芒種とはどんな時期か?
地域によっては既に梅雨入りしているところもある6月上旬。春の爽やかな空気は止み、徐々に湿度が高まり、ジメジメとまとわりつくような重たい気候に変わります。ここでは、二十四節気で芒種と呼ばれるこの時期の旬の食材やイベントについて紹介していきます。
目次
芒種とは?
芒種の特徴を知ろう
二十四節気において9番目の節気となる芒種は、6月の5日頃から20日頃までの時期を指します。気候としては春らしさが失せ、梅雨入りが近づくにつれて重たい空気が席巻し、ジメジメ・ムシムシとした不快感を覚えます。さらに、台風が盛んに起こる時期でもあり、全国的天候不順になるのも芒種の特徴と言えるでしょう。そして「芒種」の意味は、「稲や麦など、穂の出る植物の種を蒔く頃」となり、「芒」とはつまり、稲の穂先にある針の様な突起のことを言います。さらに暦便覧でもこの時期は「芒のある穀類、稼種する時なり」と記されています。しかしながら、実際に種を蒔く時期としては芒種よりも早い時期に行われるとされています。ちなみに、芒種の時期は西日本では梅雨入りし始め、沖縄では小満から芒種までが梅雨の時期にあたります。
芒種の時期の旬の食材や草花は?
芒種の時期は葉野菜や鞘豆類が旬と言われています。「さやえんどう」や「明日葉」、「シソ」、「三つ葉」などが美味しい時期として知られるだけでなく、「青梅」がスーパーなどに出回る時期です。6月中旬になると黄色い梅も出回り始めますが、梅酒を漬ける場合は黄色いものより青梅の方が合うと言われています。そして旬の魚は「シマアジ」です。アジの中でも最も美味しいと言われるこのシマアジは、高級魚としても知られ、刺身はもちろん、塩焼きや酒蒸しにしても合う魚です。ちなみに「シマアジ」という名前は、伊豆諸島など島での漁獲が多いことから付けられたと言われています。
そして、芒種の時期に見頃を迎える花と言えば、何と言ってもアジサイです。アジサイは、梅雨時期を象徴する我が国固有の花として知られています。鎌倉時代に園芸化され、後の江戸時代には一般的な庭園植物になったそうです。ちなみに、アジサイの名所として知られるのは神奈川県の箱根登山鉄道で、毎年6月中旬から7月いっぱいにかけて、沿線に咲き誇るアジサイを堪能できる「アジサイ電車」が走ります。車窓に触れる程近距離で楽しめるのが人気の秘訣です。
七十二候における芒種
七十二候における芒種の初候は「蟷螂生(かまきりしょうず)」となり、秋に産み付けられた卵からカマキリが誕生する頃です。表情が怖い昆虫として知られていますが、実を言うとカマキリは農作物には手をつけず、それどころか害虫を捕まえてくれるありがたい存在であることはあまり知られていません。
そして、次候は「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」と言われ、これは蛍が草原から光を放って飛び交う時期であることを指しています。ちなみに「腐草」というのは腐りかけた草の下を指し、ここから、蛍は水辺だけでなく野原でも活動することが分かります。
末候は「梅子黄(うめのみきばむ)」となり、梅雨入りと同時に梅の実が黄色く色づく頃を指しています。6月初旬の梅はまだ青く、中旬くらいになると黄色くなっていきますが、梅酒を漬けるのに適しているのは前者だそうです。ちなみに、「梅雨」という言葉は、梅の実が熟す頃の雨という意味ですが、湿度が高く黴(かび)が生えやすい季節であることから、「黴雨(つゆ、ばいう)」と呼ぶこともあったそうです。
芒種の時期に行われる行事やイベント
芒種の時期に行われるイベントは?
芒種の時期に行われる代表的なイベントと言えば、神田祭・深川祭と並んで「江戸三大祭」の一つに数えられる「山王祭」でしょう。山王祭は例年6月7日から千代田区の日枝神社で行われる20以上の祭典をまとめた総称のことです。江戸時代には江戸城の中に神輿が入ることが許され、徳川将軍も上覧したと言われる伝統的な祭礼。都内要所を練り歩く雄大な神輿の数々は、正に圧巻の一言。歴史的なお祭りとあって、国内のみならず、海外からも多くの観光客が集まります。
その他のイベントは?
関東における芒種の時期は梅雨直前。この時期見頃の花と言えばあじさいです。東京都文京区にある白山神社では、毎年芒種の時期に「文京あじさいまつり」が行われます。白山神社の境内と隣接する白山公園では、約3000株ものあじさいが咲き誇り、6月中旬にかけて華麗なあじさいが披露され、多くの観光客で賑わいます。会場にはあじさいだけでなく、模擬店や物産展も開かれ、さらに会期中の週末になるとコンサートなども行われます。関東では梅雨入り前最後の大きな野外イベントとなるので、来場者数は20万人以上にも及ぶそうです。
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