新年のご挨拶を届ける年賀状の役割
年末になると友達や仕事でお世話になっている人に対して、年賀状を準備するのは風物詩です。今では若い人を中心にSNSやメールなどで済ませてしまうケースも多いようですが、それでもなお多くのはがきが年始になるとやり取りされます。近年会っていない親族からのはがきで近況を知るのが楽しみという人もいるでしょう。しかしこの年賀状、どのような歴史があるのか知らない人も多いのではないでしょうか? 今回は年賀状の歴史などにスポットを当ててご紹介します。
年賀状の歴史
年賀の歴史は古い
エジプトやメソポタミア文明の時代にすでに年賀の習慣はあったそうです。はがきとしてやり取りされるようになったのはもっと後ですが、日本での年賀の習慣は奈良時代頃からあったといわれています。ただし、家族内や町内などの狭いコミュニティでお互いに顔を合わせて挨拶をするスタイルが一般的でした。しかし時代が進むにつれ、社会が複雑になっていき、親せきや知人で正月に直接会って挨拶のできないケースも増えていきます。そこで書状という形で年賀のあいさつをするようになったのが年賀状というわけです。
はがきの誕生で年賀状が普及
明治維新を経ると、欧米など海外の文化がどんどん入ってきます。その結果、近代化が進みました。郵便制度が誕生したのもその一環です。1870年に郵便事業の操業が建議され1885年の通信省誕生のころには郵便が日本国内に定着したと考えられています。ちなみに1873年にはすでに、郵便はがきが発行されました。さらに明治20年代に差し掛かると、年賀状を出すことが国民の行事の一つとしてすでに定着していたといわれます。急激な普及は年賀状の取扱量を見ればわかります。明治20年を前後して、郵便取扱量は実に何十倍にも膨れ上がったのです。郵便事業に携わる人を急に増やすわけにもいきません。その結果、郵便物全体の処理が遅れるようになったほどでした。
戦争と年賀状
年賀はがきの数はどんどん増えていきます。そして1935年には実に7億通を超えピークを迎えます。昭和10年当時日本の人口は7000万人弱でした。ということは単純計算すると、1人10通は出していたことになります。しかし昭和12年ごろを境に年賀はがきの数は急激に減少します。それは戦争が関係していました。戦争が激化することで物資不足の状況に陥り、年賀はがきを調達するのが難しくなったためです。1940年ごろには逓信省で「お互に年賀状はよしませう」というはがきのやり取りの自粛を促すようなポスターを作製したほどです。太平洋戦争終戦の年には、年賀状の届く家庭はほとんどなかったとみられています。年賀郵便の特別取扱制度が復活するのは1948年のことでした。復活した年には戦前のピークと比較すると取扱量は半分にも満たなかったといいます。しかし翌年になると飛躍的に増えて、年賀状を出す文化が今に至ります。
年賀状に使う紙の種類
普通紙
年賀状を出すにあたって、はがきを用意する必要があります。現在発行されている年賀はがきは3種類に分類されます。まずは普通紙です。普通紙は昔から使われているスタンダードなタイプのはがきだと思ってください。一般の官製はがきと基本的な性質は一緒です。手書きで年賀状を作成したいと思っている人におすすめです。鉛筆やボールペン、万年筆のような先が硬くなっているもので手書きにて作成する場合に最も適していて、書きやすいでしょう。鉛筆で書き間違えた場合でも消しゴムできれいに消せます。
インクジェット紙
近年ではパソコンも一般家庭に急速に普及しました。このため年賀はがきを作成するにあたって、パソコンでレイアウトを考えて、プリンターでプリントアウトするケースも多いでしょう。もしプリントアウトを希望しているのであれば、インクジェット紙がおすすめです。インクジェット紙は裏面がコーティング加工されているのが特徴です。キメが細かくて、先ほど紹介した普通紙と比較すると触った時にしっとりした感じがします。このためインクの吸収率が高いです。普通紙のようにしばらく乾かす必要はなく、にじんだり液だれしたりするリスクも少ないです。イラストや絵柄を印刷したければインクジェット紙を使ったほうが、普通紙と比較して鮮やかな出来栄えになります。
インクジェット写真用
家族の写真などを年賀はがきに貼り付けるという家庭も増えています。写真もインクジェット紙で対応できるかもしれません。しかしインクジェット紙の場合、光沢がないので写真が少しぼやけたような感じになりがちです。もし写真も貼り付けたいと思っているのであれば、インクジェット写真用という種類があります。こちらを活用しましょう。インクジェット写真用は裏面がフォトペーパーのようになっているので、写真をそのままはがきに再現できます。インクがにじまないような加工を施しているので、鮮明度もインクジェット紙よりも格段に優れています。ただし加工が施されていて、通常のはがきと比較すると厚みが増しているので、プリンターで紙詰まりが起こりやすいので注意が必要です。
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