処暑とはどんな時期か?
8月も佳境を迎えると晩夏と呼ばれるようになり、いよいよ暑い夏も終わりが近づきます。そしてその時期は、二十四節気だと「処暑」にあたります。ここでは、処暑とはどんな時期なのか? そしてどんな食材が旬なのか? など、処暑の特徴について詳しく紹介していきます。
目次
処暑とは?
処暑の特徴を知ろう
二十四節気の14番目となる処暑は、暦便覧で「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」と解いており、つまり「徐々に暑さがおさまる」時期であるということです。さらに処暑の前の二十四節気が「立秋」であることからもわかるように、時期は夏ですが、暦の上では既に「秋」です。具体的な時期としては8月23日頃で、そこから9月6日頃までが処暑となります。しかし、暑さがおさまり段々と秋の気候に移り変わっているとは言え、現実的にはまだ残暑の厳しい時期です。特に日中の気温は真夏に迫る程高くなる日も多く、季節の変わり目を肌で感じる時期とは言い難いものがあります。ちなみに、処暑の時期はちょうど日本に台風が到来するピークを迎えるシーズンです。
処暑の時期の旬の食材や草花は?
処暑の時期に旬を迎える食材の代表格といえば、「イワシ」を連想する方が多いのではないでしょうか。煮ても焼いても美味しいイワシは、この時期の食卓には欠かせないお魚です。ちなみにイワシは漢字で書くと「鰯」となり、つまり「弱い魚」と書きます。由来は読んで字のごとく、すぐに弱ってしまうことからそう付けられたようですが、反面、「海の米」や「海の牧草」とも呼ばれ、栄養価が高く、人間のみならず多くの海洋生物にとっても欠かせない食材と言えるのです。
また果物で言うと「ブドウ」が旬を迎えます。品種改良したものを含め、国内では30から40種類ものブドウが栽培されています。ちなみに、ブドウは上の部分(房全体を見て)の糖度が高く、下から食べると徐々に甘みが強くなり、美味しく食べることができるそうです。覚えておくと良いでしょう。さらに、処暑の時期は萩、桔梗、葛、藤袴、女郎花、尾花、撫子のいわゆる「秋の七草」も有名です。しかしながら春の七草とは違い、粥にして食べるのではなく、あくまで観賞用として親しまれています。
七十二候における処暑
七十二候における処暑の初候は、「綿柎開(わたのはなしべひらく)」となり、これは綿を包む柎が開き始める頃を意味します。柎とは花の萼(がく)のことを指し、柎が開き始めると綿毛が中から飛び出します。そしてこの綿毛が木綿の糸や布になるのです。そして次候は「天地始粛(てんちはじめてさむし)」。簡単に言うと、「ようやく暑さが静まる頃」となります。天気予報では「秋雨前線」という言葉が登場し、徐々に冷たい空気を肌で感じる様になる時期が処暑の特徴と言えます。そして末候は「禾乃登(こくものすなわちみのる)」で、これは「日に日に稲穂の先が重たくなってくる頃」という意味です。9月に入ると農作物の収穫時期が間近に迫り、特に稲穂は先端が重くなり、徐々に垂れてくる様子から、稲刈りの時期がいよいよ迫りつつあることが分かります。しかしながら日本は丁度台風が襲来する時期になるため、全国各地で農作を祈るお祭り等が開催されます。
処暑の時期に行われるイベント
お地蔵さんのお祭り「地蔵盆」が行われる
処暑の時期に行われる大きなイベントの中でも、歴史が古く有名なものと言えば「地蔵盆」が挙げられます。地蔵盆とは、神社などに祀られているお地蔵様ではなく、路傍や街角に佇んでいるお地蔵様を対象としたお祭りです。地蔵信仰が盛んな地域で主に行われ、近畿地方や一部の東北地方では伝統行事として毎年恒例になっています。開催日は全国的に8月23・24日が主。街々に佇むお地蔵様を清め、汚れを落とし、化粧を施して感謝の意を表すのが一般的です。ちなみに、このお祭りは、子供の成長や幸福を願う意味が込められており、祭りの主役となるのはお地蔵様ではなく子供になります。そのことから、各お地蔵様の前に子供を集め、ゲームや福引などをして楽しむのが地蔵盆におけるお決まりの風景なのだそうです。
その他のイベントは?
この時期に全国的に多く開催されるのが、「盆踊り」ではないでしょうか。本来の盆踊りは、お盆に帰ってきたご先祖様を慰める行事です。歴史は古く、平安時代の僧侶が念仏に合わせて踊ったことから「念仏踊り」と呼ばれ、のちに盂蘭盆会と結びついて「盆踊り」になったと言われています。本来ならば8月の15日あたりに行いますが、娯楽的な要素もあり現在ではお盆ではなく時期をずらして開催されているのかもしれません。今年の盆踊りは、ご先祖様へ思いをはせて参加されてみてはいかがでしょうか。
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