位牌について正しく知りましょう
お仏壇になくてはならない存在である位牌は、戒名などを彫った木のお札であることは周知の事実です。しかしながら、位牌が意味することや種類、さらには書き方などについて知っている方はさほど多くないはず。また、位牌を処分しなければならなくなった際の方法についても、あまり広く知られていないのではないでしょうか? ここでは、位牌にまつわる豆知識やマナーについて詳しく紹介していきます。
位牌についての豆知識
位牌って何?
位牌とは、個人の戒名、命日、俗名、享年などを彫った木のお札のことです。彫り方には手彫りと機械彫りの二種類ありますが、職人の減少や価格面、さらには仕上がりのバラつきのなさなどから、昨今では機械彫りが主流になっています。
また位牌の歴史は古く、発祥したのは中国の後漢時代と言われています。その頃すでにご先祖様の生前の官位、姓名などを木簡という板に書いて祀る習慣があったそうで、日本に伝来したのは鎌倉時代のこと。中国の儒教思想の影響を色濃く受ける禅宗が、位牌を祀る儀礼を広めたと言われています。江戸時代になるとその文化は一般庶民にまで広がり、どの家でも仏壇と位牌を置くようになったのです。
ちなみに、儒教において位牌は、ご先祖様の魂を地上に呼び寄せる目印のようなものと考えられていました。つまり、位牌がなければ個人が自宅に戻ってくることができないということ。国や宗教ごとに様々な役割を持つと言われる位牌ですが、ご先祖様と子孫を繋ぐ大切な一品として携えられているあたりは、いつでもどこでも変わらない様です。
位牌の種類
位牌には内位牌と本位牌の二種あります。内位牌は葬儀の時だけ使用される仮の位牌で、言わば代用品。四十九日の忌明けまでに必ず本位牌を用意しておくのがしきたりです。そして、本位牌とはその名の通り「正式な位牌」となり、実にさまざまな種類があります。塗り位牌と唐木位牌に分類することができる、お一人様用の板位牌。また、何人か分をまとめて祀ることができる回出(くりだし)位牌などが代表的です。ちなみに、塗り位牌とは黒い漆を塗った表面に字を彫り、金箔、金粉、蒔絵などで飾ったものです。高級感や重厚感があることから、人気のタイプとなっています。合成漆なら1万円前後のリーズナブルなものもありますが、本漆を用いたものだと3万円程度になる様です。また、唐木位牌は黒壇、紫檀などの木目の美しい木材でできており、重厚感があり耐久性に優れています。安ければ2万円台ですが、5万円程度することもある高級な位牌です。
さらに回出位牌には、個人の戒名を記したお札が10枚ほど入る箱がついていて、ご先祖様の位牌をまとめて保存することができます。本家筋など、数多くのご先祖様を供養しているご家庭では、三十三回忌、五十回忌を過ぎたご先祖様から回出位牌にまとめることが多いようです。
位牌にまつわるマナー
位牌の作り方
葬儀の際には白木の位牌が使用されるのが主ですが、これは四十九日の間だけ使用する仮のものです。四十九日の忌明けまでに仏壇店や専門業者に依頼して正式な本位牌を作成することになりますが、戒名を彫るのに2週間程度かかるので、早めに相談する必要があります。ちなみに、すでにご先祖様の位牌があるなら、それよりも小さいものにしなくてはいけません。また、夫婦は同じサイズで、ひとつの位牌に二人分の戒名を並べて彫ることもできるあたり、覚えておくと良いでしょう。
また、開眼法要を行った後に初めて正式な位牌として使用できるので、できあがったものをそのまま使用してはいけない点にも注意しましょう。ちなみに開眼法要とは、墓前、自宅、菩提寺などで僧侶がお経をあげ、仮位牌から本位牌へと個人の魂を移す法要のことです。四十九日法要とあわせて開眼法要を行うのが一般的ですが、墓前ならば納骨法要まであわせて営まれます。また、役目を終えた仮位牌は菩提寺に納めることも覚えておきましょう。
位牌の設置の仕方
根本的なことですが、位牌は基本的に仏壇でお祀りするものです。したがって、仏壇がないご家庭は四十九日の忌明けまでに購入しておかなければなりません。ただ、住宅事情等あってどうしても仏壇を置けない場合は、お寺の位牌棚に安置してもらうという方法も一考です。その際は、寺位牌と呼ばれる通常よりも大きめのサイズが選択されることが多いようなので、発注する際はどこに置く予定なのかについて、あらかじめ伝えることが必須となります。
また、どの仏壇にも必ずご本尊と呼ばれる信仰対象を模した彫刻や掛け軸が置かれています。天台宗は阿弥陀如来、真言宗は大日如来、曹洞宗は釈迦如来、日蓮宗は曼荼羅になりますが、いずれにせよご本尊の目線よりも位牌が高くなることのないように注意してください。
さらに、仏壇の中は向かって右側が上座になっているので、古いご先祖様を一番右にし、順々に並べましょう。もし位牌がひとつしかないなら、ご本尊から向かって右側に置くのが一般的です。
いずれにせよ、宗派によってマナーは異なります。仏壇店やお寺に相談して、正しいマナーを確認することをおすすめします。また、形式を守って設置するだけではなく、ご先祖様や個人を偲ぶ気持ちを大切にし、日々位牌の前で手を合わせる習慣を持つこともまた大事です。
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