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地蔵盆とはどのような日?
七月(文月)
 
祭事
 

地蔵盆とはどのような日?

地蔵盆は旧暦の7月24日に、月遅れで8月24日に行われるお祭りです。お地蔵様の縁日で子供のためのお祭りともいわれています。また、おもに近畿地方で行われるお祭りで、それ以外の地域の方には馴染みがあまり無いかもしれません。そのため、このページでは発祥の地とされる京都の地蔵盆をおもに参考にして、地蔵盆がどんなお祭りなのかを紹介していきます。

地蔵盆とはどんなお祭りなのか

地蔵盆が行われるのはいつなのか

地蔵盆は、地蔵会、地蔵祭、地蔵廻りなど、地方で様々な呼び名がある、お地蔵様にまつわるお祭りで、子供のためのお祭りだとされています。おもに近畿地方を中心に行われているようです。呼び名も様々ですが、お祭りの内容も地域で様々なようです。地蔵盆が催されるのは、旧暦の7月24日を中心として2、3日間でした。新暦に変わってからは、月遅れの8月24日におもに行われているようです。この24日というのは、地蔵菩薩の縁日とされていて、他の月にも行われるお地蔵様関連のお祭りがあります。

お地蔵様とは何のこと?

お地蔵様というと笠地蔵やしばられ地蔵、とげぬき地蔵、勝軍(しょうぐん)地蔵など、説話や昔話にもたびたび登場していますが、どのようなものなのでしょうか。お地蔵様は地蔵菩薩といって、六道の衆生(しゅじょう)を教え導き、救済する存在とされています。奈良時代には地蔵菩薩について書かれた経典が輸入されたといわれていて、平安末期から庶民の間へ広まっていったといいます。鎌倉、室町の中世には民間信仰として深く根付いていたようで、お堂を建てて石像をまつるだけでなく、道祖神(どうそしん)信仰と結びついて道路脇にも石像が建てられました。現在でも様々なところで割とよく目にするくらいお地蔵様の像が建てられていて、広く大衆から信仰を集めていたことが窺えると思います。お地蔵様の像は一般的に、僧体で右手に錫杖(環のついた杖)、左手に宝珠をもち、赤いよだれかけを首に巻いた姿をしています。なお、道祖神とは集落の守り神であったり、旅の安全や子孫繁栄などのご利益を期待された神様です。

地蔵盆はいつから始まったのか

お地蔵様への民間の信仰は、地蔵講という信者達が集まって地蔵菩薩の功徳をたたえる会から始まりました。青森県の恐山の地蔵講は、今に残るもっとも有名な地蔵講かもしれません。室町時代には武家からも信仰されるようになり、また六地蔵めぐりというお参りも流行しました。こうした広範な信仰の広がりとお地蔵様への尊崇の念から、江戸時代に入ると地蔵盆という風習が始まりました。一説によると京都で始まった地蔵盆の風習が近隣各地へと伝播し、近畿一円から北陸と中部の一部地域で地蔵盆が行われるようになったといわれています。
京都でお地蔵様の信仰が深かったのは、火災が多かったために各町内に火除け地蔵が安置されていたこと、さらに江戸時代の京都では、各町の入り口付近に安置されたお地蔵様が、まるで門番か守り神のように信仰されていたことが理由として考えられています。
この地蔵盆のお祭りですが、明治維新後にあった廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の時期に中断があったものの、現在まで続いています。

発祥の地の京都に見る地蔵盆

京都の地蔵盆に見るお祭りの趣旨

地蔵盆とはどんなお祭りなのか、それには地蔵盆が最初に生まれた土地ともいわれる、京都の地蔵盆を参照するのが一番良いでしょう。まず、地蔵盆を開くのはどのような理由からなのか? 京都市の文化財保護の部署のパンフレットによると、地蔵盆が行われる理由として、町内の安全、人々の安全、子供の安全を祈願し、また人々の様々な願いが叶うように、そして町内の親睦を図るためだということです。

京都の地蔵盆で行われること

地蔵盆の開催場所は、お地蔵様の祠の近くのスペースのあるところで行われることが多いようで、また地蔵盆を主催するのは、町内会かもしくは子供会と、町単位で行うことが多いようです。この際、お地蔵様を祠から出して、設(しつら)えた祭壇に飾るそうです。そして花や地蔵幟(じぞうばた)の飾りつけが行われたり、落雁(らくがん)や白雪羹(はくせんこう)、紅白餅が供えられます。お地蔵様もよだれかけを新しいものに変えたり、彩色が行われたりするようです。会場も灯篭や行灯などで飾りつけが行われます。
では、地蔵盆では実際にどのような行事が行われているのでしょうか。前述のパンフレットによると、一般的にはお坊さんがお経をあげることから始まるそうです。そしてお坊さんがあげるお経の、数珠繰り(数珠回し)という直径が2m以上という巨大な数珠を囲み、円座に連なった人達でまわすこと。仏教の教えを和風に五・七・五・七・七にし、旋律を付けて唄うご詠歌、また福引やお菓子の配布、盆踊りなどもあるようで、地域に密着した行事であることが窺えます。なお、お祭り後、下げたお菓子などのお供え物は子供達に配られるそうです。こうしたお菓子は甘いものが貴重だった当時は夏バテ気味の子供達には、いいエネルギー補充になったそうです。
地蔵盆には地域で育まれてきた伝統と文化、住民同士の交流を現在そして後世に伝えるものとして、深く根付いているようです。