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身を清める時期の六斎日に行うこととは
六斎日
 

身を清める時期の六斎日に行うこととは

別に信徒ではなくても、私たちの生活の中に仏教の教えが入ってくることも少なくありません。また日本人であれば、最期は仏教式での葬儀で見送られる人も多いはずです。仏教にはいろいろな教えがありますが、それを特に守るべき日として六斎日があります。世間一般ではあまり聞きなれない名前ですが、どのような日なのか詳しく見ていきましょう。

六斎日の歴史

仏教にもある安息日

今では日曜日が休日であることは、日本でももはや常識になりました。ところでなぜ日曜日が休日なのかご存知ですか? それはキリスト教が関係しています。キリスト教では、日曜日を安息日としています。聖書によると神様は世界を6日で想像されました。そして翌日の7日目に休息をとったことから、7日に1回のペースで安息日を設けたわけです。安息日には仕事や世俗的な営みを一切休み、教会に通い信仰をメインとして静かな日を送ることとされました。そのほかの宗教でも安息日はあって、ユダヤ教は土曜日、イスラム教は金曜日が該当します。
実は仏教でもこのような安息日があります。これが六斎日です。六斎日とは、陰暦の8日・14日・15日・23日・29日・30日の6日間です。お寺に行って仏様やご先祖様を供養し、お坊さんから法話を聞くなどして心身を休めるのが六斎日の過ごし方とされています。日常生活をいったん離れる、仕事などをせずに休むという意味合いがあります。

六斎日の歴史は古い

六斎日の考えが広まって行ったのはかなり古いです。釈尊が誕生する前のインドでは、上で紹介した六斎日には悪鬼が人間の生命を奪うと考えられていました。また病気にかかるなど不吉なことが起こりやすい日ともされていたのです。そこで人々はどうしたかというと、古の聖人の教えにのっとって、丸1日絶食したそうです。そうすれば、この問題のある日でも何事もなく過ごせるといわれていました。しかし仏陀が生まれて悟りを開いた後には、この丸1日絶食の習慣がなくなりました。しかしその代わりに八斎戒(戒律のひとつ)というものを守ることで自分を守る日と考えられていきます。

六斎市を開催していたことも

日本ではこの六斎日に合わせて六斎市という定期市を実施するようになりました。この六斎市は室町時代あたりから日本全国で行われるようになっていきます。しかし六斎市は六斎日の日取りとは若干異なり、1日と6日、2日と7日、3日と8日、4日と9日といったような組み合わせで開催されていたようです。ちなみにどこでも月に6日定期市を開催していたわけではありません。中には月に3日だけ定期市を開催しているところもありました。この場合には三斎市と呼ばれます。もしかすると皆さんの住んでいる地域の近くで、六斎市の名残が開催されているかもしれません。

六斎日と八斎戒

そもそも八斎戒とは?

先ほども紹介したように六斎日では、八斎戒を守ることとされています。ではこの八斎戒とは何でしょうか? 八斎戒とは8つの戒めのことで、仏教においての在家信者を対象に説かれています。仏教には五戒というルールがあるのですが、そのルールに3つの戒めが加えられたものです。ただし一部では八斎戒と書かれていても、守るべき戒めが9つあるものもみられます。
ここで戒めについて紹介しますが、簡単に言うと「良い習慣」のことです。戒めはずっと守り続ける必要があって、短期間だけ守ればよいというものではないです。一方この八斎戒、1日だけ守れば問題のない戒めといわれています。私たち人間はどんなに注意していても、すべての戒めを常に守り続けるのは難しいでしょう。そこで八斎戒を完璧に守る日を設けることで、日ごろの生活を反省するわけです。また出家者はすべての戒律を守り続けて厳しい修行を課しています。そのことを考えて、出家者に対する尊敬の念を深めようという狙いもあります。そしてこの八斎戒を守る日が六斎日というわけです。

八斎戒の内容とは

では八斎戒の内容とはどのようなものでしょうか? 

・不殺生戒:故意に生き物を殺傷しない
・不偸盗戒:他人のものを盗まない
・不淫戒:性行為をしない
・不妄語戒:嘘をつかない
・不飲酒戒:アルコール類を飲まない
・不坐臥高広大床戒:立派な寝具や坐具でくつろがない
・不着香華瓔珞香油塗身戒:化粧品や香水、アクセサリーなどで飾り立てない
・不作唱技楽故往観聴戒:音楽や演劇を故意に行わない、鑑賞しない
(・不過中食戒:正午から日の出まで食べ物を口にしない)

となります。
先ほど見たように、一部9つの戒めとしている場合もあります。それは上記のカッコ内の戒ですが、この不過中食戒は厳しいと感じる人もいるかもしれません。ただしこれは固形物がダメであって、それ以外のものであれば体内に入れても問題はないのです。例えば飲み物を飲むことで空腹を抑える方法が考えられます。ただしこの時注意しなければならないのは、乳製品など動物性の原料は外すことです。牛乳やヨーグルトは飲んではいけませんが、お水やお茶、ジュース類などは口につけても八斎戒に違反したことにはなりません。