ギフトマナー辞典
ギフトの老舗シャディが贈るGIFT MANNERS
メニュー
実はあまり知られていない「鯉のぼり」のお話
伝統行事
 
端午の節句(内祝い)
 

実はあまり知られていない「鯉のぼり」のお話

端午の節句が近づくと、方々で大きな鯉のぼりが風に揺られる美しい様を見ることができます。しかし一体、何故「鯉のぼり」を飾る習慣が生まれたのでしょうか? そして、地方によって鯉のぼりの形状や飾り方が異なるのはどうしてなのか? ここでは、端午の節句に欠かせない鯉のぼりにまつわるお話を紹介していきます。

「鯉のぼり」とは一体何か?

鯉のぼりの由来を知る

鯉のぼりの発祥は、江戸時代と言われています。
男の子が生まれた家では、5月5日になると「無難、無災、出世」を願う行事として、家紋がついた旗や幟(のぼり)などを門に立てて祝う風習がありました。言わばこの旗や幟が鯉のぼりの原型になります。江戸中期になると、庶民が中国の「登竜門伝説」になぞらえ、鯉のぼりのアイデアを具現化します。それが徐々に広まって定着した訳です。竜門の滝を登りきると鯉が竜になる様に、男児が健康に育ち、将来はその鯉の様に大きく出世して欲しいという願いがこもっているそうです。
当時の鯉のぼりは和紙に鯉の絵を描いたものでしたが、時を経て大正時代になると破れない錦の鯉のぼりが生まれ、さらに昭和三十年代半ばになると、雨に濡れても色落ちしない合成繊維の鯉のぼりが登場し、現代へと受け継がれています。

鯉のぼりの鯉は何故一匹ではないのか?

ご存知の様に、一般的な鯉のぼりは三匹の鯉が連なっています。上から真鯉、緋鯉、子鯉の順で連なっており、真鯉はお父さん、緋鯉はお母さんで、子鯉は子供という位置づけだと言われていますが、実を言うとそれぞれには別段決まりはないそうです。ちなみに、現在の様に三匹連なる形になったのは、実に昭和30年代以降と言われており、それまでは真鯉と緋鯉の二つまでしか作られていなかったそうです。

鯉のぼりを外に飾る理由とは?

一般的に鯉のぼりは外に飾るものです。しかし現在では、住環境の事情などにより、鯉のぼりを外に飾るのが難しいケースもあります。そこで昨今人気となっているのが、室内に飾るタイプの鯉のぼりです。小さいながらも精巧な作りのものや、小さなお子様向けのおもちゃの様な一品までバリエーションは様々です。しかしながら、地域によっては「鯉のぼりは外に放たないと意味がない」と声高に言うところも少なくありません。実を言うと、鯉のぼりを外に飾るのには理由があるのです。
まずは神様に気づいてもらうためです。つまり「うちには男児がいますよ。どうか守ってくださいね」という合図として、外に飾るという理由と、もう一つは魔除けと厄払いの意味があります。鯉のぼりの先端についた球体の下に、風車の様なものが付いているのがわかると思います。あれは「矢車」と言って、破魔矢で円を作ったものと言われています。つまり、魔除けや厄を払ってくれるものなのです。故に、鯉のぼりは外に飾らないと意味がないと言う理由も理解できるでしょう。

「鯉のぼり」にはどんな種類がある?

家庭用鯉のぼりのバリエーションは?

鯉のぼりは、外に飾る大きなものや、室内に飾る小型のもの。そして、マンションのベランダなどに飾る中型のものがあります。それぞれ大型・中型・小型と分けましたが、実は室内用でも中型のものがあったり、ベランダ用に小型・大型のものがあります。地域によって選ばれる商品にも差がある様で、特に都心部では外に飾る大きな鯉のぼりの需要が年々減っていると言われています。住環境の問題が大きいと思いますが、それらの家庭では、室内用の鯉のぼりが人気になっている様です。

日本各地で行われている鯉のぼり祭りとは?

端午の節句の時期になると、日本全国で鯉のぼりのお祭りが開催されます。特徴的なものをいくつか紹介すると、まず熊本県阿蘇郡小国町の杖立温泉で開催されている「杖立温泉鯉のぼり祭り」では、杖立川の川幅一杯に、色とりどりの鯉のぼりが凡そ3000~3500匹飾られます。このお祭りは30年以上の歴史を持っており、毎年全国から大勢の観光客が見学に訪れるそうです。そして、群馬県館林市で行われている「館林こいのぼりの里まつり」では、全会場合わせて何と5000匹以上の鯉のぼりが並ぶそうです。その光景は正に圧巻で、ギネス世界記録にも認定されている程。また、毎年5月3日に開催される埼玉県加須市の「加須市民平和祭」では、何と全長100メートル、重さにして330キロもある巨大な鯉のぼりが空高く舞い上がる様を見ることができます。鯉のぼりの名産地である加須市ならではのイベントと言えるでしょう。そして最後にご紹介するのが、茨城県常陸太田市で行われている「竜神峡鯉のぼりまつり」です。緑豊かな渓谷に囲まれた竜神大吊橋は、375メートルという歩行者専用の橋としては本州一を誇る長さです。そして橋のワイヤーロープに吊るされた凡そ1000匹もの鯉のぼりが、渓谷を優雅に泳ぐ様を見ることができます。ニュース等で見た方も少なくないと思いますが、是非実際に見てみたい風景です。