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伝統行事を司る旧暦と新暦との違いとは
伝統行事
 

伝統行事を司る旧暦と新暦との違いとは

暦や年中行事の話題の中ヶで「旧暦の○月○日にあたる日」という表現に出くわします。日本の伝統的な年中行事は、そもそもは旧暦に則って制定されているので、このようにいわれるのです。そういった行事を現代生活の中に取り入れるには日付をずらすなどの工夫が必要になります。そもそも、旧暦と新暦にはどのような違いがあるのでしょうか。気になる旧暦について解説します。

旧暦と新暦の違い

旧暦とは

旧暦こと天保暦は、月の巡りを基に考えた暦です。新月から次の新月までが1ヶ月としているため、太陰暦と誤解されることも多いのですがそれは間違いです。太陰暦の1ヶ月は平均して約29.5日、1年は354日~355日という計算になり、1年に10日もずれが生じてしまい、農業がおもな生業だった昔の日本にはふさわしくありませんでした。
この太陰暦の1年に10日のずれを修正した暦が太陰太陽暦で、旧暦はこれに分類されます。月の満ち欠けで1ヶ月を決めているのは太陰暦と変わりませんが、ずれを解消するために閏月が採用されているのが特徴になります。19年に7度、実際には約3年に1度の頻度で1年が13ヶ月となる閏年を作ったのです。旧暦では1月~3月が春、4月~6月が夏、7月~9月が秋、10月~12月が冬と決まっていたので、それが崩れないように閏年を置くのがルールでした。

新暦とは

一方の太陽暦は、地球が太陽のまわりを一周する時間を1年と定めた暦です。厳密には1周に365日5時間48分46秒かかるので、ずれを調整するためにおよそ4年に1度、2月が1日多くなる閏年を制定しています。
現在、世界基準で使用されている暦も太陽暦のグレゴリオ暦となっています。日本でも明治5年から採用されていますが、それまで使われていた天保暦を旧暦、こちらを新暦と呼ぶのが一般的です。

旧暦と新暦

以上のように旧暦と新暦にはさまざまな違いがあります。しかし、暦を改めたからといって、それまで旧暦に則って続けていた行事まで急に切り捨てるわけにはいきません。日付を変更するにも、四季がある日本だからこそ季節外れの行事にならないようにするのも大事です。そこでさまざまな工夫がなされるようになったのです。

旧暦行事を新暦で行う際の工夫

特定日付に行う行事

旧暦と新暦にどんない違いがあるにせよ、お正月を1月1日からずらすわけにはいきません。そのように、今も昔も特定日付に実施する行事もいくつかあります。お正月の他、1月7日の七草、3月3日のひな祭り、5月5日の端午の節句、7月7日の七夕、9月9日の菊の節句の、いわゆる五節句などがこれに相当します。
毎年、変わらない日付なのは覚えやすい一方、季節感に多少のずれが生じてしまうのが欠点です。顕著なのが七夕で毎年だいたい梅雨の最中になってしまいます。これを解消するために採用されているのが月遅れという方法です。

旧暦または月遅れで行う行事

地方によっては現在でも伝統的な行事を月後れ、または旧暦で実施しているところも少なくありません。たとえば、お正月も沖縄・奄美地方では旧暦のお正月「旧正月」を祝います。日本以外のアジアではお正月といえば旧正月なので、横浜などの中華街でも旧暦で新年を迎えることになります。
また、桃の節句も東北や北陸などの寒冷地では雪が積もっていますし、飾るための桃の花も咲いていません。そのため、旧暦3月3日、または月遅れで新暦4月3日に行われることもあります。同様に、端午の節句を旧暦5月5日、月後れの新暦6月5日に実施する地方もわずかながら存在しているのです。
旧暦7月7日に七夕を実施しているのは仙台が代表的で、七夕まつりには毎年全国から数多くの観光客が訪れます。仙台国立天文台でも「伝統的七夕」としてキャンペーンを行っているので、全国的に周知されつつあるといえるでしょう。
お盆も全国的には月後れの新暦8月15日とされていますが、沖縄・奄美地方では旧暦7月15日で行うため「旧盆」と呼ばれています。また、東京、横浜、函館などのごく一部ですが新暦7月15日に行うところもあります。

旧暦と新暦の変換や早見表

このように伝統行事は、旧暦の○月○日が新暦では何月何日に相当するのか変換された日に行われます。換算して対照表にしてあるものなどを利用してみると良いでしょう。最近では旧暦と新暦を比較して、すぐに答えを出してくれるサイト等もあり大変便利です。
毎日、新暦カレンダーに沿ってあわただしく生活していたとしても、旧暦の時代に大切にされてきた伝統行事はぜひ忘れないようにしたいところです。現代生活の中で滞りなく行うためには、旧暦と新暦の違いを理解し、本来はどのような意味があったのか立ち返るのも大事といえるでしょう。そこには、過ぎる季節を惜しみ、来るべき新しい季節に心身を整える知恵が隠されています。日本の春夏秋冬を深く味わう豊かな暮らしをするためにも、旧暦と新暦の違いについてしっかりと理解しておきましょう。