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鯉のぼりに付いている「吹流し(吹き流し)」って何の意味があるの?
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鯉のぼりに付いている「吹流し(吹き流し)」って何の意味があるの?

子供の健やかな成長と立身出世を願う鯉のぼり。しかしよく見ると、「あれは一体何なのか?」とふと疑問に思ってしまうパーツが付いていることに気づきませんか? ポール先端の球しかり、その下の風車しかり。そして何と言っても一番の謎は真鯉の上を泳ぐ、五色のヒラヒラしたものでしょう。ここでは、鯉のぼりの謎を紐解くと同時に、真鯉の上を泳ぐ謎ののぼりについて詳しく説明していきます。

鯉のぼりと吹流し(吹き流し)の謎に迫る

先端部の「球」と「風車」は一体?

多くの方が疑問に思っているだろう鯉のぼりの謎において順を追って説明していきます。まずはポールの先端部についているキラキラした「球状の何か」についてですが、あれは回転球(天球とも)と呼ばれるもので、元々は竹で編んだ丸い籠であることから、別名で駕籠玉(かごだま)とも言われます。回転球の意味は、「神様が降りてくる目印」であり、この家に男児がいることを知らせるためのものです。そして、回転球の下についている風車の様なものは「矢車」と呼ばれます。矢車は魔除けのために付けられているもので、幸せが四方八方から訪れます様にという意味も込められていると言われています。ちなみに、鯉のぼりのルーツは鎌倉時代の武家社会です。その名残か、矢車は武将の持つ弓矢をイメージしたものと言われており、矢車をよく見ると、矢の形になっていることがわかります。

吹流し(吹き流し)とは一体何か?

真鯉の上を泳ぐカラフルな謎の物体。実を言うとあれは「吹流し(吹き流し)」というもので、「子を脅かす悪いものから守ってください」という魔除けの意として付けられている様です。では、一体なぜあんなに派手な色なのでしょうか? 
吹流し(吹き流し)には青(緑)、赤、黄、白、黒(紫)の五色が使われています。これらは「神道の5色」と言われており、古代中国に伝わる「五行説」に基づいているとされているのです。五行説を簡単に説明すると「木・火・土・金・水」の5つの元素が互いに助け合ったり、打ち消し合ったりしながら、すべての物事が循環しているという思想のことです。5つの元素を色にあてがうと「木=青(緑)、火=赤、土=黄、金=白、水=黒(紫)」を意味しています。この思想を吹流し(吹き流し)にあてがうことができ、子供に悪いことが忍び寄ったとしても、これら万物を成す5つの元素が守ってくれる、つまり邪気を祓ってくれると信じられているのです。ちなみにこの五行説の考え方は、陰陽道における魔除け五芒星にも繋がります。
しかしながら、この「五行説」は一つの説であり、実はもう一つ吹流し(吹き流し)の意味があると言われています。吹流し(吹き流し)は本来、軍の旗として使われており、風向きや強さを見極めるためのものでしたが、鯉のぼりと一緒に使うことで、神様により早く男児の誕生を気づいてもらうためと言う説もあります。

吹流し(吹き流し)の歴史

実を言うとこの吹流し(吹き流し)は、鯉のぼりよりも歴史が古いと言われています。鯉のぼりは江戸時代の庶民が流行らせた習慣でしたが、吹流し(吹き流し)は戦国時代には既に飾られていた様です。戦の後に「もうこれ以上災いが訪れない様に」という願いを込め、目立つ場所に掲げられていたという説が有名です。

吹流し(吹き流し)は鯉のぼり以外にも使われている?

魔除けの意を持ち、子供が健やかに育つ様、願いを込めて掲げられている吹流し(吹き流し)ですが、実は鯉のぼり以外にも使われているというのをご存知でしょうか。例えば、高速道路の脇に設置されている鯉のぼりの様な物体も吹流し(吹き流し)なのです。多くの方が想像される様に、この吹流し(吹き流し)は風速を測るものです。水平になびいている場合は風速約10メートル以上を表し、45度の場合は約5メートル以上、そして30度程度の場合は風速約3~4メートルを指します。ちなみに、風速10メートルで吹流し(吹き流し)が概ね真横になびいた場合は、走行が不安定になることを示しています。
さらに、飛行場にも吹流し(吹き流し)が設置されています。すべての飛行場に設置が義務付けられている風向灯というものをご存知でしょうか。風向灯には風向きが目視できる様に吹流し(吹き流し)が付いており、その上に照明灯が設置されています。用途は高速道路のものと同じで、吹流し(吹き流し)のなびく角度で、おおよその風速を計測するものです。また、工事現場におけるクレーンにも作業を安全に行う目安として吹流し(吹き流し)を設置しています。約50度になびいた場合は風速4メートル程度、約60度の場合は風速6メートル程度、約70度の場合は風速8メートルという様に、高速道路や飛行場に設置されている吹流し(吹き流し)と同じ役割を果たします。尚、工事現場の風速が早い場合は、責任者の指示に従って作業を行う様、義務付けられています。

吹流し(吹き流し)の価格は?

鯉のぼりに使う吹流し(吹き流し)は鯉のぼりの値段とさほど変わりなく、安価なもので2,000円前後、高価なものでも1万~3万円程度で購入できます。しかしながら、前記した高速道路や空港、さらには工事現場で使用する吹流し(吹き流し)の場合はややお高く、一つで約48万円もするそうです。やはり業務用はやや値が張ります。参考程度に覚えておくとよいでしょう。