賽銭以外に寄進する方法ってあるの?
賽銭ではなく、いくらかのお金を寄進したいと考えるなら、奉書紙にお金を包み、そこに名前を書いて社務所などに差し出しましょう。神官の方が直接供えてくれるところが多い様です。また、寄進したい神社があるけど、社務所が開いている時間に行けない、もしくは場所が遠いといった場合は、振り込みでも受け付けてくれるところがあります。場所によっては受け付けてくれないところもありますので、事前に調べてみると良いでしょう。さらに、何名か募って連盟で寄進する場合は、奉書紙に全員の名前を入れ、お金を包んで社務所に差し出しましょう。その際に気をつけるべき点は、名前の書き順です。右から左に流すのが決まりとなっており、目上の人から順に右へ書き込んで行きます。友人同士など、同格者が挙(こぞ)って寄進する場合は、五十音順で書き記すのが良いでしょう。
最後になりますが、神社や寺院への寄進は、当然個人の善意からなる行為です。お賽銭を投げる際に、何かお願い事をする様に寄付するのも良いでしょう。しかし、かねてより行事ごとにお参りしていた神社や寺院が未来永劫残る様に、感謝の意を込めて寄進するのも良いでしょう。
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