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凶を吉へと変える、うそかえ(鷽替え)
一月(睦月)
 
伝統行事
 

凶を吉へと変える、うそかえ(鷽替え)

九州地方の方は1月にうそかえ(鷽替え)の行事があることを知っている方も多いかもしれません。というのも後で詳しく紹介しますが、福岡県にある太宰府天満宮で執り行われるイベントだからです。しかし他の地域の方にとって、なじみのないイベントかもしれません。そこでここでは、鷽替えとはどのような行事かについて以下で詳しく見ていきましょう。

うそかえ(鷽替え)の由来

そもそも鷽とはどのようなもの?

うそかえ(鷽替え)は簡単に言ってしまうと文字通り、鷽を変えることです。しかしそもそも鷽とはどのようなものかわからないという人も多いでしょう。「木鷽」「鷽鳥」とも呼ばれることもありますが、小鳥の木彫りを指します。インターネットなどで検索すると分かるのですが、コンパクトでかわいらしい木彫りです。この鷽を持っている人同士がお互い交換する、もしくは新しいものに買い替えるのが鷽替えのイベントです。

うそかえ(鷽替え)の由来は太宰府天満宮

うそかえ(鷽替え)のルーツは、福岡県にある太宰府天満宮といわれています。ですから九州地方在住・出身の方なら聞いたことのある人も多いのではありませんか? 1月7日に行われるイベントで、酉の刻といわれる午後6時に執り行われます。参拝者は木鷽を手にしてやってきます。そしてほかの参拝者を見つけて、この木鷽を交換するわけです。鷽は「嘘」と同じ読み方です。このため、木鷽を交換することでこれまでの災いや凶事を嘘にできると考えられました。その結果、今年は吉に変わって幸せに暮らせるわけです。もしこの時期に大宰府天満宮を訪れるような場合があれば、神事に参加してみるとよいでしょう。この時「替えましょ、替えましょ」という掛け声がかかりますので覚えておいてはいかがですか?

鷽とは?

鷽という鳥は一般的にはあまり知られていない種類かもしれません。鷽というのは実在する鳥で、スズメの仲間になります。普通のスズメと比較すると、一回り大きいくらいのサイズです。頭と尾っぽは黒くて背中やお腹はグレーなのでシックなたたずまいですが、オスはのど元が紅になっていていいワンポイントになっています。なぜこのような呼び名になったのか、それは鳴き声が口笛のように聞こえたからです。口笛は古語では「うそ」と呼ばれていたので、このような呼び名が定着したと考えられています。木彫りの鷽は開運のお守りという役割があって、神社によって若干その形やデザインが異なるのも興味深いところです。

うそかえ(鷽替え)の行事

うそかえ(鷽替え)神事の概要

先ほども紹介したように、うそかえ(鷽替え)は太宰府天満宮で執り行われたのが由来です。「替えましょ、替えましょ」の掛け声に合わせて、木鷽を暗闇の中で交換します。前年1年間、全く嘘をついていないという人は少ないかもしれません。また知らず知らずのうちについた嘘を交換することで、天神様の誠心に変える意味合いがあります。そしてこれまでの悪いことも鷽にしてしまって、今年の吉に取り換えるわけです。ちなみにこの神事の時に取り換えた木鷽ですが、自宅の神棚にお祀りしましょう。そのうえで、今年1年間の幸福を祈念するわけです。ちなみに木鷽が手元にない人でも大丈夫です。当日の午後5時から木鷽の授与を行っています。木うそ授与所が特設されますので、こちらで入手すれば、行事に参加可能です。うそかえ(鷽替え)は1月7日の午後6時から天神ひろばの斎場で執り行われるのが通例です。ちなみに広場は楼門の横にあります。

鬼すべ神事

太宰府天満宮では、うそかえ(鷽替え)のほかにも鬼すべ神事が続けて行われます。鬼すべ神事は1月7日の夜に執り行われる行事です。その年1年間の災難消除や開福招福を願う行事で、火祭りの一種です。鬼すべ神事の歴史は古く、986年菅原道真の曽孫にあたる人が行ったのが最初といわれています。氏子奉仕者が、鬼を退治する燻手(すべて)と鬼を守る鬼警固、そして鬼に分かれます。そして炎を使っての攻防戦が行われるわけです。燻手が鬼を追い出そうとして、鬼警固は堂内の煙を外に出すことで鬼を守ろうとし、それは壮絶な攻防戦になるそうです。また御神火で火がつけられると、炎と煙が夜空を彩っていきます。この鬼すべ神事は午後9時から行われます。うそかえ(鷽替え)が終わって、しばらく時間がありますが少し待ってみてこの鬼すべ神事に参加してみるのもよいでしょう。ちなみに板壁で燃え残るものも出てきます。この板壁には火日除けのお守りになるという信仰があるため、この板壁を持ち帰って玄関先にお祀りする風習もみられますので、手に取ってみるのはいかがですか?
うそかえ(鷽替え)と鬼すべ神事がすべて終わると、大宰府天満宮ではお正月が明けたという実感がわきます。そして今度は春の訪れを待つための準備が始まるというわけです。