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ほおずき市の由来、内容について
七月(文月)
 
祭事
 

ほおずき市の由来、内容について

東京浅草や金沢で開かれるほおずき市は、日本情緒が感じられるとして観光客にも人気の高い、日本の夏の風物詩です。最も有名なほおずき市として知られる東京浅草の浅草寺のほおずき市は、「四万六千日」の縁日にちなんで開かれるほおずき市。この日に浅草寺で参拝すると、なんと4万6000日分のご利益があると言われています。この記事では、ほおずき市の由来や内容についてご紹介いたします。

ほおずき市の内容

ほおずき市ってどんな市?

ほおずき市はその名の通り、様々な趣向の鉢に植えられたほおずきの鉢植えが並ぶ市場です。浅草寺のほおずき市が最も有名で、ほおずきの鮮やかな赤と風鈴の音色によって江戸の夏の風物詩として知られています。観光客も多く訪れる人気観光イベントとなっており、期間中は50万人以上もの人でにぎわいます。
また、浅草寺以外にも多数のほおずき市が立つ寺社はありますが、東京都内以外の地方ではほとんど見られない風習です。浅草寺以外で見られる、ほおずき市の主だったものは次の通りです。八王子の信松院でひらかれるほおずき市、深大寺でひらかれる延命観音の縁日のほおずき市、六本木の朝日神社で開かれるほおずき市、朝顔市と一緒に開かれる小石川の源覚寺ほおずき市、神楽坂の神楽坂まつりの期間にひらかれる毘沙門天善國寺のほおずき市があります。

ほおずき市のはじまりとは?

ほおずき市が盛んになった理由には、薬草としてほおずきを売っていたのが始まりです。浅草寺のほおずき市も、もとはといえば、近くの愛宕神社の千日詣りの縁日で売られていたほおずきの薬効が評判になり、ほおずきが飛ぶように売れるようになったことの波及効果でした。そこから参拝客がより多く集まる浅草寺にもほおずき市が立つようになったといわれています。また、ほおずき市が盛んになった背景には、ほおずきが大変人気のある植物だったことも大きく影響しています。江戸時代には、ほおずきは手遊びや観賞用として大変人気があり、江戸の町民のあまりの熱狂ぶりから、一時は街のほおずき売りの増加を規制するほどでした。また、ほおずきは「鬼灯」とも書かれ、雷除けや魔よけのお守りとしても重宝されていたのです。七夕やお盆の季節には庭先や仏壇に飾られました。またお供えにはほおずきをあしらったり、ほおずきちょうちんを使用することも、江戸の庶民の生活の中でよく行われていた風習だったのです。

江戸時代には万能薬とされていたほおずき

当時よくいわれていたほおずきの薬効とは、ほおずきをそのまま丸のみにする、あるいは煎じて丸のみにすることで、子供のかんの虫が治まって大人しくなり、大人の腹痛を鎮めることによく効くというものでした。もともと平安の昔より、ほおずきの実を陰干しにして鎮静剤とされてきた歴史があります。その後時代が進むにつれてますますほおずきは効果の高い薬草として重宝されるようになり、煎じて飲むことによって、安産の妙薬、利尿剤、小児の解熱、頭痛、腹痛、のどに効く万能薬として多用されるようになりました。

ほおずき市の由来

ほおずき市と関係の深い四万六千日とは?

観音様の縁日は、毎月18日と決まっていましたが、さらに功徳日として参詣すると何倍もの功徳が積める特別な日が設定されました。その最たるものが四万六千日です。四万六千日とは、7月10日あるいは旧暦の7月10日頃に当たる8月10日を指します。その日は最大の功徳日として四万六千日参詣したのと等しい功徳があるとされるようになったのです。この四万六千日は、江戸時代中期から始まった風習といわれており、それまでの慣習だった千日参りの功徳に匹敵する、もしくは凌駕する功徳日として各地で盛んにおこなわれるようになりました。また、もともとは、7月10日だけが四万六千日の功徳日でしたが、誰よりも早く一番乗りで功徳にあやかりたいという人が多くいたことから、夜のうちから寺社に集まる参拝客が増える一方でした。そこで寺社側では、前日の9日も含めて四万六千日の功徳日とすることとし、さらに大勢の参詣客が集まるようになったのです。東京の浅草寺以外にも、京都の清水寺、大阪の四天王寺など、各地の観音様を祀る寺社で縁日が開かれるようになりました。

ほおずき市の由来は?

ほおずき市は、観音信仰・観音縁日と深い関わりがあります。先にご紹介した四万六千日文の参詣と匹敵する功徳が積めるとされる7月10日は、当然多くの参拝客でにぎわいます。この縁日の人手を当てにした植木職人たちがはじめたほおずき市は大当たりとなり、次第に本来の参拝の目的のはずだった功徳日よりも、ほおずき市が主役となってしまいました。現在では、四万六千日という観音様の縁日を意識することはなく、ほおずき市に訪れる人がほとんどです。最大のほおずき市といわれる浅草寺のほおずき市では約100軒のほおずき売りが集まり、50万人を超える人出でにぎわうビッグイベントとなっています。