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なぜうなぎを食べるのか? 実はあまり知られていない「土用の丑」
七月(文月)
 

なぜうなぎを食べるのか? 実はあまり知られていない「土用の丑」

「来週は土用の丑の日だからうなぎを食べましょうね」そんな会話を聞いたことがある方は多いでしょう。しかし、そもそも「土用」とは何なのか? そして、なぜうなぎを食べるのかについてはあまり知られていないでしょう。ここでは、「土用の丑」について詳しく説明していきます。

「土用」について知ろう

そもそも「土用」とは何なのか?

土用とは、日本独自の雑節の暦で、四季の変わり目を指します。主に立春・立夏・立秋・立冬の直前となる18日間を「土用」と言うのです。四季の土用はそれぞれいつ頃になるのかというと、立春(2月4日頃)は1月17日から2月3日頃、立夏(5月5日頃)は4月17日から5月4日頃、立秋(8月7日頃)は7月20日から8月6日頃、立冬(11月7日頃)は10月20日から11月6日頃となっています。年によって数日程度ズレますので、目安として捉えておいてください。そして土用の期間は、土公神(どくじん)という土を司る神様が土中から出て、地上を支配する期間であると言い伝えられており、この時期は土を動かす作業や工事、例えば建築における基礎工事や、柱を立てたり壁を塗ったり井戸を掘るなどといった行為は土公神の怒りを買うので行わないとされています。しかしながら、土用の前に工事を着工し、土用中も作業を続けることは差し支えない様です。ちなみに、土用は「五行」で定められた暦のこと。五行とは、「木(春)、火(夏)、土(季節の変わり目、金(秋)、水(冬)」となり、つまりは季節の象徴になっています。

「丑の日」について知ろう

「丑の日」とは?

土用については前記した通りですが、では「丑の日」とは一体どういう意味なのでしょうか? ウナギを食べる日として認知されているものの、なぜ「丑」なのにウナギなのか? その秘密について解説していきましょう。
まず「丑」とは十二支の「丑」のことを指します。十二支というと、「干支」を思い浮かべる方が多いのではないかと思いますが、実は方角や月、日にちを数える際にも使われるのです。そして丑の日は12日周期で訪れるので、約18日間ある土用の期間のうち、12日周期で割り当てられる十二支が丑の日である場合、「土用の丑の日」となるのです。そして夏の土用の丑の日は、計算すると平均1.5回、つまり1年で2回土用の丑の日がある年は、大凡2年に1度程度の計算になります。

なぜ土用の丑の日に「ウナギ」を食べるのか?

日本の夏はとりわけ暑く、バテることなく乗り切るために、栄養価の高いウナギを食べる習慣が広く定着しています。では、ピンポイントに土用の丑の日にウナギを食べる習慣が生まれたのはいつ、誰によって提唱されたことなのか? 実はこれには諸説あります。中でも最も広く知られているのは「平賀源内提唱説」でしょう。
ある夏、商売が上手くいかないウナギ屋が、何とかして夏にウナギを売る方法はないかと、平賀源内に相談したそうです。すると平賀源内は、「本日丑の日」と書いた紙を店先に貼ることを提案。すると、そのウナギ屋はたちまち繁盛し、その後、他のウナギ屋もそれを真似る様になり、結果として土用の丑の日にはウナギを食べるという習慣が広く定着したというお話です。「丑の日」と書かれた貼り紙の効力については諸説あり、限定することはできませんが、一説によると丑の日に「う」のつく物を食べると夏負けしないと言う風習があったとされ、ウナギ以外にも梅干し、うどん、うさぎ、馬肉、牛肉などを食する習慣があった様です。

本当にウナギは夏バテに効くのか?

かつて、丑の日にウナギを食べる理由として「夏バテ」を防ぐという謳い文句があったかどうかは定かではありませんが、現代では多くの方がそう認識していると思います。故に夏の土用の丑の日は、スーパーやデパートが、挙(こぞ)って「本日丑の日」と言う貼り紙を出し、ウナギを目玉商品としてアピールする様はもはや定番と言えます。しかし、ウナギは本当に夏バテに効くのでしょうか? 医学的な観点から見ると、実際にウナギにはビタミンA、B群が豊富に含まれているため、夏バテや食欲減退を防止する効果は期待できるそうです。しかし、栄養価の高さという面から考えると、昨今では他にも候補に上がる食べ物は数限りなくあり、かつウナギはその中でもさほど栄養価が高いとは言い難いそうです。

土用に食べるのはウナギだけじゃなかった?

「土用の丑」と言えばウナギというのはもはや誰でも当たり前の様に認知していることです。しかし、実を言うと土用に食べるのはウナギだけではないのです。正確に言うと、地方によって様々な習慣があるということ。例えば、ウナギではなく「シジミ」を食べる習慣があり、実はウナギよりも歴史が古いと言われているのです。何と言ってもシジミの最盛期は夏です。さらにシジミは「お腹の薬」と言われるほど高い整腸作用があり、かつ栄養も豊富で、夏バテを防ぐにもぴったりの一品。全国的にはあまり認知されていない様ですが、地域によってはウナギよりもメジャーなところもある様です。
さらに宮中では、土用に「餅」を食べる風習があった様です。正確に言うと、暑気払いとして餅米の粉を練った団子を味噌汁に入れた物を食べていたと言われています。江戸時代にはその風習が庶民にも伝わり、お餅を小豆餡で包んだあんころ餅を食べる様になったそうです。お餅は「力持ち」という言葉に通じ、さらに小豆は厄を退散させるという意味において無病息災の縁起物であるとされたことから、広く定着したと言われています。