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聖霊降臨祭(ペンテコステ)の歴史や由来について
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聖霊降臨祭(ペンテコステ)の歴史や由来について

聖霊降臨祭またはペンテコステという言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本ではあまりなじみがないですが、キリスト教文化圏であるヨーロッパなどでは国民の祝日になるほど大切な日です。キリスト教圏では、キリスト教と生活が密接にむすびついています。この記事では聖霊降臨祭やそれにまつわるイベントなどについてご紹介します。

聖霊降臨祭(ペンテコステ)の意味

聖霊降臨際とは

聖霊降臨祭(ペンテコステ)は、新約聖書にある聖霊降臨の場面にちなんだ祝祭日です。聖霊降臨に関する記述は新約聖書の『使徒行伝』2章1節~42節にみられます。それによると「復活したイエスは弟子たちに『近いうちに聖霊が降る』ことを告げると天へと上っていく。それから10日が経ったある日、使徒とその他の弟子たちが集まってユダヤ教の五旬祭の祈りをしていると、激しい風のような音が聞こえ、天から炎のような舌が降ったのである。使徒たちは聖霊に満たされ、さまざまな国の言葉で語り始める。地中海世界全域からディアスポラのユダヤ人たちがエルサレムに集まっていたが、使徒たちが自分の地域の言葉で語っているのを聞いて驚いた。イエスの死と復活の意味についてペトロが中心になって語ると多くの人が洗礼を受け、使徒たちのグループに加わった。」とあります。このように、聖霊降臨は、イエスの復活・昇天後に集まって祈っていた120人の信徒たちの上に、神からの聖霊が降ったという出来事であり、聖霊降臨祭とはその出来事を記念する日のことです。教派によって訳語は異なり、聖神降臨祭(せいしんこうりんさい)、五旬節(ごじゅんせつ)、五旬祭(ごじゅんさい)ともいいます。
ペンテコステは、教会の成立と世界伝道の開始の日でもあり、クリスマス、復活祭とならぶ大切な祝日です。ペンテコステは、ギリシャ語で「50」を意味し、復活祭(イースター)からかぞえて50日後に祝われる移動祝祭日です。日付は毎年異なりますが、ヨーロッパの西方では5月初旬から6月上旬の日曜日、東方では5月初旬から6月下旬の日曜日に行われます。

各国でおこなわれる聖霊降臨祭のお祝い

フランスやイタリアでは新約聖書のエピソードにみられる「激しい風のような音」をトランペットを吹いて表現したり、バラの花びらを撒いて「炎」を表現したりするのが習わしです。南ドイツ、スイス、オーストラリアなどでは、古くからあった春の収穫祭とむすびついて、牡牛に花の冠をつけてパレードしたり、引き回したり追いかけたりする伝統的な行事が今も残っています。また、オーストリアのザルツブルクでは聖霊降臨祭に際して音楽祭が催されます。

ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭

「ザルツブルク聖霊降臨音楽祭」は、聖霊降臨祭の時期にオーストリアのザルツブルクで開催される音楽祭です。1972年にオーストリアの著名な指揮者であるヘルベルト・フォン・カラヤンが創設し、1973年に最初のコンサートを始めます。カラヤン指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団により1989年まで開催されていましたが、カラヤンが亡くなったあとは一時中断されることとなりました。
1998年にザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭が引き継ぎ、2007年からリッカルド・ムーティ、2012年からはイタリアの歌手チェチーリア・バルトリが芸術監督を務め、聖霊降臨祭音楽祭の主要作品は夏の夏至祭でも上演されています。

ドイツで行われる聖霊降臨祭(ペンテコステ)

ドイツの聖霊降臨祭

ドイツでは聖霊降臨祭は「Pfingsten(プフィングステン)」とよばれています。ドイツでもこの日は祝日です。ドイツではもともとあった春の収穫に感謝するお祭りと、この聖霊降臨祭が結びついてお祝いされるようになり、地域によってさまざまな祝い方をします。南ドイツのバイエルンにある小さな地域では、花冠の牛を引いて回ったり芝の上でパレードをします。また、大きな焚き火をし、地域の人が集まり歌を歌ったり、教えを聞いたりするのも別の地域の習慣です。また、自転車競技大会やマラソン大会が行われるところもあります。この日はもともと生け贄の子羊を丸焼きにして食べる習慣があり、現在でも子羊、子豚、うさぎなどを丸焼きのローストで食べるのが伝統的なご馳走で、スーパーでもそういうお肉を買い求めることができるようです。町によっては、ビールやソーセージを売る屋台などもたち賑わいをみせます。

ペンテコステのバラ

聖霊降臨祭の時期は、あちこちの家の庭でシャクヤクが咲きます。ドイツではシャクヤクのことを「ペンテコステのバラ」(プフィングスト・ローズ:pfingst rose)と呼び、市場でも比較的安く手に入れることができる花です。シャクヤクの花が「ペンテコステのバラ」と呼ばれるのは、それがバラの花に似て美しいこと、毎年ペンテコステの時期になると、こぼれるような大輪の花を咲かせるからだといわれています。この時期に華やかさを添えるペンテコステのローズは、聖霊降臨祭には欠かせない花となっています。