盆踊りの由来や歴史、始まった背景とは
夏の日の夜にどこからか賑やかな音楽が聞こえてくることがあります。小さい頃、町内会などが主催する盆踊り会などで、やぐらの周りをまわりながら音頭にあわせて踊った、という思い出がある方もいらっしゃるかと思います。夏の風物詩ともいえる盆踊りですが、その由来や歴史についてはあまり知られていないようです。この記事では、盆踊りの意味や由来を紹介します。
盆踊りとは
盆踊りとは
「盆踊り」は、お盆にお迎えした先祖の魂を送りだし、地域の人々が親睦を深め、交流する場です。毎年8月13日から8月16日のお盆の時期には、あの世のご先祖の霊が現世に戻ってきて供に過ごすものとされています。お盆には、お墓参りやお供え物、迎え火や送り火などをして、ご先祖をもてなすのが習わしとされており、盆踊りもその1つです。8月16日が盆明けということから、8月15日の晩に行われることが多く、賑やかに踊りうたって先祖を送り出すという意味合いもあるようです。広場や公園、神社やお寺などにやぐらを組んで、その周りをまわりながら音頭にあわせて踊るという形が一般的ですが、列になって練り歩く行列形式の踊りもあります。
盆踊りには、どういうものがあるか
お盆の時期には全国各地で盆踊りがおこなれますが、地域によって様々な特色があります。「阿波踊り」は400年の歴史をもつ徳島の盆踊りです。なかでも、徳島市阿波踊りには、毎年およそ130万人の人手があり、国内最大規模です。阿波踊りには、勇壮な「男踊り」と美しく上品な「女踊り」があり、三味線、太鼓、鉦鼓、篠笛などの伴奏にのって、連(れん)と呼ばれる踊り手のグループが踊り歩きます。「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」という「阿波よしこの」でも知られています。
「西馬音内盆踊り(にしもないのぼんおどり)」は、秋田県雄勝郡羽後町西馬音内で行われる盆踊りです。西馬音盆踊りは、先祖の霊を慰めるとともに豊年満作を願う、700年もの長きにわたって受け継がれてきた伝統的な行事です。囃子方、踊り手、篝火が繰り広げる優雅で幻想的な世界に観客は魅了されます。
「郡上おどり(ぐじょうおどり)」は、岐阜県郡上市八幡町(通称「郡上八幡」)でおこなわれる盆踊りです。毎年7月中旬から9月上旬までの32夜にわたって行われ、日本一長い盆踊りとなっています。なかでも、8月13日~8月16日までの3日間は「徹夜踊り」が開催され、大変賑わいをみせます。風情ある郡上八幡の町並みを背景に行われる盆踊りです。
徳島県の「阿波踊り」、秋田県の「西馬音内盆踊り」、岐阜県の「郡上おどり」をあわせて「日本三大盆踊り」といいます。これら三大盆踊り以外にも、青森県の「黒石よされ」、長野県の「新野の盆踊り」、沖縄の「エイサー」なども個性的な盆踊りといえるでしょう。また、日本からの移住者が多い海外でも盆踊りが行われているところがあります。南米ブラジルの「マツリ・ダンス」や、ハワイの「Bon Dance」などです。
盆踊りが始まった由来
盆踊りの始まり
盆踊りには、もともとは仏教行事であったという説、また原始信仰の儀式であったという説など諸説ありますが、ここでは仏教行事説をみていきましょう。
平安時代中期の僧侶である空也(くうや)は念仏を広めるために、念仏をリズミカルにうたうように唱えて、人々に覚えてもらおうと工夫したといわれています。この念仏にあわせた踊りが「踊念仏」です。鎌倉時代に入ると、この踊りを一遍上人(いっぺんしょうにん)が全国に広めることとなります。一遍は踊り念仏に関して「念仏が阿弥陀の教えと聞くだけで踊りたくなるうれしさなのだ」とコメントしたといいます。やがて、念仏を唱える人と踊る人に分かれるようになり(念仏踊り)、先祖を迎え供養する盂蘭盆(お盆)とむすびついたものが「盆踊り」の始まりです。
娯楽的な要素が強まる
念仏踊りは次第に仏教的な意味合いよりも民族芸能的な意味合いの方が色濃くなり、娯楽的な要素が強まるようになります。人々は華やかな衣装や、振り付け、道具、音楽などを競うようになり、室町時代の始めには太鼓などをたたいて踊るようになったといわれています。
江戸時代には、盆踊りは地域の人々の交流の場として、また男女の出会いの場としての機能ももつようになりました。当時のお盆は旧暦の7月15日で満月であり、月明かりでも過ごせたこと、また当時は男女が一同に集まる機会が少なく、男女の気分が高揚しやすかったことがその理由だといわれています。
明治時代には風紀を乱すとの理由で警察による取り締まりが行われ一時衰退するものの、大正時代には復活し、その後全国各地で再び開催されるようになり、現在まで受けつがれているのです。お盆の時期に旅行をする機会があれば、ご当地の盆踊りに参加して地域の人と一緒に踊り、踊りをとおして交流を深めるのも旅の思い出になる楽しい過ごし方かもしれません。
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