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地域によって呼び名が異なる左義長(どんど焼き)
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地域によって呼び名が異なる左義長(どんど焼き)

正月にはさまざまな飾りつけが定番ですが、時期を過ぎるとそれらを処分しなければなりません。その正式な方法こそが、左義長(どんど焼き)といわれるものです。正月を迎える準備も風情がありますが、こちらもまた印象的な行事です。ぜひ、詳しく知っておいてください。

左義長(どんど焼き)の歴史

左義長(どんど焼き)には深い歴史がある

左義長とどんど焼きは、同じ作業を表しています。なぜ2つの呼び名があるのかというと、それは歴史の変遷と同時に呼び名も変化してきているためです。具体的には、近年の呼び名がどんど焼き、元祖ともいえるものが左義長であるとされています。発祥は定かではありませんが、鎌倉時代以前の出雲地方ではないかといわれているそうです。
とはいえ、当時の左義長が現代のどんど焼きとまったく同じであったかというと、そうでもありません。その内容を知るには、この名称の由来になった存在を知る必要があります。左義長という名前の元は、「毬杖」と書いて「ぎっちょう」と呼ぶ、貴族の正月遊びといわれています。今風に表現すると、棒状のスティックで木のボールを打ち合う、ホッケーやゲートボールのような遊びであったそうです。そんな「毬杖」の棒の先端を使い、貴族は小正月の1月15日に、扇子や短冊などを焼いていました。使わなくなったものを焼いて処分する、つまりどんど焼きの元祖がここに完成したというわけです。
そうした理由から、当時は左義長でなく「三毬杖」と書いて「さぎちょう」と読んでいたそうです。その他にも「三毬打」、「爆竹」、「鷺鳥」といった字をもちいていたという説もあるようですが、由来から考えると、やはり「毬杖」が有力なのではないか、といった風に想像することができます。

左義長(どんど焼き)の呼び名はさまざま

前述でも少し触れていますが、現代に伝わる左義長の呼び名はさまざまな変化を遂げているようです。代表的な呼び名がどんど焼きですが、他にも、千葉や茨城南部ではあわんとり、九州の鬼火焼き、長野の一部でいわれるかあがり、新潟県村上市のかんじょなど、全国でそれぞれの呼び名があります。またどんど焼きにも、とうどうさん・とんど・とんど焼き・どんと・どんどやなど、似た響きながら読み方が違う名称が多数存在しているようです。古くから長い年月をかけ伝わり続けていることが分かる、印象的な特徴といえるのではないでしょうか。
どんど焼きの由来についてですが、こちらも複数説があるといわれています。まずひとつは、門松などの竹飾りを燃やす際、節の空気が膨張して爆発するため、「ドン」という音が鳴るからという説です。そしてもうひとつは、かつてどんど焼きをする際、「尊い」という意味の込められた「とうとやとうと」という掛け声をもちいていたものが訛ったためという理由です。豆知識のひとつとして、覚えておいてみてはいかがでしょう。

左義長(どんど焼き)の内容

左義長(どんど焼き)の方法

左義長(どんど焼き)は、基本的に正月飾りを神聖に処分するための儀式となっています。ですが、ただ焼却するだけでもありません。神社のスペースや広い空き地、その他学校の校庭などに、青竹や藁、ひのきの枝といったもので大きなやぐらを作り、まるで火でできた山のようなスケール感で燃やします。そのため、毎年各地では年始の一大行事として盛り上がりを見せます。幻想的な火の様子や、迫力ある竹の爆発音は、まさに正月を迎えた日本の風物詩といえるかもしれません。
またその他にも、子供たちが正月におこなった書き初めや、お守り、だるまなどを焼いてもらうこともできます。これらには、願いや祈りが込められているため、気軽に処分しにくいですが左義長(どんど焼き)の神聖な火であれば、伝統に沿って正式に処分することができます。

お腹も満たせる左義長(どんど焼き)

左義長は、時代と共にどんど焼きという名称に変わってきたとご紹介しましたが、実は現代にも左義長の名残は残っているように感じられます。というのも、どんど焼きの火で正月用品などを焼く際、柳の枝や細い竹に餅を刺して焼いて食べるという風習が残されているためです。まさに、「毬杖」の先で扇子や短冊を焼いていたのと同じ形式に思えてはこないでしょうか。
その餅は、もちろんおいしく味わって問題ありません。ですが、ここでも縁起を担ぐ意味合いが伴います。左義長(どんど焼き)の火で焼いた餅を食べると、歳神様の恵みを体の中に取り込んで、1年間の無病息災が得られるといった言い伝えがあるためです。おせち料理にも同様の意味合いが伴いますが、神聖な火で焼いた餅を食べれば、その効果は一層強まるのではないでしょうか。
また一部地域には、五穀豊穣や家内安全も祈願できるといった、多くのご利益が伴うところもあるようです。餅は日本の食の象徴である、稲作で収穫できる米からできています。そういった面を考えると、これらのご利益もうなずけるといったところでしょう。左義長(どんど焼き)に参加した際は、焼き払い行事と合わせて、ぜひ楽しんでみてはいかがでしょう。