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魚の骨までも有難くいただく骨正月
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魚の骨までも有難くいただく骨正月

お正月といわれれば1月1日のこと、三が日、松の内をイメージする人が多いはずです。しかし実はそのほかにもお正月と呼ばれるタイミングがあります。その中の一つが骨正月です。日本古来の行事ではありますが、世間一般にはあまり広く知られていないかもしれません。そこでここでは、骨正月の意味やどのように過ごす日なのかについて詳しく紹介していきます。

骨正月とは

二十日正月と呼ばれることが多い

骨正月よりも一般的な呼び方とされているのが二十日正月です。二十日正月とは正月の終わりになる節日のことで、季節の変わり目にあたるためお祝い事を行います。お正月になると、神様がたが各家に訪問します。そして神様たちがそれぞれの場所に戻る日がこの二十日正月といわれています。お正月を前にして、お飾りを門前や扉などにつけている家庭も多いでしょう。このようなお正月飾りを全て片付けるのが、この二十日正月といわれています。おせちをはじめとして、お正月ならではのごちそうを出すでしょう。もしこのごちそうが残っているのであれば、二十日正月までに食べ納める日でもあります。正月の祝い納めということで、今ではほとんど見られませんが物忌みの日ということで昔は仕事を休んでいました。

骨正月は西日本で呼ばれることが多い

二十日正月が一般的な呼び名ですが、地方によって名前が異なります。ここで紹介する骨正月は、主に西日本で使われることの多い言葉です。なぜこのように呼ばれるようになったか、それは正月祝いに塩ぶりの頭や骨をじっくり炊いて、酒や塩で味付けをする習慣があったためです。じっくり炊くことで骨なども結構柔らかくなります。このため、骨も含めてきれいに食べつくすことも可能でした。このような関係もあって、西日本では骨正月と呼ばれるようになったわけです。ちなみにこの正月祝いでは、魚の頭まできれいに食べつくすのが一般的でした。このため地域によっては頭正月と呼ぶこともあります。

そのほかにもいろいろな呼び名がある

二十日正月に正月祝いのごちそうやお餅などを食べつくす行事は日本各地で行われています。しかし西日本の骨正月のように、異なる呼び名で伝わっている地域もみられるようです。例えば石川県では乞食正月や奴正月、群馬県では棚探し、岐阜県はフセ正月、岩手県では二十日ワッパカという呼び名が使われることもあります。しかし呼び名が異なるだけで、実際に行っている風習は一緒です。さらに中国地方の一部地域では二十日正月に麦飯ととろろ汁を食べる習慣があります。この関係で、麦正月という用語を使っている地域もみられます。

骨正月の楽しみ方

地域によって異なる食べ物

骨正月では特定の食べ物を食して過ごすというのが一般的です。では具体的にどのような食べ物を食すかというと、日本全国で統一した決まりはありません。地域によってかなり違いがあります。大まかにみると、関東地方では塩鮭・関西ではぶりの頭や骨を大根や大豆、昆布、ゴボウ、酒かすなどと一緒に煮込んで食べる習慣がみられます。関西の場合、しっかり炊き上げているので骨まですべて食べきれるという意味合いで骨正月と呼ばれるようになったのは先に紹介した通りです。
しかし細かく見ていくと、さらに同じ地方でも地域ごとに異なる食べ物を供する傾向もみられます。例えば京都府では、鰯もしくは鮭のアラと大根の煮つけを出すところが多いようです。佐賀県鹿島市では「ふなんこぐい」と呼ばれる料理を出すようです。ふなんこぐいとは言うなればフナの昆布巻きを指します。静岡県の東部地域を中心として、まゆ玉雑煮というものを出す地域も見受けられます。まゆ玉雑煮とは、小正月に作ったまゆ玉団子をベースにして、雑煮にしたものです。もし骨正月のことを知らなかったのであれば、自分の地域ではどのような食べ物を伝統的に食していたか調べてみると面白いかもしれません。

二十日正月ととろろ

先ほど西日本の一部地域では、麦正月と呼ばれるほど麦飯ととろろをお正月に食べる習慣のあるところもみられると紹介しました。麦料理を食すのには大きな意味合いがあります。まず、麦は五穀の一つです。今では白米を食べるのが一般的になりつつありますが、古来日本では麦は米に次いで重要な主食とされていました。つまり二十日正月に麦を食すことで、お米以外の作物の豊穣を祈願するという意味合いも含まれています。
さらに麦ごはんととろろを食べるというのは、合理的な側面もあります。お正月にはおせち料理や雑煮など、たくさん食すことも多いでしょう。「正月太り」という言葉も美容に関心のある女性の間では広く使われています。ボリュームのある食事をとり続ける、しかも寝正月で家でゴロゴロあまり動かないという方も多いはずです。麦料理は消化に良く胃もたれしにくく、食感もさらさらして食べやすいというメリットもあります。正月酷使し続け体調を休めるという意味合いでも、とろろを食べるのはおすすめといえます。