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正月飾りを片付ける松送りの意味・役割
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正月飾りを片付ける松送りの意味・役割

お正月を迎えるにあたって、実家でいろいろと飾り物を飾るという人もいるでしょう。実家だけでなく、自宅でも毎年飾り物をつけている家庭もあるかもしれません。ところでこのお正月飾り、外すタイミングに決まりがあるのをご存知でしょうか? ここではお正月の飾り物を外す松送りについて、詳しく紹介していきます。

松送りをするタイミング

松飾りを飾る理由

お正月を迎えるにあたって門松をはじめとして、松飾りを飾っている家庭は多いです。なぜ正月になると松を飾るのか、それは歳神様(年神様とも書きます)の依り代と考えられているからです。つまり松飾りがある間は「うちには歳神様がいらっしゃいますよ」という意味合いを持っています。ちなみによくお正月の言葉で「松の内」という言葉を聞くでしょう。これは「歳神様が家にいる期間」という意味合いがあります。松の内の期間中に知り合いにあったとすれば、「あけましておめでとうございます」とあいさつをするのが一般的です。あけましておめでとうございますはお正月の一般的な挨拶と認識している人も多いでしょう。しかしこれにはもう少し深い意味合いがあります。あけましておめでとうございますは、歳神様を迎え入れるときの祝いの言葉だったそうです。人々があけましておめでとうございますと言葉を交わすことで、歳神様を迎えられたことを心の底から喜び合ったわけです。

なぜ松なのか?

なぜ歳神様を迎えるにあたって松飾りをつけるのか、それにも意味があります。松はもともと神の住んでいる聖地である霊山の清浄な印だったからです。ちなみに神事を執り行うさいに、榊や笹を使うでしょう。こちらを使うのも松と同じような意味合いがあります。松にはこのほかにも「神様を待つ」や「神様を祀る」といった意味が込められているとも考えられています。

松送りとはいつ行うの

松飾りはいつまでも飾っておくものではありません。松飾りを取り外すことを、松送りといいます。そのほかにも「松納め」や「松下ろし」と呼ばれることもあります。松送りとは松の内の終わりと同じ意味合いです。一般的には1月7日までを松の内といいます。特に関東地方では7日までを松の内としているところが多く、この場合、1月6日の夜から7日の早朝にかけて外します。
しかし関西地方の場合、1月15日までを松の内としている地域もありますからこの場合の松送りは1月14日の夜から15日の早朝にかけてです。ちなみに仙台藩の伊達家は「仙台の四日門松」と呼ばれていました。これは伊達家では4日に門松を取り外していたからです。もともと松の内の最終日である松送りは1月15日でした。しかし徳川の三代目将軍家光が4月20日に亡くなります。当初1月20日が鏡開きだったのですが月命日と一緒になるので、鏡開きを11日、松の内は7日となったわけです。

松送りのやり方

松送りになったら片付けよう

松飾りは歳神様がいることを示す意味合いがあります。このため正月が終わって、歳神様が元のところへお帰りになったのであれば、速やかに松飾りは片づけましょう。この松飾りを片付ける行事を、松送りといいます。現在松の内の最終日は7日というところが多いようなので、その場合は6日の夜から7日の早朝までに片付けましょう。この松飾りをどのように片付けるのか、地域によって様々です。例えば門松を燃やしたりたいたりするという地域がみられます。一方で、川や海にそのまま流してしまうという手法をとっている地域もあります。また、どんどというお祭りをこの時期に開催している地域はありませんか? どんどは小正月の火祭りのことです。地域によって若干異なりますが、1月14日もしくは15日に催される地域が多いです。このどんどの時に松飾りを持ち寄って、燃やして処分する地域もみられます。

火事のせいで日付が変化した?

松の内の最終日はもともと15日でした。しかし関東地方を中心として7日に松の内が終了して、松飾りを片付けるのが一般的になっています。なぜこうなったのか、それはまず先ほども紹介した家光の死が関係しています。そしてもう一つの説が火事です。1657年明暦3年に、大火(明暦の大火もしくは振袖火事ともいう)が起こります。松送りの時期は冬場のため乾燥していることが多く、いったん火の手が上がると一気に燃え広がってしまう恐れがあります。もし松飾りなど燃えやすいものをいつまでも家の近くに飾っていると、延焼がひどくなって火事被害も悪化してしまう恐れも考えなければなりません。そこで15日まで松飾りを出しっぱなしにするのではなく、早めの7日に片づけてしまおうとなったわけです。

地域によっては異なる風習も

門松を取り外してそのまま燃やしてしまうという地域もみられます。しかしその一方でもう一工夫している地域もあります。まず、門松を外す際に松の先を切ります。この松の先だけを残しておく風習です。この松の先のことを「鳥総松(とぶさまつ)」といいます。鳥総には歳神様との別れを惜しむシンボルという意味合いがあるそうです。