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懐石料理ってどんな料理?
懐石料理
 
懐石料理
 

懐石料理ってどんな料理?

懐石料理とは一体何か? と問われて、瞬時に答えられる方はそう多くないと思います。敷居が高く、常日頃から食すものというより、慶事の席などのお祝い事の時のご馳走という印象が強いのではないでしょうか。さらに日本料理には、懐石だけでなく、会席料理や本膳料理などもあり、それぞれに食べ方の順序やメニューに違いがあります。ここでは、日本料理の特徴を紐解き、懐石料理とは一体どんなものか? 詳しく説明していきます。

日本料理について知ろう

日本料理の形式とは?

伝統的な日本料理には「本膳料理(ほんぜんりょうり)」「会席料理」「懐石料理」「精進料理(しょうじんりょうり)」「普茶料理(ふちゃりょうり)」「卓袱料理(しっぽくりょうり)」があり、それぞれに起源が異なりますが、ベースとなる形式としては「本膳料理」「懐石料理」「会席料理」の三つに分けられます。
まず「本膳料理」とは、「食事をとる」という行為自体に儀式的な意味合いを持たせているのが特徴で、非常に格式高く、日本料理の原点と言われる料理です。室町時代の武家における作法から確立したとされ、現在では主に冠婚葬祭などの儀式で食される程度で、実際にご家庭やお店で楽しむ事はあまりない様です。さらに本膳料理は、器の並べ方や食べる順序、さらには食す際の服装などに細かい作法があり、例えば一番最初に出す「本膳」をお客様の正面に置き、二番目に出す二の膳をお客様から向かって右側に置きます。さらに三番目に出す三の膳を左側に置くなど、料理の置き方に至るまで作法があるのです。ちなみに、一般の家庭で食事をする際、ご飯は左に置き、汁物は右、そしておかずはその奥に置くという置き方は、実を言うとこの本膳料理に習ったものです。
そして次に「会席料理」とは何か? について紹介しておきましょう。読み方が「懐石料理」と同じであることから混同されがちですが、実は両者は全くの別物。会席料理とは本膳料理や懐石料理をアレンジして生まれた料理であり、主眼は「お酒を楽しむための料理」とされています。
故に別段厳しい作法やマナーなどもなく、出された料理を好きな様に楽しむものです。ちなみに、出される料理は前菜、煮物、刺身、焼き物などが先となり、最後に飯と汁物という流れになっています。
最後は今回のテーマである「懐石料理」について。懐石料理は茶道を起源にしたもので、本膳料理よりも古い歴史を持っています。現代では茶事の席上で空腹のまま刺激の強いお茶を飲むことを避けるため、茶を美味しく味わう上で差し支えのない程度の食事として認識されており、「会席料理」と一線を画すため「茶懐石」という呼ばれ方をすることも。メニューはいずれも茶道の心である「侘び寂び」を表現しており、さらに「旬の食材を使う」「素材の持ち味を生かす」「心配りを持っておもてなしする」という三大原則のもと、料理を提供するものです。さらに懐石料理は「一汁三菜」を基本としており、現在の和食の形にも深く密接している料理と言えます。ちなみに、会席料理とは提供される順が異なり、飯と汁物から先に出されます。

懐石料理について知ろう

懐石料理の流れと食べ方を知る

懐石料理では、出されるメニューと食べ方に独自のルールがあります。流派によって若干の違いはありますが、以下では茶事の懐石の一例を紹介していきます。
まず最初に出てくるのはご飯、汁椀(味噌汁)、そして向付(むこうづけ:お造り)です。いずれも茶を飲む前の腹ごしらえとして出される料理なので、全体的に量は少な目です。ちなみに向付には旬の食材が使われるのが主。基本的に向付のメニューは刺身とされていますが、暑い季節などは生の刺身ではなく、酢の物などが出てくることもあります。そして次に出されるのが椀物と焼き物です。どちらも旬の食材を使った季節感溢れる一品が提供されます。そして、流れの中間地点となる次は、和え物や炊き合わせなどの強肴(しいざかな)と、口をあらためるための箸洗の一品として小吸い物が出されます。
これまでの流れがいわゆる食事らしい食事であり、以降はお酒に合う肴が出されます。つまり、ここからお酒を酌み交わしても良い流れになるのです。ちなみにそのことを「献酬(けんしゅう)」と言います。出てくる料理は、おこげや炒り米にお湯を注ぎ、軽く塩を振った「湯桶(ゆとう)」と海の幸と山の幸を合わせた「八寸」。そしてシメとして香物である漬物が出され、懐石料理は終了となり、この後、茶懐石のメインとなる濃茶と主菓子が登場するのです。

懐石料理の本質とは?

以上で紹介した様に、懐石料理とは大変質素なものです。多くの方がイメージされている様な、上品で贅を尽くしたものというより、中身にこだわりが強く、シンプルに食材の味を楽しむための食事であることがお分かりいただけたと思います。そして何より、懐石料理において最も重要なことは「亭主がお客様をもてなす気持ち」に尽きます。それこそが日本料理の根本的な考え方であり、もてなす心をいただくことこそ、懐石料理本来の楽しみ方であり、本質と言えるのです。