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「春のお彼岸」の過ごし方
三月(弥生)
 
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雑節
 

「春のお彼岸」の過ごし方

春のお彼岸(ひがん)は、ご先祖様のお墓参りやお寺での法要に参加するなど、先祖供養をする日です。春のお彼岸の時期やどうしてお墓参りをするのか、また、お彼岸の過ごし方やお墓参りの仕方などをこのページでは解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。

お彼岸とはどのような日?

春のお彼岸はいつからいつまでなのか

暑さ寒さを彼岸までといいますが、年に2回あるお彼岸の時期は、季節の変わり目にあります。具体的には春分の日と秋分の日の前後3日間の計7日間がお彼岸の季節にあたります。このとき、お彼岸の最初の日を彼岸の入り、最後の日を彼岸の明けと呼びます。真ん中にあたる春分秋分の日は彼岸の中日(ちゅうにち)といいます。
また、春分の日も秋分の日も、太陽の位置で決められますから、年によっては日付が変わることがあり一定ではありません。春のお彼岸の中日、お彼岸の真ん中に当たる春分の日は、おおよそ3月20日頃になります。また、春分の日は二十四節気という季節の区切りのひとつ、昼と夜の長さがほぼ等しくなる春分に基づいています。なお、春分は国立天文台が太陽を観測した結果を基に、翌年の春分の日が決められています。
ちなみに春分などの二十四節気は、古代の中国で生み出された季節の区分です。名前の通り1年を24の節目で区切っています。二十四節気が生まれた背景には、季節に密着した農作業をスムーズに行うためには、季節を正確に把握する必要があったためといわれています。
二十四節気は日本にも導入されましたが、日本と中国では気候がまったく同じではありません。そのままでは、実際の季節感との間に差がでてきます。それを解消するために雑節という日本の実際の季節を反映させた区切りがつくられました。お彼岸もそうした雑節のひとつになります。

お彼岸の由来と位置づけ

彼岸という言葉にはふたつの由来が考えられています。ひとつは、仏教が生まれたインドのサンスクリット語の「波羅蜜多(はらみった)」を日本語にしたものが彼岸という説です。この彼岸とは、仏教にある此岸(しがん)と彼岸という重要な概念です。今いる此岸(この世)は欲や煩悩にあふれる世界、反対に向こう岸の彼岸はそれらから解放された世界という考えで、彼岸に渡ること、つまり涅槃の世界に至ることは仏教で重視されています。
もうひとつの説では、由来を日願とされています。日本で信仰が盛んな太陽神(天照大御神)や祖先神(氏神)への春には豊作を願い、秋には収穫の感謝にという、祈願の風習から彼岸となったというものです。
この仏教の彼岸と日願の祖霊信仰の両者が、時代を経るうちにだんだんと混ざり合い、現在のように春や秋の季節の変わり目に菩提寺へ行って、お墓参りをしてご先祖様を供養する風習が形成されていったと考えられています。

春のお彼岸でのお寺参りやお約束ごと

春のお彼岸でのお寺参り

お彼岸では春秋それぞれに、お寺で彼岸会(ひがんえ)という法要が行われます。彼岸会の法要では施餓鬼(せがき)や説法が行われますので、檀家であれば参加すると良いでしょう。ちなみに施餓鬼とは悪行で餓鬼という亡者になって苦しむ魂に、食べ物を供物として施して供養するというものです。お彼岸の法要に出るときは、御布施も渡すのが慣例です。お寺によりますが、3千円から1万円が相場なようです。市販されている御布施など表書きが印刷された封筒を利用するとよいでしょう。無ければ無地の白い封筒でも構いません。白黒の水引は基本的に必要ありませんが、地域やお寺の慣例で付ける場合もあるようです。
現代ではお寺との付き合いは薄まりつつあるようですが、いつかは自分も含めて家族がお世話になる日が来ますから、お彼岸のような機会にお寺との付き合いに慣れておくのも良いかもしれません。また、彼岸会に行けなくても、お墓参りは可能ならしておきたいところです。

春のお彼岸での先祖供養

お寺にお墓参りをするときは、一般的にまずご本尊にお参りします。そののちに、お墓や納骨堂にお参りに行きます。飲み物や食べ物のお供えものも持参しましょう。また生花を供えられるなら花も持って行きます。お墓参りをするときは、まず墓石や墓地の掃除から始めましょう。大抵の場合は、お寺でほうきやバケツ、柄杓、たわしなど掃除に使うものが借りられます。掃除を済ませたら、持参したお供え物を備え、花立てに花をいけ、水鉢があれば水を満たしましょう。掃除が終わった後、線香をつけて拝みましょう。線香は香炉があれば線香を立て、線香皿なら寝かせます。また、線香や蝋燭の火を消すときは息を吹きかけてはいけません。手で扇いで消しましょう。
また自宅に仏壇がある場合ですが、仏壇は彼岸の入りの前に掃除しましょう。そのときに花も変えます。彼岸の入りになれば菓子や果物などのお供え物を供え、中日にはぼた餅を供えます。
以上はあくまで一般的なお彼岸の過ごし方で、家や地域、お寺の宗派により作法は違う場合もありますので、それに倣いましょう。

お彼岸のぼた餅、おはぎ

お彼岸といえば、ぼた餅やおはぎを連想される方も多いと思います。ぼた餅は春のお彼岸のときのお菓子、おはぎは秋のお彼岸のときのお菓子になります。また、ぼた餅やおはぎは仏前にも供えます。最近ではあまり違いを気にせずに、どちらもおはぎという場合も少なくないようですが、折角ですのでこだわってみてはいかがでしょうか。
どちらも邪気を祓う色とされた赤色の小豆からつくった餡(あん)で、餅をくるんでいることに意味があります。ぼた餅は牡丹餅とも書き牡丹の花に、おはぎは萩の花に、それぞれの季節が対応しています。両者の違いは、ぼた餅はこし餡、おはぎは粒餡という点にあります。