正月飾りに欠かせないしめ飾り(注連飾り)
正月の象徴的な風習のひとつに、しめ飾り(注連飾り)があります。ですが、なぜあの特徴的な内容で仕上げられているのか知っている人は、少ないかのではないでしょうか。しめ飾り(注連飾り)ができた由来や意味、また作り方についてご説明します。
しめ飾り(注連飾り)の由来
しめ飾り(注連飾り)とは
しめ飾りは、正月を迎える上で欠かせない飾りつけのひとつといえるでしょう。古来からの風習は何かと忘れ去られていきがちですが、これに関しては今なお多くの家庭や商店などで使用されています。定番的であり、なおかつ忙しい中でも準備しやすいという特徴が、影響しているのかもしれません。また、華やかでめでたい雰囲気を味わわせてくれるという点でも、魅力的に感じられます。
具体的にどのようなものかというと、注連縄という縄製の飾りに縁起物を飾りつけて仕上げた正月用具のことです。正月になると、毎年1年の幸福を運んできてくれる歳神様という神様がやってきます。とはいえ、どこの家庭にも平等にやってくるというわけでもありません。この歳神様をお迎えするには、家が神聖な場所であるということを表さなければならないのです。このしめ飾りは、そんな歳神様に向けて家や飾りつけた場所が神聖な場所であると示すための道具となっています。
しめ飾りの由来について
由来としては、それ以前からあった注連縄に飾りをつけたのが最初であるといわれているそうです。注連縄には、そこを神様に向けて神聖な場所であると伝える目的や、一度入った神様が外に出ていかないようにするためといった意味合いが込められています。そのため、正月に限らず神社でよく見かけることができるでしょう。
飾りつけにも、やはりそれぞれ意味があります。橙(だいだい)には、「代々子孫が繁栄していきますように」という願いが、裏紙は「裏表のない清らかな心で1年間過ごしていけますように」、譲り葉は「子孫が途絶えてしまわないように」、また昆布を飾るケースには「よろこぶ」という語呂合わせの意味が込められています。いずれも、正月らしいおめでたい由来を伴うのが特徴的です。これらを理解できていれば、より意味のある奥深いしめ飾りが作れることでしょう。
しめ飾り(注連飾り)の作り方
種類によって作り方が異なる
しめ飾りとひと口にいっても、実は1種類だけでもありません。どれも上記のような効果に繋げられる存在に変わりはないので、好みに合わせて選ぶとよいでしょう。まずひとつが、牛蒡(ごぼう)注連です。注連縄をまさしくごぼうのような形にねじったもので、そこにしめ飾りをとりつけて飾ります。ごぼう型の作り方にも意味があり、通常使うものは右へねじる「右綯い(みぎない)」というものですが、正月に限っては神聖な意味合いをもつとされる「左綯い(ひだりない)」がもちいられます。
続いて、牛蒡(ごぼう)注連に前垂れをつけたタイプです。こちらは上記の牛蒡注連にわら製の前垂れをつけて、さらにそこに裏紙・紙垂・譲り葉・橙といったしめ飾りをつけて仕上げたものです。特に西日本で好まれるタイプとなっており、玄関先のしめ飾りとしてよくもちいられています。特徴的なのが三重県伊勢地方に飾られるもので、この地域のもののみ通常とは逆に飾られます。さらに正月のみならず、1年中飾るという独自の風習もみられるようです。他地域から三重県に引っ越した際は、注意しましょう。
一方、東日本で飾られる玄関先のしめ飾りは、玉飾りというタイプが主流となっています。太い注連縄を輪にして、そこに縁起物をつけたものです。縁起物は前垂れ・裏白・紙垂・譲り葉・橙のほか、海老や扇などももちいられます。西日本のもの以上に、華やかな印象を受けるかもしれません。
最後に、シンプルなタイプである輪飾りについてです。こちらは細い注連縄を輪にして、そこに少しばかりの縁起物をつけて仕上げます。小型のものが一般的となっているため、玄関先ではなく部屋の中やキッチン、水周りといった屋内にもちいるケースが多いようです。またその他、門松と組み合わせて華を添える場合もあります。
しめ飾りのとり外し方
飾りつけがあれば、もちろんとり外すタイミングというものも存在します。しめ飾りは一般的に、年中つけておくものでもないためです。ですが、神様をお迎えするための神聖なものに変わりはありません。正しいタイミングで、正式な処分の仕方をおこなうべきです。
まず時期については、松の内に外すのが一般的とされています。これは門松を飾っている期間のことで、1月15日とされています。ですが関東地方については、鏡開きとの兼ね合いを考え、1月7日としているところが多くみられます。
そしてとり外したしめ飾りは、15日のどんど焼き行事にて処分するのが慣わしです。竹で組んだやぐらに火を放ち、神聖な雰囲気の中処分されていきます。迫力が印象的であるため、毎年この時期になると神社は多くの人で賑わいます。
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