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聖ミカエル祭とはどのようなお祭りか?
九月(長月)
 
祭事
 

聖ミカエル祭とはどのようなお祭りか?

9月29日はキリスト教のお祭り、聖ミカエル祭です。キリスト教の行事に馴染みのない日本では、ほとんど耳にすることのないお祭りの名前ではないでしょうか。ヨーロッパでは、中世がはじまった5世紀に祝日として祝われるようになったといいます。そして現在でもイギリスでは聖ミカエル祭が行われているようです。このページでは、馴染みのない聖ミカエル祭について、その由来やどのようなお祭りかを紹介しています。

聖ミカエル祭の由来は何か?

聖ミカエル祭のミカエルとは

9月29日に行われる聖ミカエル祭は、旧約聖書や新約聖書に登場する天使の名前を冠した祝祭です。キリスト教のうちローマを中心としたカトリックによって祝祭日となっています。この9月29日は「神に似たもの」を意味するミカエルをはじめ、「神の力」を意味するガブリエル、「神は癒される」を意味するラファエルという、天使の中でも上位の存在とされるメジャーな天使の日になっています。
ちなみに、9月29日以外にも復活などイエス・キリストの記念すべき御業(みわざ)があった日、信仰の模範となるような人である聖人の命日などが祝祭日となっています。キリスト教の信者が少なく、その文化に馴染みが薄い日本人にとっても、クリスマスやバレンタインデーなどは比較的にどのような日か知られているところでしょう。
この一般的に日本人にとって馴染みの薄い聖ミカエル祭ですが、実は思わぬところで日本と関連があります。日本へキリスト教(ローマ・カトリック)を初めて伝えた広める第一歩を記したのは、イエズス会のフランシスコ・ザビエルです。日本での布教の許可を得た日が9月29日だったため、ザビエルはミカエルを日本の守護者と看做(みな)して定めたといわれています。

聖ミカエル祭の名前の由来である天使ミカエルの豆知識

ミカエルはキリスト教のみならず、ユダヤ教、イスラム教にも存在しています。ユダヤ教では、神に逆らった悪魔の長を破った天使の長でイスラエル民族の守護者の立ち位置にあり、キリスト教でも、新約聖書のヨハネの黙示録の中で、御使い達を率いて巨大な竜サタンおよびその眷属(けんぞく:従者)達と戦って天から地上に追い落とすなど、天使の軍隊を率いて神の敵と戦う存在として登場しています。現実の世界でも異教徒との戦いを行った十字軍の守護者と看做されたようです。また、イスラム教でも信仰の守護者という役目をもっています(ここであげた3つの宗教はアブラハムの宗教といい、過去も現在も歴史的に摩擦が耐えない間柄ではありますが、根の部分では繋がりがある同系統の宗教ですから、こうした共通点も見られます)。
このように、ミカエルはおおむね天使長といった役回りで、天使の軍隊を率いて神の敵と戦うイメージをもたれているようです。また宗教絵画などでも好んでモチーフにされ、祝祭日のあるカトリックに留まらず、東方教会(ギリシア正教など)の世界でもミカエルは人気が幅広くある存在のようです。
また欧米での伝統的な人名が、聖書の人物や聖人などに由来するのはよく知られているところですが、ミカエルもマイケル(英)ミゲル(西)ミシェル(仏)ミヒャエル(独)ミハイル(露)と各国で広く名前として用いられています。

聖ミカエル祭の歴史

豊穣を祝う聖ミカエル祭

聖ミカエル祭は、おおよそ5世紀頃から始まったとされています。西ローマ帝国が崩壊し、中世という時代区分が始まった時期です。西ヨーロッパの俗世では、さまざまな王権や大小の封建領主が乱立する時代に入りますが、その上に宗教的な権威としてローマ教皇がいてカトリック世界を構成していました。そうした状況で9月29日の聖ミカエル祭はミカエルに敬意を捧げる日となりました。
また、この時期は秋の収穫の時期でもあり、9月29日は農業従事者が収穫できたものの査定を受けて、働きに応じた賃金を得た日ともいわれます。こうしたこともあってか、ミカエルは農業を守護する存在としての側面を持つようにもなったようで、聖ミカエル祭にはミカエル、その背後の神への感謝を通じて豊穣を祝う祝祭としての性格もあったようです。

聖ミカエル祭の定番の食材、ガチョウと生姜

この聖ミカエル祭の饗宴では、ガチョウのローストがメイン料理だったようです。詰め物をしたガチョウを丸ごとローストし、その後、先に毟った羽であらためて飾り付けたといわれています。聖ミカエル祭でガチョウを食べるとその一年間は悪運が付かないというお呪い(まじない)めいた信仰があったそうで、ガチョウを手に入れられなければ鶏のロースト、もしくはマジパンなどでガチョウをかたどった菓子を代用品としたともいわれています。
また、ガチョウのほかにも定番の食材があります。それは生姜です。医学の未発達な当時、人々は自分の健康は自分で守る必要がありました。そのような環境下では、ハーブなどが薬用植物として使用されていました。生姜もそのひとつで、ジンジャー・エールなどの飲み物として、またはジンジャー・ブレッドのような食べ物として食したといわれています。

聖ミカエル祭はお菓子の日?

中世ヨーロッパでは、ギルドなどの名で知られる職能組合はそれぞれ守護聖人を持っていました。日本で言うなら守り神でしょうか。聖ミカエルはフランス語でサン・ミシェルといい、菓子職人達が天使ミカエルを守護聖人としていたそうです。それを由来にして、三重県洋菓子協会によって2002(平成14)年に「洋菓子の日」が制定されています。特に聖ミカエル祭を祝ういわれはなくとも、9月29日はケーキなどの洋菓子をプレゼントしてみるのもいいかもしれません。