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四万六千日とは……ほおずきとの関係も合わせて解説
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四万六千日とは……ほおずきとの関係も合わせて解説

七月十日が「四万六千日(しまんろくせんにち)」とよばれる菩薩様のための縁日であることを知る人も少なくなりました。しかし、ほおずき市の縁日、と聞けば「四万六千日のご利益」や「ああ、浅草寺」と思い当たるのではないでしょうか? 観世音菩薩様の4万6000日分のご利益がある最強の功徳日を日本人なら知っておきたいものです。この記事では、四万六千日の縁日のいわれとほおずき市の関係もあわせご紹介いたします。

四万六千日とは

ご利益が倍増する「功徳日」とは?

功徳とは、善い行いを心掛けることによって神仏から幸運を授かることを指しており、つまりはご利益のことを意味しています。そのご利益を授かることができる行いの中でも重要とされているのが寺社仏閣への参拝なのですが、参拝する日によって受けることができるご利益が大きく変わります。その日にお参りを行うと、何日分ものお参りをしたのと同じご利益が授かることができるといわれており、功徳日と呼ばれています。

四万六千日は最大のご利益が期待できる功徳日

日本人には最もなじみの深い仏様である観音様は、正式には観世音菩薩、または観自在菩薩と呼ばれ、人々を災難から救う慈悲深い仏様として信仰を集めてきました。平安時代の頃から、この観音様のご縁日として毎月「18日」と決められてきました。そして16世紀ごろの室町時代に、「功徳日」あるいは「欲日(功徳日)」、地方によっては「およく」と呼ば れる縁日が新たに追加されていきました。厄除正観世音菩薩の功徳日として決められている功徳日は下記のとおりです。

1月1日(百日)
2月28日(九十日)
3月4日(百日)
4月18日(百日)
5月18日(百日)
6月18日(四百日)
7月10日(四万六千日)
8月24日(四千日)
9月20日(三百日)
10月19日(四百日)
11月7日(六千日)
12月19日(四千日)

この功徳日のリストを見てもわかるように、観音様からのご利益が最も期待できる日が、四万六千日すなわち7月10日にあたります。この7月10日には、浅草寺ほか観音信仰をつかさどる寺社では、この日数の功徳日として多数の参拝客が訪れています。

四万六千日の由来とは?

参詣すると四万六千日参詣したのと同じ功徳があるという「四万六千日」。この四万六千日という日数は何に由来するものなのでしょうか? 実はこの「四万六千」という数の根拠は明らかではありません。一説には一升枡に入る米粒の数に相当する といわれ、「一升」を「一生」にかけて一生分の御利益がいただけるから、という説があります。

四万六千日とほおずきの関係

四万六千日とほおずきの関係とは?

四万六千日とは、この日に参詣すると四万六千日参詣したのと同じ功徳があるという縁日のことを指すことはご紹介した通りですが、この功徳日のもっとも有名でわかりやすい例が、東京浅草寺の7月10日(現在は9、10日)の縁日です。浅草寺の境内では、この日に合わせてほおずき市が行われていますが、その歴史は古く、江戸時代の明和年間(1764年~1772年)の頃に始まったといわれています。功徳日の浅草寺には沢山の参詣者があり、境内で売られていた雷除けのお守りのひとつに赤トウモロコシがありました。赤は古来より魔よけ、厄よけの効果がある色として珍重されており、災害の原因となった雷を回避するお守りとして珍重されたのです。そして、浅草寺から雷除守護の札が出されるようになりました。現在も四万六千日にもらえる竹串に挟んだ三角形の「雷除札」は浅草寺参拝客によく知られたお守りです。また、この頃から雷除けのお守りが赤トウモロコシに代わって、ほおずきが売られるようになりました。これが現在のほおずき市となったとされます。ほおずきが売られるようになったのは、ほおずきの利尿・鎮痛・解熱などの効能効果によって、薬草として珍重されたことにあります。

もともとのほおずき市は浅草寺ではなく愛宕(あたご)神社

「ほおずき市」といえば浅草寺と連想されることが多くなりましたが、「ほおずき市」は、もともとは東京の愛宕神社の縁日でした。愛宕神社で四万六千日の縁日にほおずきの市が立つようになり、鮮やかな赤い実のほおずきは、見た目のかわいらしさから重宝されていたのではなく、昔はれっきとした漢方薬の一つとして珍重されてきました。特に愛宕神社や戦争時の縁日で売られていたほおずきを水で鵜呑み(丸飲み)にすると、大人は癪(しゃく:なかなか治らない持病)を切り、子供は虫の気(当時、腹痛などはお腹の虫によるものと考えられていたため)を去る」と大変評判となっていたのです。この愛宕神社のほおずき市の影響を受け、浅草寺にもほおずき市が立つようになりました。そしてほどなくして浅草寺が愛宕神社に代わり、現在のようにほおずき市の寺として定着したのです。

ほおずきが持つ意味とは?

ほおずきには、漢字で書くと「酸漿」「鬼灯」の漢字があてられています。「酸漿」の字体は中国名での漢字そのままの書き方になり、「鬼灯」については、お盆にご先祖様が帰ってくる時に掲げておく提灯代わりとして飾られたことが由来となっています。