公現祭とは……その起源や内容を知ろう
「公現祭(こうげんさい)」は、キリスト教信者、クリスチャンの方々には非常に重要なキリスト教の祭日のひとつです。現在のイエス・キリストの誕生を祝うクリスマスは、もともとこの日に祝われていたこともあり、厳粛かつ神聖な一日として、教会その他でさまざまなセレモニーが行われています。ここでは、日本人にはまだなじみの薄いこの行事についてその起源やセレモニーの内容などについてご紹介いたします。
目次
公現祭とは
公現祭とはどんな祭日?
仏教や神道が主流の宗教となっている日本では、なじみの薄いキリスト教の祭日である公現祭ですが、どのような祭日なのでしょうか? 一言でいえば、聖書にも登場する東方の三博士(東方の三賢者ともいう)が、誕生したばかりのイエス・キリストを祝福し、礼拝するためにキリストのいる馬小屋を訪れたことを記念する日になり、ロシア正教会やギリシャ正教会などの東方教会では、この日がキリスト降誕祭、すなわちクリスマスです。
また、日本では「主顕節(しゅけんせつ)」と呼ばれることもあり、多くのキリスト教国では多少日程の違いはありますがクリスマスの約一月前からアドベント(クリスマスの準備期間)がはじまり、12月25日から1月6日までの間はクリスマス休暇としてイエス・キリストの降誕を祝う習慣があります。
共通するのは、このお祭りは、クリスマスから12日目にあたる1月6日または1月2日から8日の間の日曜日に行われ、全世界すべてのキリスト教会で行われるクリスマスと並ぶ祝日だということです。
世界各国で行われる公現祭はどんなお祭り?
キリスト教徒によって、この行事は生まれたばかりのイエス・キリストがはじめて他者(異邦人)と会い、同じユダヤ人だけではなく、神を信じるすべての人々すべてにあまねく神の教えが伝えられるという大切な意味を持っています。神の栄光がこの世に誕生したイエス・キリストの姿を借りて、すべての人の目の前に現れたことを祝うこの行事は、どの国の教会も様々なセレモニーで祝い、それぞれの国々で特色豊かな公現祭の風習があるのです。
例えば、カトリックの国スペインやイタリアでは国民の祝日となっており、「Befana(ベファーナ)」と呼ばれる、おばあさん魔女が子供にプレゼントを渡すという風習がありますが、クリスマス同様にプレゼントを受け取るためのソックスが吊るされ、公現祭当日の朝にはおもちゃやお菓子などのプレゼントが入っています。
そのためイタリアでは、教会や家の中のクリスマスのためのデコレーション、クリスマスツリーはもちろん、街のクリスマスイルミネーションまで、クリスマス当日を過ぎて1月6日まではそのままにされています。子供たちの学校や、多くの職場のクリスマス休暇も、1月6日まで続き、実質的な冬休みとなるのもこのためです。
変わったところでは、5歳児に喫煙させるという儀式がポルトガルのヴァーレ・デ・サルゲイロ村で行われる行事です。この村では公現祭の間は、村人たちによってダンスや音楽といったお祭り騒ぎのほかに、親が小さな子どもたちに煙草を与えるという慣習があり、起源は定かではないものの、数百年にわたって続けられていてこの慣習も含め、キリストの出現を祝うものといわれています。
ただし、子どもたちは軽く煙草の煙を吸ってすぐ吐き出すだけで、その後はすぐ忘れてお祭りに夢中になります。ロシアの場合は、長く自然崇拝や祖先崇拝が続いた名残があり、教会で祝われるキリスト教にちなんだ祭日とは別に、祖先の霊を祀る「セミーク」などの祭日がありました。その影響によってクリスマスと公現祭の中日に「スビャートキ」と呼ばれる新しい年の吉凶を占い、農作物の豊穣を祈る行事があります。
公現祭スイーツ「ガレット・デ・ロワ」
フランスでは、公現祭の特別なお菓子として、陶器で作られた小さな人形「フェーヴ」が1つ隠されたケーキ「ガレット・デ・ロワ」を食べる習慣があるのです。そして、ケーキを切り分けたときにこの人形が入っていた人はその日一日王様になれて、かつ一年間幸運が続くと言われています。このお菓子と人形が、公現祭の起源となった東方からきた三博士がキリストのために用意した供物のシンボルとなっています。
公現祭の起源
公現祭の起源について
キリスト教の信者でなくとも、毎年きまって十二月の二十五日に行なわれるクリスマスのお祝いが、イエス・キリストの誕生を祝う日だということはよく知られています。しかし、実はキリストの誕生日は、聖書にもはっきり書かれておらず正確な日付はわかっていません。そのため、イエス・キリストの誕生日として、この日をクリスマスと決めるまでには、初期のキリスト教では様々な紆余曲折がありました。また、ギリシャ語の「エピファン(epiphane) 実体化した神」も由来といわれています。ギリシャの神を祝う1月6日が、キリスト教化されるなかで公現祭の祝日となったと考えられているのです。現在では、一月の六日は「東方の三博士がキリストを訪れた」という公現祭の祝日と位置づけ、クリスマスからこの公現祭までの十二日間を「降誕節」とよびます。
ベツレヘムを来訪した東方の三博士とは?
この世で最初にイエス・キリストの誕生を祝福した人物として東方の三博士は新約聖書、「マタイによる福音書」に記されています。イエスを礼拝するためにベツレヘムを訪れた三博士とよく言われますが、この博士の意味するところは、占星術の学者です。当時なによりも貴重といわれた「黄金、乳香、没薬」をキリストへのお供え物として、東方からはるばるやって来たといわれています。
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