全国安全週間の歴史や内容、スローガンを調べてみた
全国安全週間とは、全国規模で大なわれる労働災害防止活動の公報週間のことを言います。全国規模で展開されるため、全国の官公庁や地方自治体、民間事業所など、全ての事業所が参加することを求められる非常に大規模な安全運動の一つです。
目次
全国安全週間の期間
全国安全週間の概要
全国安全週間は、毎年7月1日から7日までの7日間を、職場における労働災害防止活動の大切さを再確認し、積極的に安全活動に取り組みをする機関と定めています。主管省庁は厚生労働省で、中央労働災害防止協会と共催で全国安全週間を実施しています。
この全国安全週間は極めて歴史が旧く、昭和3年に初めて実施されて以来、「人命尊重」という崇高な基本理念の下、「産業界での自主的な労働災害防止活動を推進し、広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ること」を目的として、戦時中も含めて毎年欠かさず開催されている運動なのです。
開催期間について
初期には、開催期間は一定していませんでしたが、1950年からは6月1日から30日を準備期間とし、7月1日から7日までの7日間を本期間とする制度改正が行われ、現在に至っています。
また、1960年5月に、閣議了解で7月1日を「国民安全の日」と定めています。
主催者について
全国安全期間の主催者となっているのは、厚生労働省と中央労働災害防止協会です。厚生労働省の中でも、労働基準局、地方では労働局、労働基準監督署が主たる主催者となっています。
中央労働災害防止協会は、労働災害防止団体法に基づき、1964年(昭和39年)に設立された団体です。当初は、労働省厚生労働省所管の認可団体でしたが、現在は特別民間法人となっています。
中央労働災害防止協会は、事業主の自主的な労働災害防止活動の促進するため、ゼロ災(災害ゼロを目指す)運動の推進やKYT(危険予知訓練)の講習会開催、技能講習及び特別教育の指導者育成など、災害防止教育及び普及活動等を実施している団体です。また、各都道府県には関係団体として都道府県労働基準協会連合会等が置かれており、その下部に労働基準監督署設置都市を中心として動労基準協会支部などが設置されています。
過去に使われたスローガン
全国安全週間(スローガン)について
全国安全週間として、昭和3年度よりスローガンの提示をスタートしました。毎年多くの応募の中から選定することとして、新たな標語スローガンを決定し使われてきました。ここでは、過去に使われたスローガンを抜粋し、その内容をご紹介します。
過去に使われたスローガン
それでは、過去に使われたスローガンをご紹介します。
●第1回 昭和3年度 一致協力して怪我や病気を追拂(はら)ひませう
全国安全週間、最初のスローガンです。「追拂(はら)ひませう」というのは、今でいう「追い払う」という意味合いです。みんなで協力して、怪我や病気を追い払おうという意味が込められています。
●第4回 昭和6年度 安全は協力より
こちらも似たような意味合いですが、協力をすることで、みんなの安全を守ろうといった具合いになります。
●第7回 昭和9年度 守れ安全 日本の飛躍
●第13回 昭和15年度 守れ安全 輝く日本
第7回と第13回では、どちらも安全を守ろうという呼びかけとともに、日本の飛躍を懇願する思いの込められたスローンガンとなりました。
●第8回 昭和10年度 産業安全 祖國の守護
●第10回 昭和12年度 興せ産業 努めよ安全
第8回と第10回では、安全を守るという言葉ととともに、産業の言葉が使われました。戦前ということもあり、産業の発展を祈る気持ちが込められているのかもしれません。
戦前に打ち立てられたスローガンを見ると、どれも果敢な表現されており、安全を守るという言葉とともに、前へ進もうという強い意志が見られます。昭和20~35年度は、戦後ということもあり、スローガンの打ち立てがいったん取りやめとなりました。その後、昭和36年度になってからは、安全管理の推進を呼びかける働きがあり、再開されました。
●第34回 昭和36年度 作業設備をととのえて 職場の安全をはかろう
戦後に全国安全週間のスローガンが再開されてからは、戦前と打って変わって雰囲気が柔らかくなっています。また、内容もより具体的になりました。職場、作業設備、といった言葉が使われており、今の仕事に近いイメージとなっています。
●第58回 昭和60年度 みんなで考えみんなで築こう 災害ゼロの明るい職場を!
●第63回 平成2年度 災害ゼロはみんなのねがい あなたのために家族のために
昭和の終わりごろになると、明るい職場、家族といった言葉も見られ、スローガンそのものに温かみが感じられます。
●第85回 平成24年度 ルールを守る安全職場 みんなで目指すゼロ災害
●第87回 平成26年度 みんなでつなぎ 高まる意識 達成しようゼロ災害
平成24年度~26年度までは、3年連続で「ゼロ災害」という言葉が使われていました。これは、東日本の震災が絡んでいるようにも感じられます。自然災害が起こるのは仕方のないことですが、その中で最大限安全を守るにはどうしたらいいのか、そんな思いが、このスローガンを生み出したのでしょう。
●第90回 平成29年度 組織で始める安全管理 みんなで取り組む安全活動 未来へつなげよう安全文化
最近になると、スローガンの内容もより具体的になってきています。職場での安全管理を意識するのはもちろん、生活の中での安全にも気を配り、さらには未来にまで目を向ける内容となっています。
このように過去のスローガンを辿っていくと、歴史とともにその時代の風潮が感じられます。ただ、どのスローガンであっても、安全はみんなで協力しながら守っていこう、という背景は変わっていません。こうしたスローガンがあることを知り、日常生活の中で意識してみると、また仕事や生活への取り組み方も変わってくることでしょう。
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