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秋のお彼岸の正しい意味を知っておこう
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秋のお彼岸
 
雑節
 

秋のお彼岸の正しい意味を知っておこう

彼岸やお彼岸という言葉を聞いたことがある人は、少なくないことでしょう。これは毎年2回、春と秋にそれぞれ存在する日本の古くからの文化です。今回は、中でも秋のお彼岸について特集しました。どのような意味合いや内容となっているのでしょうか。詳しくご紹介します。

秋のお彼岸の定義

秋のお彼岸がおこなわれる時期

お彼岸は、春秋共に春分の日、秋分の日と季節の変わり目を基点におこなわれます。ただ、1日だけではなく、数日間に渡りおこなわれるのがポイントです。それぞれの休日を中心とした前後3日間となっており、計7日間がお彼岸に該当します。2018年を例に挙げると、秋分の日は9月23日が中日、20日が彼岸入り、26日が彼岸明けとなります。春分の日と秋分の日、いずれの休日も毎年2月の閣議で決定される定まらない日であるため、年ごとに確認しておきましょう。

お彼岸ってそもそも何?

お彼岸は、仏教に関する行事ごととなっています。名前の由来はサンスクリット語の漢訳「到彼岸(とうひがん)」だそうです。仏教用語のひとつであり、「煩悩に満ちた現世である此岸を離れて修行を積むことで煩悩を脱して、悟りの境地に達した世界に到達する」という意味合いが込められているそうです。後半にある「悟りの境地に達した世界」こそが彼岸のことであり、現世を意味する此岸の対極にあたる存在です。
こうした意味合いが元となり、現在日本で用いられるお彼岸の意義である「自然をたたえて生物に感謝する」、「先祖を敬い故人を偲ぶ」といった行事へと発展していったのです。元の仏教用語としては、修行や悟りなどの方向性が強いですが、寺院でおこなわれる彼岸会や先祖供養のための行事と捉えられるのが一般的です。

お彼岸が春分の日と秋分の日におこなわれる理由

お彼岸の意味は前項の通りですが、それだけであれば、特に日程にこだわる必要はないように思えるかもしれません。にもかかわらず、それぞれ春分の日、秋分の日の前後3日計7日間と定められています。これには、どのような理由があるのでしょうか。
それは、春分の日と秋分の日はそれぞれ昼夜の長さがほとんど同じであり、さらに太陽が真西の方角に沈みます。仏教の世界において、西はあの世が存在する方角にあたり、春分の日と秋分の日それぞれを基点としたお彼岸こそが、1年でもっともあの世への距離が近くなるタイミングであると考えられるようになったためです。自然への感謝、そして近代における特に重要な意味合いである先祖や故人を想いながら、神聖な気持ちで過ごすとよいでしょう。

秋のお彼岸にやるべきこと

お彼岸を迎える方法

仏教概念から成り立ったお彼岸ですが、もし仏教徒であったとしても、そこまで本格的に信仰している人は少数派かと思われます。では具体的に、秋のお彼岸などはどのような風に迎えるべきなのでしょうか。
一般的には、仏壇や墓石の掃除をして墓参りする日と考えられています。これもまた、先祖や故人に感謝するという行為に他ならないため、やり方として間違っていません。宗教への知識があまりない人でも気軽におこなえるため、実践しやすい点も特徴的です。
また逆に仏教への関心が大きく、普段から寺との付き合いがあるといった場合は、前述でも触れている法要「彼岸会」に参加するとよいでしょう。読み方は「ひがんえ」となります。参加には予約が必要な場合もあるため、事前に申し込んでおきましょう。また3,000円~5,000円ほどのお布施を用意する必要もあるため、お金の準備も大切です。表書きには「御布施」もしくは「お布施」と書いて、たとう折りにした奉書紙で包むのがマナーです。また手渡す際は直接でなく、お盆の上に乗せて渡す、もしくは袱紗を使用できるとより丁寧です。

秋のお彼岸に使うお供え物とは

お墓参りの際、一連の流れとしてお供え物が欠かせません。そしてお彼岸には、春秋それぞれで定番がありますので覚えておきましょう。まず秋のお彼岸については、おはぎが一般的です。小豆の赤は日本でめでたいと考えられており、行事に適しているためです。そして春のお彼岸では、ぼたもちを用意する形となります。
ここでポイントとなるのが、おはぎもぼたもちも同じ食べ物であるということです。季節によって呼び名が変わるため、手に入れる際には混乱しないよう気をつけてください。ぼたもちは春に咲く牡丹を、そしておはぎは秋の萩が由来となっています。ただ、秋のおはぎは粒あん、春のぼたもちはこしあんにして作るといった分類もされています。こだわるなら、覚えておくとよいでしょう。
最後に、お供え物の処理についても覚えておきましょう。まず基本的に、お供え物はそのままにして帰ってはいけません。カラスやタヌキなどの野生動物が食べにきて、墓地を荒らしてしまうかもしれないためです。墓石に染みがつく、糞が残るなど、次の墓参りの負担に繋がる可能性も考えられます。そのため、正しい処理が欠かせません。
とはいえ、もちろん棄てるわけでもありません。お供えしてお参りが完了したら、自分たちで食べるのが一般的な流儀となっています。一見罰当たりな印象もあるかもしれませんが、決してそうでもありません。神仏の力を体内に取り込むという意味が込められており、むしろプラスの印象になります。墓の美観を守る意味も合わせて、有意義な処理の方法といえます。