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年末の風物詩となった羽子板市とは
伝統行事
 
十二月(師走)
 
羽子板
 

年末の風物詩となった羽子板市とは

年末はさまざまなイベントが目白押しですが、羽子板市に関しては知らない人も多いかもしれません。ですが、日本の風情が感じられるとても魅力的なイベントなので、ぜひ知ってみてください。羽子板市の特徴について、詳しくご紹介します。

羽子板市とは

羽子板市の特徴

羽子板市は、その名の通り、羽子板が売られる市のことです。時期は年末で、正月用品のひとつとして購入されるのが一般的です。近年では羽子板で遊ぶという文化もそう見られなくなってきていますが、古くからの風習に伴い、縁起物として利用する人が少なくありません。古くからの歴史に基づいた文化なので、日本の良さを見つめなおすという意味で有効でしょう。
また、正月用品といえば羽子板に留まらず、さまざまなものがあることで知られています。たとえば、門松や松飾り、神棚飾り、破魔弓といった具合です。そのため、羽子板専門の市としてではなく、それ以外の正月用品を全般的に販売する市もあります。名前は、「歳の市」です。物以外にも、海産物や乾物、餅といった食材が売られるところも多くみられます。正月用品を一式揃えたい、そんなときは、こちらの方が重宝するかもしれません。

羽子板がもつ意味について

羽子板は、正月の縁起物の中でも主に女児向けのものといわれています。鮮やかな絵柄は、まさに女児向けといったところであったのかもしれません。また、ただ女児が気に入りそうという意味だけでなく、成長を願うためのものとしても重宝されています。主には、羽子板の羽が健康に育つようにという思いが込められており、女児を出産する際の母親や夫婦に贈送られる慣わしがあったそうです。現代ともなれば、そこまで縁起などは重視されないかもしれませんが、それでも新たな年へ向けて、我が子の健康を願う上で理想的な正月用品となることでしょう。羽子板市で質の良いものを購入して、家に飾っておくというのもおすすめです。

羽子板市がおこなわれる場所

歳の市については、複数の寺院でおこなわれるのが一般的です。ですがこと羽子板市に関しては、そこまで広くおこなわれません。やはり羽子板という実用的でない正月用具を専門的に扱う市であるため、そこまで積極的にはおこなわれないといったところなのでしょう。
有名な場所としては、東京の浅草にある寺が代表的です。12月の中旬頃に3日間ほど催され、季節の風物詩として盛り上がりがみられます。歳の市の発祥も浅草といわれているため、古くからの伝統が受け継がれているといったところなのでしょう。寺の近くにある遊園地では、羽子板市で購入した羽子板を提示することで5名までが入園無料になるといったキャンペーンもおこなっているようです。正月らしい羽子板が手に入り、さらにお得に遊園地でも遊べて、まさに一石二鳥といったところでしょう。

羽子板市の歴史

羽子板市にはどのような歴史があるの?

羽子板市を語る上では、やはり歳の市の存在が外せません。羽子板の市は、歳の市の延長のような形で続けられているためです。歳の市のはじまりは、江戸時代であるといわれています。最初は浅草の寺のみでおこなわれていたものの、徐々に盛況を博し、江戸各地へ広がっていきました。
中でも盛り上がりがみられたのは、江戸時代後期の1804~1829年における文化文政期だったそうです。羽子板の絵柄として、歌舞伎役者の舞台姿が人気を博し、当時の女性たちは競うかのようにひいきの役者の羽子板を購入していました。現代でいう、アイドルグッズにも近い存在だったのかもしれません。中でも質の高い製品であった「押絵羽子板」は、現在もなお伝統的な工芸品として作られ続けています。鮮やかな色彩と、豪華な装飾が印象的となっており、現代の感性で目にしても、当時の女性に人気を博していたことが大いに窺える上質品です。

羽子板が女児のお守りになった歴史

前述で、羽子板は女児の健康を願うためにもちいられていたとご紹介しましたが、もちろんそこには理由があります。たとえば、戦国時代に邪気よけのお守りとして贈られていたという説が印象的です。現在と同じく、年末に贈るのが慣わしとなっていたらしく、羽子板市文化の始まりであるように感じられてなりません。
また、羽子板の羽根にもまた願いが込められています。羽根の先には、植物の種が使われています。これはむくろじという大木の種子でできており、堅く羽根の重心として適した印象です。そして、この種にこそ女児のお守りである理由が伴っています。むくろじは、漢字で「無患子」と書きます。すなわち、子の患いを無くしてくれるという意味が込められているのです。当時はまだ医療も発達しておらず、幼くして病に冒される子供も多かったことでしょう。そんな中、親心を込めて始められたのが羽子板の習慣だったのではないでしょうか。
また、羽根がトンボに似ていることも理由のひとつです。トンボは、病気を運ぶ蚊を食べる昆虫です。そのためトンボに似た羽をつくことで、子が蚊に刺されないよう祈り、無病息災を願うといった意味も込められていました。幼い女の子供がいる、もしくは女児を出産する予定がある、そんな女性や家庭への贈り物として、とても適しているように感じられます。