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お正月を迎えるための準備が煤払い
お正月
 
十二月(師走)
 

お正月を迎えるための準備が煤払い

正月準備のひとつに、煤払いがあります。とはいえ、薪や炭を使う家庭は近年ほとんどみられないため、本当に煤を払うための行事というわけでもありません。ですが、気持ちよく正月を迎えるための重要な作業です。詳しい内容を、しっかり理解しておきましょう。

煤払いの歴史

煤払いの意味について

煤払い(すすはらい)と聞くとあまり馴染みはないかもしれませんが、大掃除といい換えると、多くの人が知っているのではないでしょうか。知っているどころか、実際にやったことがある人も少なくないことでしょう。毎年年末に、普段以上の大掛かりな掃除をおこない、清々しい気分で正月が迎えられるよう準備するのです。近年おこなっていない人でも、子供の頃に親や祖父母に教えてもらったというケースは多いはずです。家の汚れは、1年をかけてあらゆる場所に溜まっていきます。年に一度の大掛かりな掃除で、しっかり清潔さを取り戻すことが大切です。
煤払いという言葉がもちいられているのは、かつて薪や炭を使って火をおこす家が多かったためです。これらからおこる煙は、天井をはじめとした家の隅々に煤汚れを作ります。普段は掃除しにくいところも、年末にはしっかり気合いを入れて掃除する、そんな意味合いが込められているのかもしれません。

煤払いのはじまり

いつの時代も掃除は存在したかもしれませんが、こと煤払い・大掃除となるとまた違ってきます。年末のタイミングにて、1年で溜まった汚れをまとめてきれいにするというのは、通常の掃除と大きく意味が異なるためです。そして煤払いが始まった時期というのは、10世紀の平安時代であるといわれています。この頃の宮中より習慣化が始まり、今日まで続いているというわけです。当時の宮中には設営と掃除をつかさどる専用の部署まで設けられていたそうで、本格さが窺えます。また、「掃除」という言葉がもちいられ始めたのも、この時期といわれています。
理由としては、ただ宮中をきれいにするためだけというわけでもありません。日本の正月には、古くから歳神様を迎える習慣があります。新年の始めに訪れて、1年の幸福、そして五穀豊穣をもたらすと信じられているそうです。そして煤払いは、そんな歳神様を清浄な家でお迎えしたいという思いからおこなわれる行事となっています。門松や注連(しめ)飾り、鏡餅といったお馴染みの正月用品もまた、同じく歳神様信仰が由来したものです。
特に盛んであった時期は江戸時代といわれており、賑わいを見せる商家を描いた図入りの資料も現存しているほどです。年末の一大行事として、多くの人が協力して家の隅々まで掃除をおこなっている図となっています。日本は縁起や風習を重んじる国ですが、昔はより一層そのような風潮が大きかったため、現在のイメージでは想像できないぐらいの大々的なイベントであったのかもしれません。古くから続けられる伝統ある行事であると理解できれば、掃除をする手にもより力がこもるのではないでしょうか。

煤払いのやり方

煤払いの準備

大掃除と聞くと普段の掃除を本格的にやる行事といった印象かもしれませんが、古くから伝えられる「煤払い」を本格的におこなうのであれば、しっかりとした準備が必要です。正しい方法でおこなってこそ、歳神様もより気にかけてくれることでしょう。
まず準備を始める時期ですが、12月13日からが一般的です。なぜこの日なのかというと、それはこのタイミングが正月事始めにあたるためです。事始めには、正月に向けたあらゆる準備をおこないます。主には、正月飾りの準備や門松などに使う松の切り出しである「松迎え」、そして煤払いなどです。
ただ掃除するだけなら、近所に売っているような一般的な掃除用具でも問題ありませんが、本格的な煤払いには重要な道具を忘れてはなりません。それは、竹ぼうきです。あらかじめ刈ってきた笹竹の先に葉や藁をつけて、ほうき状に仕上げます。現在ではほうきを用意するだけなら、安く手軽に手に入れられます。煤払いにはこの竹ぼうきが欠かせないのです。なぜなら、神聖な竹を使ったほうきによって、お清めする意味も込められるためです。そうした理由から、煤払いで使う竹ぼうきは「清め竹」とも呼ばれています。
また使用した後も、竹ぼうきはすぐに処分しません。なぜなら、神社などで焚き上げしてもらう風習にもちいるためです。一部地域では、小正月の左義長(さぎちょう)のタイミングで焚き上げると決められたところもあるほどで、これもまた重要な煤払い行事の一部といえます。

掃除するときの順序とは

順番はどうであれ、掃除自体はスムーズにおこなえるでしょう。ただ、正式なやり方や効率を意識するのであれば、少しこだわっても良いでしょう。正式な手順は、まず神棚の掃除から始め、そのあと台所など各部屋をきれいにするといった流れを意識してください。やはり、神聖な場所は優先的におこなうのがしきたりのようです。また、高いところから始めて、徐々に低いところを掃除するというのもコツです。こうすることで、掃除した場所にほこりが落ちるのを防げます。