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「半夏生」とはどのような日か?
七月(文月)
 
雑節
 

「半夏生」とはどのような日か?

「半夏生(はんげしょう)」とは? と言われて、瞬時に答えられる方は少ないでしょう。これは、日本に於ける雑節の一つとして、日本人の生活文化から生まれた独自のものです。では一体、「半夏生」とはどんな日で、何をする日なのでしょうか? ここで詳しく説明していきます。

「半夏生」を知る前に

日本独自のものである「雑節」とは?

日本には、雑節という暦日があります。これは、二十四節気や五節供の様に中国から伝わったものではなく、日本人の生活文化から生まれた独自のものです。「節分」や「彼岸」、さらには「土用」などが代表的な雑節として挙げられます。つまり、季節の節目となる日のことで、二十四節気を補う意味合いを持っているのです。
例えば、2018年の雑節を挙げると、1月17日は冬土用(入り)、2月3日は節分、3月18日は彼岸(入り)、4月17日は春土用、5月2日は八十八夜、6月11日は入梅、7月2日は半夏生、同月20日は夏土用(入り)、9月1日は二百十日、同月20日は彼岸(入り)、10月20日は秋土用(入り)となります。

雑節は日本文化が生んだ知恵?

雑節が考え出された背景には、農家が季節の移り変わりを正確に把握できれば、農作物に甚大な被害を出さずに済むという自然現象と農業の深い繋がりがありました。例えば、「もうすぐ八十八夜だから、霜が降りてくる前に農作物に被害が出ない様、対策しておこう」という考えが生まれる訳です。つまり、雑節は農業に従事する方々が生んだ、生活の知恵といったところなのです。

「半夏生」とはどんな雑節か?

半夏生とは、7月2日頃を指します。夏至から数えて大凡11日目といったところです。梅雨の末期であり、半夏(はんげ)という毒草が生える多湿で不順な時期とされています。農家の方々はこの日(時期)までに畑仕事を終える、もしくは水稲の田植えを済ませ、以降は絶対に田植えをしないという習慣がありました。そして、半夏生までに田植えを済ませた農家の多くは、半夏生の日の天候によって稲作の出来を占った様です。

半夏生の時期に注意すべきこととは?

古来からの言い伝えによると、半夏生の頃は、天から毒気が降る、もしくは地面が陰毒を含んで毒草が生えるなどと言われており、この時期に筍や蕨などの野菜を食べることや、種を蒔くことを忌む風習があったそうです。ちなみに、この時期は井戸に蓋をして毒気を防いでいたそうです。

半夏生の時期に食べるものとは?

土用にウナギを食べる様に、雑節時には何かしら食べるべきものが設定されています。地域にもよりますが、半夏生の時期はタコを食べる習慣があり、現代でもその風習を守る地域もある様です。意味合いとしては、田に植えた苗が、タコの足の様にしっかりと地面に根付く様にという願いが込められていると言われています。

「半夏生」の過ごし方と風習

各地に残る半夏生の風習

雑節の日は、地域ごとに様々な過ごし方があり、半夏生もまた他ではありません。特に農業に従事する方や農業の盛んな地方では、古来から続く風習を守っているところが多い様です。例えば、奈良県の香芝市周辺では半夏生のことを「はげっしょ」と呼び、農家では小麦を混ぜた半夏至餅(はげっしょもち)を作り、きな粉を付けて食べるそうです。これは、田植えを終えた農民が農作業を無事に終えたことを田の神様に感謝し、お供え物をして共に食したことが由来とされている様です。
また、香川県の讃岐の農村ではうどんを食べる習慣があり、1980年に香川県製麺事業共同組合(現:本場さぬきうどん協同組合)が7月2日を「うどんの日」に制定しています。さらに、福井県大野市では、江戸時代に大野藩の藩主がこの時期に農民に焼きサバを振る舞ったという逸話が残されており、現在でも大野市を中心とした地域では、半夏生の時に焼きサバを食べる習慣が残されているそうです。他にも、長野県小川村では、この日に芋汁を食べる習慣があったりなど、何かしら決まったものを食べる風習が残っているところが多い様です。

日本各地で行われる半夏生のイベント

この日は、全国各地で半夏生にちなんだイベントが行われています。代表的なものをいくつかあげると、まず兵庫県南部の明石市では、半夏生の際にタコを食べる習慣があることから、「明石半夏生たこまつり」が開催されています。何と言っても明石市はタコの漁獲量日本一を誇っており、半夏生でタコを食べる習慣を広く発信すると共に、もっと多くの方に明石のタコを味わい、知ってもらいたいという意図が込められている様です。当日は、駅前や学校など、あらゆるところでタコにまつわるイベントが開催され、町中がタコ一色に染まります。また、大阪府の河内長野市では、半夏生が近くなると伝統食として知られた「半夏生もち」を大々的に販売します。風習にちなみ、お餅にはまんべんなくきな粉がまぶしてあり、味わい深く若い方からご年配まで、広く親しまれているそうです。