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朝顔市とはどんなイベントか~開催地などを解説
七月(文月)
 
祭事
 

朝顔市とはどんなイベントか~開催地などを解説

小学生の頃に種から育てた植物といえば、まず朝顔の名が挙がることでしょう。古来日本人に愛されてきた朝顔は、各地で朝顔市が催されるほど、今も変わらぬ人気の夏の花の一つです。そして、日本最大の市である「入谷朝顔まつり」をはじめ、日本では各地で朝顔市がひらかれています。この朝顔市とはそもそもどんなイベントなのでしょうか? この記事では開催地情報を含め朝顔市に関する事柄についてご紹介いたします。

朝顔市とはどんなイベント?

朝顔市とはどんなイベント?

朝顔市とは、その名の通り、あんどん仕立てほか、さまざまな仕立てがされた鉢植えの朝顔が売られている市場のことです。日本の夏のイベントの一つであり各地で開催されていますが、最も規模が大きく有名な「あさがお市」が、東京入谷の鬼子母神で行われる「入谷朝顔まつり」です。この入谷朝顔まつりは毎年7月6日から8日まで開催され、期間中出展する朝顔の栽培業者は約60軒といわれています。
また多くの人出があることから、屋台や露店が多く出店しており、朝顔の市場だけあって朝の5時からスタートしていることも特徴です。出勤前に立ち寄る園芸愛好家のサラリーマンやOLの姿もちらほら見られます。

なぜ朝顔はこれほど日本人に愛されているのか?

夏の朝、民家や公園などあちこちで咲く姿を観ることができる丸いアサガオの花は、日本の夏の風物詩でもあります。日本人が愛してやまない桜と並んで、朝顔は美しくもはかない命の花として愛されてきた歴史があります。文人たちにも朝顔を題材にした名作が数多く残されているほどです。西行法師が「山家集」に残した「はかなくて過ぎにしかたを思ふにも今もさこそは朝顔の露」はまさにその代表ともいえるうたのひとつです。

朝顔という植物について

この日本人がこよなく愛する朝顔は、いつ頃日本に伝わったのでしょうか? 文献や書物を調べてみると、すでに万葉集には、秋の七草の由来となった山上憶良の歌「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」に朝顔が登場しますが、この「朝顔」は、現在の朝顔ではなく、むしろキキョウやムクゲを指していると考えられてるのが一般的です。
平安時代に入ると、今度は源氏物語第20帖のタイトル、その名も「朝顔」のなかに「朝顔の君」が登場することでも知られ、また、同時期の名作「枕草子」にも朝顔についての記載が見られ、厳島神社に収蔵されている「平家納経」にも現在の朝顔によく似ている花が描かれていることから、おそらく平安時代に伝わったものではと推測されています。もともとは観賞用の花ではなく薬草として珍重されており、朝顔の種が「牽牛子(けにごし、けんごし)」とよばれ、下剤として珍重されていたことでも知られています。
その後、江戸時代に品種改良が進み、現在のようなさまざまな色の朝顔が作られるようになり、最盛期には「獅子咲牡丹」「桔梗咲」のような花形の朝顔や、細長い柳葉や笹葉の朝顔も作られるようになり、当時の朝顔マニアの間でもてはやされました。朝顔は種苗会社他様々な生産者によってつくられていますが、「入谷朝顔まつり」近くの江戸川区は日本最大規模の朝顔の産地となっています。

朝顔市はどこで行われる?

朝顔市はどのようにはじまった?

江戸時代の園芸熱はそれはとても盛んなものでした。中でも菊と朝顔の二つの花は、花好きの好事家たちの間で特に好まれた花だったのです。日本の商業の中心地として多くの人々が集まった江戸、京都、大阪などでは、「花合わせ」と呼ばれ朝顔の品評会が盛んにおこなわれました。なかでも、初めて「あさがお市」をはじめたのが、現在「入谷朝顔まつり」で名の知られた「東京入谷鬼子母神」、正式には真源寺(しんげんじ)だといわれています。

「入谷朝顔まつり」のはじまり

江戸時代には、朝顔の栽培ブームが何度か巻き起こりました。同時に多くの朝顔栽培職人が生まれ、中でも入谷の植木職人「成田屋留次郎」は多くの朝顔の名品種を作り出したことで名を知られています。明治のころから徐々に現在の「あさがお市」のベースとなる市が立つようになり、戦後間もない昭和23年頃に、地区活性化の一環として入谷鬼子母神境内を中心とした「あさがお市」が企画されたことが現在の「入谷朝顔まつり」のはじまりです。現在では、一日の売り上げは10万鉢以上ともいわれており、東京下町の夏の風物詩として多くの観光客を集め、また朝顔販売業者にとっては、最大の書き入れ時となっています。

各地の朝顔市いろいろ

現在も関東では多くの「あさがお市」が開かれており、とくに都内では、毎年七月の週末に青梅駅前で開催される「青梅朝顔市」がよく知られています。また、埼玉県草加市の草加松原遊歩道で行われる「草加朝顔市」、埼玉県の東武野田線岩槻駅前で行われる「人形のまち岩槻朝顔市」にも多くの人が集まります。しかし、朝顔市は江戸の夏の風物詩でしたが、東京以外の地方ではそれほど大規模の朝顔市はあまり開催されていません。それでも関西エリアでも朝顔市に類似したイベントは時折開催されており、2015年には、大阪市淀川区の新大阪センイシティー前で4年ぶり「新大阪あさがお市」が開かれました。