ギフトマナー辞典
ギフトの老舗シャディが贈るGIFT MANNERS
メニュー
卯月は何月か~その意味や由来を考える
四月(卯月)
 

卯月は何月か~その意味や由来を考える

弥生・卯月・皐月と誰しも学生時代に一般常識として覚えたことがあります。これは月を表した言葉です。では、この弥生や卯月・皐月の語源や由来についてご存知でしょうか。この記事では『卯月』について、何月を表しているのか、また『卯月』という言葉の由来や語源はどこから来たのかについて詳しくご説明します。

4月の別名、卯月はいつで名前の由来は何?

卯月、旧暦の4月は現在では4月の下旬から6月中旬にあたる

私たちが使用しているカレンダーや手帳などには、「弥生」「卯月」「皐月」とは書かれず、「3月」「4月」「5月」と書かれています。それは、現在使われている暦(こよみ)とは異なるからです。江戸時代に現在使われている新暦に改暦され、『卯月』はそれまでの旧暦で使用されていたため、現在カレンダーなどで見かけることありません。
旧暦は飛鳥時代ごろから、月の満ち欠けを基準とした太陰太陽暦を取り入れてきました。ですが明治時代に入り、何度かの改暦を重ね、地球が太陽の周りをまわる周期を基準とした太陽暦(グレゴリオ暦)と改変したのです。そんなことから、旧暦で使用された呼び方は「和風月名」や「異称」「異名」と言われるようになりました。
「卯月」は現在の4月の「和風月名」となっていますが、前述したように新暦と旧暦では暦の数え方に違いがあるのです。そのため、実際の季節と少し違いがみられます。新暦が一年365日なのに対し、旧暦は354日と11日少ない暦となっています。この11日という微妙な日数の違いが、新暦と旧暦で表される「卯月」に違いをもたらすのです。現在の新暦で表すと、4月の下旬から6月中旬を指していることになります。
二至二分(立春・夏至・秋分・冬至)が旧暦では季節の変化を表している日にあたります。おおよその時期ですが、立春は2月ごろ、夏至は5月ごろ、秋分は9月ごろ、冬至は11月ごろとなるのです。

他の和風名月はあるのか

他の月にも和風名月がいくつもあるように、卯月にも和風月名が多く存在します。現在睦月・如月・弥生・卯月・皐月など学校で習う和風月名は、一般的で代表的なものなのです。
陰月(いんげつ)とは陽が極まることで、陰が生じる月なため。卯花月(うのはなづき)は、卯の花が咲く季節を表した和風月名となっています。木葉採月(このはとりづき)は、この時期に養蚕期となり、大量に桑の木から葉をとる季節を表した異称です。孟夏(もうか)は字のごとく、孟は何かのはじめを意味する漢字です。なので、夏の始めを表したものです。これら以外でも、建巳月(けんしげつ)・夏初月(なつはづき)・乾月(けんげつ)などがあります。

卯月の名前の由来はどういうものか

4月を卯月と表すようになった説は数多くありますので、いくつかご紹介します。中でも最も有力とされている説は「卯の花月(うのはなづき)」です。4月には空木(うつぎ)の花の別名でもある卯の花が咲く季節なので、これが省略されて呼ばれるようになったというものです。
また、「卯」は「茂(しげる・ぼう)」と同じ意味があり、草木が地面を覆うようになった状態を表しているとされています。時候の挨拶の中にも「若葉萌えいずるころ」とのこともあり、桜の季節がおわり若葉が生い茂り目に優しい時期にぴったりな語源ではないでしょうか。
さて、有力な説は卯の花から来ているようですが、他の説も興味深いので、ご紹介します。前述したように旧暦では、実際の月が微妙にズレています。そのため現在の5月頃とされており、稲穂を植える時期にあてはまります。そのことから「植月(うつき)」稲種を植える月が由来ではないかという説です。また「うづき」の「う」が「初」の初めやはじまり、そめる・はつ・うぶや、「産」の産む、産まれるなどの音が転じてなったという説もあります。

二十四節気からうかがわれる卯月の季節感と、この時期に行われる行事やイベント

『卯の花』はおからの『卯の花』とは違う

「卯の花月(うのはなづき)」にもある「卯の花」はどういう花なのでしょうか。卯の花とはミズキ目・アジサイ科・ウツギ属の「ウツギ」のことです。日本全国に広く分布しており、樹高が2メートルから4メートルとなる灰褐色の樹です。花期は5月から7月で、多くの白い花を咲かせます。ウツギの名前の由来は、茎の中が空である事から命名されたとされています。童謡の「夏は来ぬ」でも“卯の花の匂う垣根に~”とあるように季節を象徴する樹です。
同じ様に「卯の花」と呼ばれている「おから」もあります。もともと「おから」は「御殻」という文字があるのですが、「お空(おから)」と聞こえるため、縁起の悪い響きだったことから、白い小さな花が咲いているウツギの花に見立てて「おから」のことを「卯の花」と呼ぶようになったと言われています。
卯月について記載してきましたが、旧暦の4月を表す言葉で、新暦に換算すると4月下旬から6月中旬までのことです。そのため初夏に咲くウヅキから卯月の語源という説が有力になっています。

お花見に、十三詣り……春ならではのイベント

暖かなくなる春先の卯月では、この季節ならではのイベントが盛りだくさん。
春の風物詩として欠かせないのが、お花見です。奈良時代では梅の花の鑑賞でなされていた花見も、平安時代からは桜の花が愛でられるようになりました。豊臣秀吉がなくなる前、醍醐で花見の宴会をしたことが、庶民による花見での宴会の走りになったとされています。
また4月13日に数え年で13歳になる子どもは、学業成就の仏様、虚空蔵にお参りに行き、福徳や智恵を授けてもらう十三詣りをしていました。せっかくもらった知恵も、参詣の帰り道で後を振り返ると返さねばならないという言い伝えから、橋を渡り終えるまで、子どもは決して後を振り向いてはいけなかったそうです。