ギフトマナー辞典
ギフトの老舗シャディが贈るGIFT MANNERS
メニュー
三伏とは……三伏の候について
メールや手紙の季語・時候の挨拶
 
暑中見舞い
 

三伏とは……三伏の候について

「三伏」は「さんぷく」と読み、中国から伝わった陰陽五行説に関わりのある言葉です。日常的に使われる言葉ではないので、その意味や言葉そのものを知らない人も多いのではないでしょうか。三伏はある特定の日を表す言葉で、時候の挨拶の言葉や俳句の季語としても使われています。この記事では三伏の言葉の意味や使い方についてなどご紹介していますので、ぜひ参考になさってください。

三伏とは

陰陽五行説とは

三伏について知るには、まず陰陽五行説を知らなければなりません。陰陽というのは、物事や自然界のあらゆるものを陰と陽に分けて考える思想のことを言います。古代中国で発展した思想で、例えば太陽は陽で月は陰、奇数は陽で偶数は陰といったように、自然界にある万物すべてを陰か陽かに分類するものです。
また五行というのは、自然界は5つの木火土金水(もくかどごんすい)という要素に分けられ成り立っているという思想のことです。自然界が構成されているのは、この木火土金水が循環して巡り、万物を生成しているからだと考えられています。ここに陰陽をあてはめたのが陰陽五行説です。

五行の作用の仕方

陰陽五行説での5つの要素はそれぞれが影響を与え合っており、良い作用を生む組み合わせと悪い作用を生む組み合わせと相乗効果を上げる組み合わせとがあります。良い作用を生む組み合わせとは、木が火を生み火が土を生み土が金を生み金が水を生むというようにそれぞれが次の要素を生む循環になっていることです。これを「相生(そうじょう)」といい相性がいいことを表します。
一方、対角にある要素に対してはそれを阻む循環になるため、「相剋(そうこく)」といい相性が悪いことを表します。木は金に弱く火は水に弱く土は木に弱く金は火に弱く水は土に弱いといった流れです。これが悪い作用を生む組み合わせです。
もうひとつの「比和(ひわ)」は相乗効果を生む組み合わせで、同じ要素同士つまり木は木、火は火、土は土、金は金、水は水との組み合わせは相乗効果で高め合える組み合わせとなります。ただしそれが良い方向に作用すればますます良くなりますし、悪い方向に作用すればますます悪くなるということです。

五行と三伏との関係とは

三伏は夏至の後の庚の日のことで夏のもっとも暑い時期のことを表しているのですが、なぜこれが陰陽五行説と結びつくのでしょうか。三伏には夏が関係しますが、季節も五行に分けて考えることができるところから始まります。木が春で火が夏、土は土用を指し金が秋で水が冬に当てはまります。
庚は甲乙丙丁戊己庚辛壬癸からなる十干のひとつで、古代中国から伝わり暦や方角などを表す言葉として使われてきました。これを五行に当てはめると庚は金の陽になり、金の陰である辛よりも金の要素が強く出ます。一方、夏は五行では火となり、庚の金は秋になります。火は金を溶かすため金は火に弱い相剋の関係となり、秋の要素を持つ庚の日でも夏の場合は夏の暑さに負けてしまうため夏至以降の庚の日は暑さが厳しい日とされるのです。

三伏の候とは

三伏の意味とは

夏至の後の庚の日は何度が巡ってきますが、その中でも3回目の庚の日を「初伏(しょふく)」、4回目の庚の日を「中伏(ちゅうふく)」、立秋の後の最初の庚の日を「末伏(まっぷく)」と言い、これら3つの総称が三伏(さんぷく)です。
この日は新しいことを始めたり旅に出たりすることは慎んだほうがいい日とも言われます。伏せるという字が使われる理由は、季節は夏の火で火は庚の金であることから夏の気が盛んで秋の気を伏せてしまうという意味からきています。五行による季節の夏と、秋の日を表す庚が火と金で相剋にあり、相性が悪い日であることから凶日と考えられているからです。

時候の挨拶に使われる意味とは

時候の挨拶とは手紙の書き始めに添える季節ごとの言葉のことで、その中に「三伏の候」という言葉があります。三伏は暑い夏の日のことなので、暑中見舞いに使われることが多い言葉です。庚の決まった日を指しますが、ここでは三伏を指す夏を意味するので季節を表す時候の言葉として使われるのでしょう。
同じく夏の暑い時期に使われる時候の挨拶の言葉としては、「大暑の候」というのがあります。これは7月23日頃から立秋までの間に使うことができる言葉です。大暑は立秋までで、三伏は立秋の後の庚の日も意味しています。二つの言葉は若干時期がずれると言えますが、夏の暑い日を表現するのにはどちらも当てはまる表現で一般的には大暑の候が使われることがほとんどです。

三伏の時期には

五行は、内臓など体の部位にも当てはめて考えられます。庚にあたる金は、肺や大腸を指し示します。火の勢いに負けて金の力が弱まると、肺や大腸にも影響を与えてしまうと言えるでしょう。
暑さが強すぎると、冷たい飲み物や食べ物をたくさん取ってしまいがちです。また暑いからと冷房で体を冷やし過ぎてしまうこともあるでしょう。度が過ぎると体がまいってしまいます。この時期には暑くても暖かい食べ物や飲み物をとり入れて体を労わるのも大切でしょう。