珍寿のお祝いとは?
現在、日本の100歳以上の人口は6万以上にものぼります。世界的な長寿国にふさわしい数字ですが、これが満110歳以上となると、100人以下程度と見積もられています。日本においても非常に珍しい長寿です。この、とてもおめでたい長寿を祝うのが珍寿です。珍寿をどのようにお祝いするとよいか、この記事で紹介していますので、参考になさってみてはいかがでしょうか。
目次
珍寿のお祝いの仕方
そもそも長寿のお祝いとは?
長寿のお祝いは、昔から行われていた冠婚葬祭の冠に当たる行事です。奈良時代の日本が、中国で行われていた一定の年齢に達したことを祝う儀式を取り入れたのが始まりとされています。当時の貴族社会では、初老の賀、五十の賀、六十の賀という算賀の儀礼が行われていました。この長寿を祝う儀礼が時代を超えて受け継がれ、江戸時代には六十の賀が還暦と名を変えたり、古稀が追加されたりと変容しつつ、庶民の間にも広がりました。
今日では、十干と十二支の干支がひとめぐりして生まれたときと同じになる数え年で61歳(満60歳)になったことを祝う還暦に始まり、70歳の古希、77歳の喜寿、80歳の傘寿、88歳の米寿、90歳の卒寿、99歳の白寿、100歳の紀寿、108歳の茶寿、111歳の皇寿(以上すべて数え年)といった多くの長寿のお祝いがなされるようになりました。
かつては40歳で初老、人生五十年ともいわれ、齢六十の還暦を迎えると子供の世代に跡を譲って隠居生活に入る時代でした。しかし、今は祝われる長寿の節目が数多くあり、しかも100歳を超えるものまであります。日本人が、格段に長生きするようになったことが賀寿の変遷からも伺われます。また、日本国民の平均寿命はまだまだ延びると予測されていますから、遠い将来には新たな賀寿が作られることも、もしかしたらあるかもしれません。
この長寿のお祝いである賀寿ですが、現代の日本には、元気ではつらつとした活動的な高齢者の方少なくありません。賀寿は長寿のお祝いではありますが、お年寄り扱いされたと気分を害されないような、お祝いの仕方に心配りが必要です。
珍寿とは何歳のお祝い?
珍寿は数え年で110歳、満年齢では109歳を祝う賀寿です。ただ、”珍”の偏(へん)である「王」を「一」「十」「一」に分解し、右側を「八三」とすると、「1+10+1+83=95」となることから、95歳を意味する賀寿でも用いられます。文字通りこれほどまでの長寿は珍しいから、という理由で珍寿という名前になっています。ちなみに数百年前は、唐の詩人である杜甫の一節「人生七十古来稀なり」からとった古稀が、その年まで生きるのは珍しいというポジションでした。
お祝いはいつどのタイミングで?
昔ながらに数え年でお祝いをするのであれば、数え年で一歳年をとる元旦にお祝いをします。そうでなく現代風に満年齢で祝うのであれば、満年齢の誕生日にお祝いをします。そのほか、誕生日前後の吉日や敬老の日にお祝いをすることもあります。
一般的に賀寿のお祝いは、子供や孫、親族が集まって、内輪で宴席を設けて行われます。内輪でするお祝いの場合は、自宅もしくはレストラン、料亭に席をとることが多いようです。なにぶん、並外れた高齢ですから、本人の希望や体調、健康状態などを一番に考えて、無理の無い場所や日取りを決めましょう。
また、内輪のお祝いとは別に、親族以外の方々が集まって珍寿のお祝いをしたいということもあるかもしれません。この場合、各自の都合がありますので、日取りは必ずしも誕生日でなくても構いません。誕生日以降の日曜や休日に集まると良いでしょう。なお、数え年で110歳という超高齢です。お祝いが本人の負担になっては本末転倒ですから、代表者が数名お祝いに伺うといった形が無難かもしれません。
珍寿の贈り物とそのお返し
贈りものに適しているのは?
賀寿の贈り物というと、還暦のお祝いで有名な赤い色の頭巾や、ちゃんちゃんこのような昔からの定番があります。珍寿の場合でいうと、古稀(数えで70歳)以降の賀寿では伝統的に紫の座布団を贈った風習が当てはまります。紫色が選ばれた理由は、高貴な色であると同時に無病息災を表す色とされたためといいます。
贈り物を伝統的なものにするのもよいですが、今の時代に合わせた贈り物でも構いません。毛布、膝掛け、衣類、アクセサリーなどの実用品や、趣味があれば趣味に関するものを贈るのもよいでしょう。いずれの場合にせよ、本人に喜んでもらうことが一番大切ですから、もし可能なら希望を事前に確認しておきたいところです。好みが分からなければ、カタログギフトも選択肢に入ってきます。カタログギフトなどは、お祝いに欲しいものが本人に無くても、孫やひ孫へのプレゼントなどに重宝する贈り物です。
贈る際の体裁は、のし付き、水引は紅白か金銀の蝶結びとし、表書きは「祝珍寿」「寿」「寿福」「御祝」などとします。水引に関してですが、賀寿は何度あっても良いお祝いごとですので、蝶結びとされています。間違っても、繰り返さないことを意味する結び切りの水引を用いないようにしましょう。
また、お祝いの相場は3千円から5万円と幅がありますが、子から親への場合は3〜5万円、孫から祖父母へは1〜3万円、親類からは1万円がおおよその目安となっているようです。
贈り物へのお返し
お返しは特に必要とされていませんが、もしお祝いの席を設けたいのなら、引出物として贈り物を用意するのが一般的です。引出物として伝統的なものには、寿の文字の入った紅白の饅頭や餅、同じく寿の文字を染め抜いた風呂敷や袱紗(ふくさ)などがあります。なお、お祝いにいただいた金品の額にかかわらず、全員に同じものを贈ります。
引出物にはのしをつけ、水引には普通のお祝いのときに用いる紅白の蝶結びのものをつけ、表書きを「内祝」とします。
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