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地域や家庭によって違いがあるお雑煮
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地域や家庭によって違いがあるお雑煮

毎年正月が訪れるたび、お雑煮を楽しみにしている人は少なくないのではないでしょうか。豊富な具材や温かさは、寒い冬に何ともうれしく感じられます。今回は、そんなお雑煮について詳しくまとめました。意外な真実を知ることで、いつものお雑煮もより一層おいしく感じられるかもしれません。

お雑煮の歴史

お雑煮について

正月の風習にはさまざまなものがありますが、お雑煮は中でも有名かもしれません。沖縄を除き、全国で楽しまれる料理であり、また飲食店やスーパー、コンビニなどでも関連したメニューや商品が多く売られています。実際食べたことがない人でも、その名前を聞いたことがある人は少なくないでしょう。
具体的な説明としては、餅の入った汁物といえます。なぜこのようなおおまかな表現かというと、餅以外の具材は地域それぞれで異なるためです。ただ、餅こそがお雑煮のポイントになるので、この点は基本的に全国共通となっています。
具材の例としては、まず大根・にんじん・ねぎなどを中心として、東北なら山菜やきのこ、新潟は鮭、いくらなど、千葉では海苔、広島は牡蠣など、地方色が色濃く反映されるのが特徴的です。基本は、海に面した場所では海の幸を、そして山間部では山の幸をもちいる形ですが、逆に正月というめでたいタイミングだからこそ、普段手に入りにくい食材を使用するといった文化もみられるようです。

どのような歴史があるの?

伝統的な日本料理のひとつであるお雑煮は、古くから親しまれてきました。それこそ、平安時代から食べられているともいわれており、長い歴史を誇ります。ですが、当時に関してはかならずしも正月限定の料理というわけでもなかったようです。当時のお雑煮は、武士が宴会で一番最初に食べる酒の肴として親しまれていました。とはいえ、この「最初に食べる」という風習がのちに1年の最初である正月に食べるという伝統に変化してきているので、あながち無関係ともいい切れません。武士が食していた縁起物の料理を、1年の最初に食べることで幸福な日々を願う、そんな意味合いが込められています。
そして欠かせない食材である餅ですが、これは古くからハレの日の食べ物として親しまれてきた存在となっています。日本人は農耕民族であるため、米から作る餅に特別な感覚を抱いていたためです。そんな餅は、新年のタイミングでいわゆる鏡餅にして歳神様に供えられます。そしてそのお供えをお下がりとしていただき、料理にしたものこそがお雑煮というわけです。
昔は餅は誰もが食べられる食べ物でもありませんでした。かつての日本における米は、高価な存在です。それこそ、お金の代わりに使用されていたほどなので、庶民のお雑煮については、餅の代わりとして里芋が使われていました。現在でもお雑煮の具のひとつとして里芋を使うことは少なくありませんが、もしかするとそのような背景が影響しているのかもしれません。餅が比較的手に入りやすくなった江戸時代以降は、庶民の間でも餅入りのお雑煮が広がっていったそうです。

お雑煮の作り方

地方ごとの違いは野菜だけでもない

前述にて、具材は地方それぞれで特色が出るとご紹介しましたが、それは野菜だけの話でもありません。実は餅や汁に関しても、地域によって違いがみられます。まず餅については、形の違いが特徴的です。主には、関西では丸形、そして関東や寒冷地においては角形が多いといわれています。丸い形は、家族の円満を意味しています。そして角形のものは、一度に多く作れるため、人口の集中していた江戸時代の関東で重宝されていたそうです。丸形と角形の境界線は関ケ原あたりともいわれています。その他にも、岐阜・三重・滋賀のそれぞれでは丸形と角形が混在している、香川や愛媛ではあんこ入りの餅を使う、その他、焼いたものを入れるかそのまま煮るかといった違いも、地域や家庭それぞれに存在するようです。餅ひとつとっても、さまざまな形で全国に広がっていることが窺えます。
そしてもうひとつ特徴的な違いになっているのが、汁についてです。他地域のものを食べたことがない人にとっては意外に感じられるかもしれませんが、関西では白味噌仕立て、東日本、そして近畿を除く西日本ではすまし汁、さらに出雲地方や能登半島の一部では小豆汁を使用するところもあるそうです。味も見た目も大きく異なるため、初めて他地域のお雑煮を食べるときは驚くことでしょう。お雑煮を作るときには、地域性に関しても意識するよう注意してください。

正式な作り方について

お雑煮は縁起ものであるため、作り方についても正しい手順というものが存在します。現代では、特に意識せず調理するケースも多いかもしれませんが、意識する価値は大いにあるでしょう。まず使う水についてですが、これは新年最初に用意した「若水」というものを使用します。本来は、井戸で汲んだものが使われていたそうです。そして具材と水を、これらもまた新年最初の火で煮込んで作ります。祝いの席なので、しっかり伝統を意識して作るとより意味のある食事となることでしょう。