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秋の社日とは?
九月(長月)
 
雑節
 

秋の社日とは?

社日(しゃにち)とは聞きなれない言葉かもしれません。社日は春と秋の年に2回行われる土地の神様を祀る日です。秋に行われる社日は、秋社(しゅうしゃ)といって五穀豊穣(ごこくほうじょう)を感謝する日になっています。この秋の社日について、このページでは紹介しています。何月何日に行われるのか、由来は何なのか、どのような過ごし方がされて来たのかなど、日本の歴史と伝統にのっとった季節感ある日々のすごし方をする際の参考になるかもしれません。

社日の日付や由来について

秋の社日はいつなのか

社日は春と秋の一年に2回ある雑節(ざっせつ)と呼ばれる季節の節目の日です。秋社とも呼ばれる秋の社日は、秋分にもっとも近い戊(つちのえ)の日になります。もっとも近い戊の日は、秋分の日を挟んで前後4日間のどこかにあたります。また秋分の日自体も9月23日頃と一定ではありませんから、その年によって確認が必要になります。秋の社日と同じように、春社(しゅんしゃ)と呼ばれる春の社日も戊の日になりますが、こちらは春分の日(3月20日頃)にもっとも近い戊の日になります。
なお、秋分の日は昼と夜の長さがほぼ等しくなる日で、二十四節気と呼ばれる古代の中国で考え出された季節の区切り目です。一年が約15日ずつ分けられています。春の社日の日を割り出す基点となる春分もそうですし、夏至、冬至、大暑、大寒といった言葉も天気予報などでよく目にすると思われる単語も二十四節気です。この二十四節気は日本にも導入されましたが、日本の季節感に完全にマッチするものではなかったので、それを補完するために最初に出てきた雑節が考案されました。よく知られたものとしては入梅、節分、土用、彼岸などの名前があげられるでしょう。
こうした季節の区切り目ができた理由としては、農作業を適宜行うための目安が必要だったためと考えられています。農業は天候や季節に大きく影響を受けますから、こうした季節の区切り目とそれぞれやるべき農作業を紐付けておくことでルーチン化が図られたことと思われます。

秋の社日の由来とは?

社日の社とは元々は中国の考えで、土地の神様を社として祀っていました。そして、土地の神様に五穀豊穣を祈ったのが社日のはじまりだといわれています。この社日の風習は日本に伝わり、日本に古来からあった産土神(うぶすなかみ)への信仰ともよくマッチするものだったため、おおいに広まったようです。なお、産土神の産土とは生まれた土地を意味しています。つまり産土神は出生地を守護する神様のことで、地縁の神様ということでもありました。後年、一族の守り神である氏神と同一視されるようになり、そのうちに鎮守の神として知られるようになっていきました。
ふたつある社日のうち、秋の社日にはその年の最初の収穫である初穂(はつほ)を捧げて収穫を感謝し、春の社日は五穀の種子を供えて豊作を祈念する位置づけになっています。

秋の社日を決める戊の日とは?

秋の社日を決めるのは戊の日ですが、戊には土という意味があります。なぜ土なのかというと、戊は十干(じっかん)とよばれる年月や時間、方位を示すための単位のひとつで、陰陽五行説にもとづいて木、火、土、金、水の内、土にあたるからです。土地の神様を祀って五穀豊穣を祈る日には戊が適していたため、戊の日が選ばれるようになったといわれています。
ちなみに、十干は甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)となり、甲は木で陽(陽は兄(え)となる)辛は金(か)で陰(陰は弟(と)となる)となり、読み方も陰陽五行説に従った規則性があります。十干は、子(ね)丑(うし)寅、午(うま)でお馴染みの十二支と組み合わせて干支(えと)となっています。ちなみに干支が一周すると60になり、60歳は還暦として特別な年齢とされています。

かつてはどのように秋の社日を過ごしたのか?

秋の社日に行われる行事、地神講(じしんこう)

秋の社日には農作業を休んで、集落の皆で集まって土地の神様を祀る地神講、社日参りなどが行われてきました。地神講の地神は土地の神様で、講は村落や集落などで何かの目的をもった共同体単位の組織・集まりのことです。ここでは、土地の神様を祀るお祭りをするという目的です。

秋の社日に何をするかは地域次第

地神講など秋の社日に何をするかは、それぞれに地域の独自色があります。たとえば、神前でお祓いをしてもらった初穂を囲んで種籾(たねもみ)の選別を行ったり、刈り取った稲穂を乾燥させるために稲架(はさ)にかけたりする作業が行われたりしました。
秋の社日に限りませんが、土地を守る神様はその土地ごとに違うせいか、社日にはさまざまな風習が伝わっています。農作業に使うクワやスキなどの道具を発注したり、初穂を一株捧げたり、神前に供えられた熱湯を自身の身に振り掛けて家内安全の祈願をするというものもあります。また、神様は種まきの季節の春の社日にやって来て、収穫がある季節の秋の社日になると山へ帰って行くとして、社日に餅を搗いて捧げるという風習もあります。
変わったところでは、海岸の砂を竹かごに入れて持ち帰って、清めやお祓い、地鎮や田畑の虫除け祈願に用いる風習のある地域もあります。