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弥生の語源とは~なぜ3月を弥生とするのか
三月(弥生)
 

弥生の語源とは~なぜ3月を弥生とするのか

『弥生』という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。女の子の名前や、歴史の授業で「やよい時代」などにも使われている単語です。実は、日本古来より使われている月の数え方で「和風月名」といいます。この「和風月名」は中学生に国語の授業で教えている学校も有るほどで、現在のカレンダーにも表記されています。現在使われている新暦の季節や行事と少し異なった所もあるので、そんな弥生についてご説明します。

3月の別名、弥生はいつで名前の由来は何?

弥生、旧暦の3月は現在では3月下旬から5月上旬頃にあたる

弥生とは3月の「和風月名」です。他にも異称や異名とよばれるものです。「和風月名」は、もともと旧暦の行事や季節に合わせた呼び方であり、現在も公的にではないですが使用されています。旧暦は太陰太陽暦を使用しており、月の満ち欠けを基準としているため、1年が354日となり、現在使用している新暦(1年365日)とは少し日にちに差があるのです。そのため現在の3月下旬から5月上旬を旧暦では「やよい」と指していたのです。旧暦と新暦の違いで起こるちょっとした季節のズレがみられるのです。

弥生の名前は何に由来しているのか?

弥生の漢字「弥(いや)」は、ますます・いよいよという意味があり、「生(おい)」には、草木が芽吹くことを意味する漢字が使われています。語源としては三月になると少しずつ春が近づき始め、冬の間は縮こまっていたたくさんの花や木草が一斉に成長する月なので「木草(きくさ)弥(いや)生(お)ひ茂る月」が「弥生(やよい)」と詰まって呼ばれるようになったと言われる説が有力です。
旧暦の弥生に咲く花は桜や桃などたくさんある事から、最有力の説だということが納得できます。そのため、女の子の名前にもよく使われています。同じ弥生でも弥生時代とは関係なく、弥生時代は出土した土器などの地域を表しているのです。

弥生の「和風月名」は他にもたくさんある

他の月にもあるのですが、「やよい」も他の異称があります。ここでは他にどの様な和風月名があるのか代表的なものをご紹介します。
辰月(しんげつ)は古代中国で使用されていた和風名月です。当時を含む月に、北斗七星の柄杓の柄の部分をはじめとして、十二支で一年を表したものです。11月が「子月(しげつ)」となり、12月は「丑月(ちゅうげつ)」とあてはめたものです。他に辰の月(たつのつき)とも呼ばれます。また、禊月(けいげつ)とは、3月3日の上巳(じょうし)の節句に行う禊(みそぎ)に由来した和風月名です。花見月(はなみづき)とはお花見のシーズンであるという意味です。室町時代の歌集であり、草木鳥月の異名を詠んだ和歌などが書かれている蔵玉集に「薄曇り空も一つに花見月なべて心もあくがれぬらん」とあります。他にも桜月(さくらづき)・花月(かげつ)・花津月(はなつづき)・早花咲月(さはなさきづき)など花を表した異称がまだまだたくさんあり、季語にもなっているのです。

二十四節気からうかがわれる卯月の季節感

弥生に行われる行事などから見る季節感

そんな3月には、五節句の一つである「上巳の節句」という大切な行事があります。古代中国では旧暦の3月3日に行い、その日には「踏青(とうせい)」といって、川辺の青い草を踏み川で身を清め不浄を禊ぎ、酒を酌み交わして穢れを払ったと言われているのです。日本では平安時代以前に取り入れられ、曲水(きょくすい)の宴が宮中内で催されるようになり、祓いを行うようになりました。
曲水の宴は時代とともに廃れますが、上巳の日は貴族の間でも続き「上巳の祓」となり紙の人形を形代として、穢れを移し海や川に流すように変化しました。現代にも流し雛の風習として残っています。他にも、曲水の宴で桃のお酒を飲んでいたことから桃の節句とも呼ばれるようになったのです。
江戸時代に入ると、五節句の一つとして制定されたことによって、今まで貴族階級のみの行事でしたが庶民の間でも行われるようになったのです。もともとは男女の別なく行われていたのですが、このころから豪華な雛人形を飾るようになり、女の子の節句とされるようになりました。

弥生に見られる行事やイベント

日本では、雛人形(男雛と女雛)を中心として飾り、女の子の健やかな成長を祈るのが一般的です。桃の花や橘・桜などを飾りつけ、雛あられや菱餅を供え白酒やちらしずしなどを食べて祝う様子が主に見られます。沖縄では旧暦に沿って行われる地域もあります。旧暦の3月3日には最も干満の差が大きい大潮になることから、干潮の時には魚介類や海藻を取り神仏に供え、特に女性は手足を海水に浸して身を清めることで健康を祈願するという風習です。
台湾や朝鮮の人は、古代中国と同じように邪気払いのための「踏青(とうせい)」を、お墓参りを兼ねて行っています。朝鮮の人は、カラムラサキツツジなどの花を載せた甘いお焼きを作り、花弁をハチミツ水などに入れた花菜(ふぁちぇ)という甘い飲み物とともに食べる風習があります。3月の行事では、花が関係しており春が近づき花や木草が一斉に伸び始める「弥生」にあう季節行事となっているのです。