日本における収穫祭とは? 関連した行事を特集
収穫祭といえば、ハロウィンが代表的です。近年は仮装イベントのような意味合いで日本でも人気ですが、もとは収穫への感謝や祈りを込めた海外行事です。そんな中、日本に同様の収穫祭というのはあるのでしょうか? 国内で見られる収穫祭行事についてまとめました。
目次
日本における収穫祭とは?
日本にも古くからあります
海外文化の定着化に伴い、近年の人はもしかすると、収穫祭=ハロウィンといったイメージを持つケースも少なくないかもしれません。事実、海外では同行事のことを収穫祭と表現しており、間違いではありません。ですが本来、この祭事は農作物などの収穫や自然に感謝したり、翌シーズンの豊作を願うためのものでもあります。その点、ある種仮装パーティーイベントのようになりつつあるハロウィンは、本来の意味合いからは少し離れているかもしれません。
だからといって収穫祭は日本にないのかといえば、そうではありません。そもそも日本は、稲作が盛んな農耕民族主体の国です。お金の代わりに米を使用していた文化は、世界広しといえど日本以外にそう例はありません。そんな農業盛んな国であるだけに、やはり収穫祭は存在しているのです。収穫が不十分であれば、もはや死活問題でもあります。それだけに、一層熱がこもっていたことも窺えてなりません。
日本の収穫祭とは
前述の通り、日本における収穫はとても大きな意味を持ちます。そのため、ひとつの祭事としてではなく、全国各地でさまざまな形において執りおこなわれてきました。主には、愛知県の抜き穂祭り、山口県の稲穂祭り(きつねの嫁入り)、岐阜県のどぶろく祭り、石川県のあえのこと、秋田県の雪中田植など、多岐に亘ります。主に稲作への感謝や祈りをささげるものではありますが、日本は海に囲まれた国ということもあり、豊漁に関しての祭りも少なくありません。
数ある中でも代表的なものを挙げるとすれば、宮中祭祀である新嘗祭、神嘗祭が挙げられるでしょう。特に神嘗祭は、秋の季語に用いられるほど広く知られていたもので、数ある収穫祭の中でも一線を画します。ハロウィンにも並べられる、日本の歴史ある収穫の祭りはこの2つであると認識しておいて問題ないでしょう。
具体的な内容について
新嘗祭・神嘗祭の詳細
日本における二大収穫祭である新嘗祭(にいなめさい)と神嘗祭(かんなめさい)について紹介していきましょう。
新嘗祭は別名「しんじょうさい」とも言われ、新穀を得たことを神様に感謝するお祭りのことです。時期は律令制度のもと、11月の2番目の卯の日(田植えをしてはいけない日)に行うことになっています。起源こそはっきりしないものの、日本書紀で皇極天皇元年(642年)11月16日に新嘗祭の記述があり、これが文献に出た最初の記録とされています。そして明治時代以降になると新嘗祭は11月23日に行うと定められ、国民の祝日となり、さらに昭和23年より勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う日として、「勤労感謝の日」と名を変えたのです。新嘗祭の記録を見るに、宮中行事として見えますが、実は一般庶民の間でも新しい穀物を神に供え、それを食して収穫を祝う習慣はありました。「風土記」や「万葉集」にもその様子が描かれており、さらに現在でも年迎え行事として一部の地域では名前を変えて行われている様です。そして神嘗祭とは、五穀豊穣の感謝祭にあたり、その年の最初に収穫した新穀を、伊勢神宮にお祀りしている天照大神にお供えするお祭りのことです。伊勢神宮では毎年10月17日に神嘗祭が執り行われます。どちらのお祭りも五穀豊穣を感謝するものですが、開催場所やお祭りの内容に違いがあります。簡単にまとめると、新嘗祭は毎年11月23日に宮中で執り行われ、収穫された初穂を天照大神を始めとする神にお供えし、五穀豊穣を感謝するというもので、神嘗祭は毎年10月17日に伊勢神宮にて執り行われ、その年に収穫した新穀を奉納し、それを天照大神にお供えして五穀豊穣を感謝するというものです。内容こそ違えど、我が国における大きな収穫祭であることには変わりありません。
収穫の祭を秋におこなう理由
上記2つの祭は、いずれも10月、11月の秋のシーズンにおこなわれます。そしてその他各都道府県で催されるものもまた、ほとんどが秋です。もちろんこれには、理由があります。それは、秋は言わずと知れた「収穫の秋」ともいわれるほどの恵みの季節であるためです。恵みを受けて、感謝の気持ちがこみ上げるまさにそのタイミングで祈りを捧げる、そんな点にこそ重要な意味が込められているのでしょう。新嘗祭・神嘗祭はじめ、実際収穫した稲穂を用いた行事も少なくないので、もはや秋でなければいけないといったところでもあるかもしれません。
収穫祭で振舞われる食事
宮中や神社など、大規模な場所でおこなわれることも少なくない収穫の祭ですが、一方で収穫の恵み自体は大小かかわらずあらゆる農家や地域において感じられます。極論、食事をする人すべてが恵みに与かっているわけですから、国民すべてが深く祈るべき瞬間といっても過言ではありません。
各農家や個人においては、収穫に感謝すべく食事を楽しむ文化が印象的に感じられます。主な内容としては、めでたい意味合いをもつ赤飯や、米粉をもちいた餅が代表的です。実際に食べるほか、神棚などに供える供え物としても用いられます。いずれも、やはり日本人の要である米が基本となっている点に特徴を感じられます。恵みに感謝しながら味わうことで、収穫を振り返ることに繋げられるでしょう。
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