ギフトマナー辞典
ギフトの老舗シャディが贈るGIFT MANNERS
メニュー
神が宿る神聖な正月飾り門松の作り方
お正月
 
一月(睦月)
 
正月飾り
 

神が宿る神聖な正月飾り門松の作り方

正月になると、あらゆるところで門松を目にすることができます。古来からのしきたりは何かと時代と共に忘れ去られがちですが、門松についてはまだまだ多くみられます。とはいえ、詳しい特徴や作り方までしっかり覚えている人は、少数派でしょう。2つの種類の作り方について、ご紹介します。

古来の門松の作り方

意味が重んじられた古来から続けられる門松の作り方

正月の風習はじめ、古来から伝わる伝統にはそれぞれ意味があります。伝統や縁起を重んじる、日本人ならではの文化かもしれません。確かに、門松に似たものであれば近年の便利なサービスや市販品などを通じて、簡単に作れるでしょう。また、ネットショッピングなどを利用して本格的なものを家に居ながら手に入れることができます。ですが、伝統を重んじて本当に意味のある昔ながらの門松を作りたいと考えるなら、正しい方法で手間ひまかけて作るべきでしょう。
門松が正月に置かれるのは、1年の幸福をもたらすとされる神様、歳神様を家に招き入れるためです。神を「待つ」という意味が伴う松でできた飾りを設置することで、神様への目印とするのです。歳神様は、健康や幸せのほか、初日の出と共に山から下りてくる神様で、古来より穀物神として祀られており、五穀豊穣にも関連が深いとされています。心身の幸せから食の豊かさまで、あらゆる面での幸福に繋げられることでしょう。なに事も簡便化されゆく昨今であるにもかかわらず、あえて手間ひまかけて本格的なものを作ることにも大きなメリットが感じられます。

本格的な作り方のポイントは竹

門松の中心的なポジションには3本の竹が目立つ風に飾られていますが、本体は実は松です。竹は長寿を招く縁起物として用いられるようになり、この3本の竹は、すべて束ねて立てられます。ですが、全部同じ長さではありません。それぞれ違う長さになっており、そしてこのバランスこそが重要といわれています。
それぞれの比率は。長いものから7:5:3です。おめでたいシーンにおいて、2で割れる数字は何かと敬遠されます。門松の竹についても、そんな縁起を重んじてこのような長さ配分が決められています。またそれぞれには荒縄を巻くのですが、これらの巻く回数もやはり奇数です。1番長いものは7回、真ん中のものは5回、短いものは3回と、竹の長さ比率と同じ回数巻きます。古来からの風習を重んじる上で大きなポイントとなるので、ぜひこだわってください。

切り方にも注意しよう

昔ながらの門松における竹は、切り口も重要です。2つの種類があり、「そぎ」と「寸胴」という名前がつけられています。前者は、斜めに切って切り口が前方に見えるようにします。そして後者は、水平に切って切り口は前方からまったく見えないようにするというものです。
それぞれどういったところでもちいられているかというと、まず「そぎ」は飲食店などのお客様を呼びたい施設で使用されます。中身がよく見える、お客を呼び込むといった意味合いに通じています。逆に中身の見えない「寸胴」は、お金が詰まりやすいようにと願いを込める金融機関が好んで使用します。どちらも同じ門松に変わりありませんが、風習に詳しい人からすると、間違ったものが置かれていると違和感を感じることでしょう。是非飾る場所によって、注意して選んでください。

近年の門松の作り方

見栄え重視で作ろう

ただ門松を用意したいだけであれば、意味合いなどは特に意識せず、とにかく見栄えにこだわるべきでしょう。結局は家や店舗の前を通る人に見てもらうための存在なので、素材や作り方などはそこまで重要でもありません。そんな考え方をするときに役立つのが、漬物樽です。ちょうど適したサイズ感であり、なおかつ手ごろで手に入るため、準備しやすいです。周囲を「こも」で巻けば、外見的には漬物樽だと分かりせん。手軽に手作りしたいときに、おすすめです。

地域によって作り方の違いが見られる

昔ながらの伝統にとらわれない近年のものは、地域によって独自の進化を遂げている点も特徴的となっています。関東と関西それぞれでの違いが特に大きいので、ぜひ知っておいてください。
まず関東風のものは、中心に3本の竹を立て、それを松やこもで覆う程度の、比較的シンプルな印象のものが一般的です。華やかな門松しか知らない人からすれば、少し寂しい印象すら受けてしまうかもしれません。また金融機関のみならず、「寸胴」のタイプを使用するところが多い点も関東ならではです。
一方関西風は、関東とは逆に華やかかつ迫力ある見た目となっています。3本の竹は一緒ですが、松や梅、葉牡丹、笹、南天といったあらゆる植物で周囲を彩ります。また、土台部分に竹の板を巻いたものが多いのも特徴的です。
その他にも、竹を多数束ねてあえて土台なしに仕上げたスタイリッシュなタイプ、ボリューム感が印象的なすすきで彩った門松、松のみで作ったものなど、現代の柔軟な思考で考え出されたアレンジ系門松も多く登場してきています。古きを知りつつも新しきを知る、そんな精神が反映されているのでしょうか。