太子会とは~2017年の太子会式の様子
太子会(たいしえ)とは、別名「お会式(えしき)」「お太子さん」とも呼ばれる事からもわかるように、奈良県斑鳩町の法隆寺でおこなわれる聖徳太子の命日法要行事です。この太子会式は、関西では三月堂のお水取りと並んで、春を告げる行事として親しまれています。旧暦2月22日にあたる3月22日前後から三日間にわたって行われる大規模な法要は、多くの人でにぎわい、境内には様々な屋台が立ち並びます。
目次
太子会について
太子会とは?
「太子会(たいしえ)」とは、聖徳太子の忌日の2月22日に催される法会のことです。聖徳太子の遺徳をたたえ、供養するために、旧暦2月22日にあたる3月22日を中心とした三日間にわたり、大規模な法要「太子会式」がとり行われます。この太子会式では、大きく分けて3つの行事、春彼岸法要・大般若転読法要(だいはんにゃてんどくほうよう)・採灯護摩供(さいとうごまく)が行われ、普段は拝観することが許されない聖徳太子坐像(国宝)や、聖霊院(しょうりょういん)の厨子の内部を見ることができます。
春彼岸会では先祖供養を、大般若転読法要では祈願法要を行い、採灯護摩供では世界平和と人々の心願成就を祈ります。期間中、境内には多くの屋台が出店され、植木市や金物市、骨董市が開かれます。たくさんの買い物客で賑わうことでも知られており、この大きな法要の前夜式も、数日にわたって執り行われます。
まず3月5日からはじまる「事はじめの儀」から、3月14日の「団子つくり」、3月18日の「花形壇の舞台かけ」、3月20日の「大山立」の準備、3月21日の逮夜(たいや:葬儀や忌日の前夜のこと)までの準備が済んでやっと、太子会式初日の3月22日の午後1時から「散華(さんげ)・太子講式・伽陀(かだ)」がスタートします。特に花形壇の舞台かけには、当地に暮らす女性たちの手により、しいの実、干し柿、銀杏、寒天、慈姑(くわい)などの木の実や、大豆、黒豆、青豆などの豆類、ほおずきなどが飾り付けられます。
太子会式期間限定で拝観できる聖徳太子坐像
太子会式の最終日にだけ、拝観することができる宝物としてよく知られているのが、法隆寺聖霊院の聖徳太子坐像(及び侍者像)です。法隆寺内のあまたある秘仏のなかでも、特に重要な仏像であり、当時の激動の政局において舵を取るべく摂政をつとめている壮年期のお顔が彫られているといわれています。太子会式の三日間だけは、聖霊院の内陣中央の厨子の扉が開かれ、中を見ることができるのです。 この聖徳太子座像の前には、仏教の教えの中で世界の中心にあるとされる須弥山(しゅみせん:古代インドの世界観において世界の中心にあるとされている山)を模した高さが2.5メートルある「大山立(おおやまたて)」が並べられ参拝客の目を引きます。大山立の上部の竹串には、鳳凰やツバメをかたどった団子が付けられ、極楽世界が表されています。
2017年の太子会式について
2017年の太子会式の様子
奈良県生駒郡斑鳩町(いかるがちょう)法隆寺山内の法隆寺では、例年通り3月22日から24日までの三日間、同寺を創建した聖徳太子の威徳をしのぶ法要「お会式」が営まれました。天平(てんぴょう)時代から変わらず続く伝統行事の舞台となるのは、法隆寺内の聖霊院です。聖霊院は、1121年、法隆寺に暮らす僧侶の生活空間であった東室を改造して造られた建物で、現在、国宝に指定されています。3つの厨子が並ぶ内陣の中を拝観することができ、参拝客、観光客は一年のうちこの期間にしか目にすることのできない、壮年期45歳の姿を映したといわれる聖徳太子坐像に見入っていました。
ちなみに左右の厨子には、天平の歴史を彩る登場人物、山背大兄王(やましろのおおえのおう)や殖栗王(えくりのみこ)の像を見ることができます。高句麗の僧・恵慈の木像(いずれも国宝)が祀られています。その木像の数の豊富さからも、聖霊院は太子の威徳をしのぶお会式の場として適した空間であるといえます。聖徳太子坐像はじめこれらの秘仏は、お会式(えしき)前日の夕方の「お逮夜」の法要およびお会式の期間以外目にすることはかないません。これらの秘仏を近くで見たいという希望があるなら、「お逮夜」の終了後であれば一般の参拝者も内陣まで入ることが許されるので、間近で拝観したいときは「お逮夜」に参列することがおすすめです。法要では、太子の業績を記した「太子講式」、仏の徳を褒め称える訓伽陀(くんかだ)を唱和されたあと、太子をたたえる仏教歌「太子和讃」も歌われ厳粛な雰囲気に包まれた中、お会式は幕を下ろしました。
太子会式中のイベント
太子会式中は多くの屋台や露店が並び華やぐ法隆寺ですが、もう一つ文字通り花を添えたのが、「献華展」です。法隆寺と深い関わりを持つ流派である鵤御流(いかるがごりゅう)の展示もまた一見の価値がありました。
各地のお会式(えしき):鶴林寺(兵庫県加古川市)
兵庫県には聖徳太子伝説ともいうべき言い伝えが残っており、特に太子町平方・東保・東南とたつの市福田に伝わる伝統芸能「お幡(はた)入れ・法伝哉(ほうでんや)」は、聖徳太子が仏敵、物部守屋(もののべのもりや)を討伐した戦勝を祝う様子を今に伝えるものといわれています。法隆寺と同じころ「お太子さん」と呼ばれ親しまれている太子会式を営んでおり、2017年にも、3月18日~20日におこなわれました。
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