「形見分け」について学ぼう
形見分けは、故人の身辺を整理するという意味で遺品整理と同じ様なものと捉えられがちです。しかし、形見分けと遺品整理は全く異なる行為であり、前者には、故人に対する「供養」の意も込められているということは中々知られていないのではないでしょうか? ここでは、「形見分け」とは一体どういう行為なのか? そしていつ、何をすればよいのかについて詳しく解説していきます。
目次
形見分けって何?
「形見分け」と「遺品整理」の違いについて
「形見分け」とは、遺品整理の一環である。もしくは、言い方こそ違えど、同義であると理解している方は少なくないはず。しかし、両者は全く異なる行為なのです。簡単に説明すると、「遺品整理」とは、「故人が残した全てのものに対して残すか、はたまた処分するかを仕分ける行為」のことを言います。そして「形見分け」は、「故人と親しかった人に遺品を贈り、その品物を通して故人の思い出を共有する行為」なのです。つまり、「形見分け」とは、故人を忘れることなく思い出を偲んで欲しいという、遺族からの贈り物と捉えていただくとわかりやすいでしょう。
「形見分け」で贈るのはどんな品物?
いくら親しい方へ贈るとは言え、何でもよいという訳ではありません。代表的なものを挙げると、「衣類」「時計」「装飾品」「本」「趣味用品」などです。どんな方に何を渡すのかについては遺族の自由ですが、相手にとって思い出深い品が分かるなら、それを選んで渡すと喜ばれるでしょう。しかしながら、宝飾品などの高価な品物を贈る際は、相続税の対象になるばかりか、贈与税の対象になってしまうケースもあるので、事前に弁護士などに相談することをおすすめします。
「形見分け」で注意すべきことは?
前項で「高価なものを贈る際は贈与税・相続税の対象になる恐れがある」と紹介しましたが、他にも注意すべき点は多いので、いくつか紹介していきましょう。まず、形見分けは無理やり相手に押し付けるものではありません。贈る前に相手と相談し、承諾していただいた場合のみ贈りましょう。また、原則として故人より目上の方には形見分けしません。どうしても渡したいという遺族側の強い希望があったり、はたまた相手から要望があった際のみ贈りましょう。そして、衣類などを贈る場合はクリーニングなどに出し、きちんとお手入れをしてから渡すことを心がけてください。汚れがひどかったり、匂いがキツいものを渡すと、かえって相手に迷惑をかけるだけです。また、いくら思い入れが強い品であっても、損傷が激しいものや明らかに安価なものは避けるべきです。何を贈るにしても、必ず相手に相談するのが重要です。
さらに気をつけるべき点は、「故人の遺志が尊重されているかどうか」です。つまり、きちんと遺書や遺言に従って行っているかどうかが重要で、口約束だけの遺言だった場合は、意図せず相手側から「遺品を受ける約束を故人と交わしていた」などの「言った・言わない」のトラブルに発展しかねません。形見分けは、お世話になった方々に、故人を偲んでいただくための大切な儀式です。つまらない揉め事でせっかくの機会を台無しにしてしまわないよう、十分気をつけて執り行って下さい。
「形見分け」のタイミングと贈り方のバリエーションについて
「形見分け」はいつやるもの?
形見分けのタイミングについては、別段決まりがありません。親族が集まるタイミングで執り行うと都合がよいので、四十九日法要に合わせるケースが多い様です。また、宗教によってもタイミングが異なり、仏教の場合は四十九日の忌明けの際とされ、神道の場合は五十日祭、もしくは三十日祭の日に行います。ちなみに、キリスト教には形見分けというしきたりはなく、海外ではあまり行われない様ですが、昨今、日本においては執り行う家庭も増えている様です。
物品の贈り方はどうすればいいの?
贈り方は個人によって様々ですが、何もプレゼントを贈る訳ではないので、包装紙でラッピングする必要はありません。半紙で軽く包んで渡すのが一般的です。また、形見分けとして贈る品物はないが、どうしても生前お世話になった方に何か贈りたい場合は、現金などを贈るケースもある様ですが、本来形見分けは故人の持ち物を贈る習慣の事です。また現金は財産分与となる為、相手の迷惑や負担にならないよう注意したほうがよいでしょう。さらに最近では、生きている間に親しい人へ愛用品を贈るという「生前形見分け」をするケースも増えている様です。受ける側の心中は複雑でしょうが、相手に何を贈ればよいのか、遺族が悩む心配がなく、スムーズに事が運ぶので、双方にメリットがある手段と言えます。しかしながら、注意しなければならないのは、生前に品物を受ける場合は贈与税が課されるケースがあります。品物の価値をきちんと把握し、しかるべき相手に正しい方法で贈るのはもちろん、相手に承諾を取った上で贈る事を心がけましょう。
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