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遺言書にはどんな種類がある? その効力とは
遺言
 

遺言書にはどんな種類がある? その効力とは

被相続人が財産処分の方法を生前に記した遺言書は、法的に認められないと効力を発揮しません。遺言書にも種類があり、複数の効力があることを被相続人も相続人も知っておいたほうがよいでしょう。ここでは、効力のある遺言書について紹介します。

遺言書の種類

普通方式の遺言書

遺言書には、大きく分けて2種類あります。1つは普通方式で、もう1つは特別方式です。2つのタイプには、いずれも被相続人が死亡する前に、死後に残った自分の財産処分の方法を記します。遺産相続において、強力な効力を持っているのが特徴です。遺産相続する人を指定したり、遺産の分配方法を自由に決められたりするのもメリットの1つといえるでしょう。遺産相続についての問題が親族間でこじれないように、生前に正式な遺言書を作成しておくことは重要です。
普通方式は本来の正式なスタイルとして、厳格な様式が求められます。普通方式の中にも、自筆証書・公正証書・秘密証書といった種類があることも頭に入れておきましょう。
自筆証書は、遺言者が自署で記した証書です。民法で定められているものとしては最も簡単な証書で、書面に作成年月日・氏名・内容・自署を記入して自身の印鑑を押します。パソコンなどでの作成は認められず、印鑑は実印のほうがより確実です。
公正証書は、公証人に遺言内容を伝えて証書にしてもらうスタイルです。保管も公証人が行い、作成に時間はかかるものの証書の効力が後々疑われにくいというメリットがあります。
秘密証書は、自筆証書と公正証書の中間をとったようなスタイルです。全文が自署ではなくても問題ありませんが、内容に署名と押印をして証書を封筒に入れること、封に押印して公証人に提示し所定の処理をしてもらうのが特徴です。

特別方式の遺言書とは?

特別な状況下で作成される遺言書は、特別方式と呼ばれます。例えば、まもなく他界してしまうなどの緊急時、船の事故での死亡、伝染病などにかかって外界と隔離されているなど特殊なケースに置かれた人が書くものを指します。一般危急(臨終)時・難船危急(臨終)時・一般隔絶地・船舶隔絶地といった4つの種類があり、普通方式で作成できるようになって6ヶ月間生存する場合は無効です。
また、少し特殊な遺言方法のため、下記のような規定があります。
一般危急時のタイプは、疾病やその他の理由で死亡の危機に迫られている場合に作成されます。3名以上の証人が立会いをする必要があり、死期が迫り自ら署名押印ができず、普通方式では証書を作成できない場合に用いられるスタイルです。
難船危急時のタイプでは、遭難している船舶の中で死亡の危機に迫られた場合に作成されます。証人2名以上が立会いをする必要があり、自署や書面作成は不要なものの証人による書面作成及び署名・押印が必要です。
一般隔絶地のタイプは、伝染病などにかかって外界との接触が困難な場所にいる人が作成できます。警察官1名及び証人1名以上が立会う必要があり、自署及び書面作成並びに立会人による署名・押印が必要です。懲役刑の宣告など、行政処分により隔離されている場合にも適応されます。
船舶隔絶地のタイプは、船舶中にいて外界から隔絶されている人が作成できます。船舶関係者1名及び証人2名以上の立会いが必要で、自署及び書面作成並びに立会人による署名・押印が必要です。

遺言書の効力

効力を発揮する項目

遺言書の効力はいくつかあり、推定相続人の廃除もその1つと言えるでしょう。相続人になる予定の人が被相続人を虐待した場合や、重大な侮辱をした場合に法定の廃除自由が認められることがあります。
さらに、法定相続分として決まっている遺産の取り分を指定することも可能です。また、遺産の分割方法を指定することも可能で、第三者に遺産分割方法の決定を委託することもできます。それだけでなく、相続開始から5年を超えなければ、遺産の分割を禁止することも可能です。
さらに紹介すると、法定相続人以外の第三者や団体に対して財産を処分したい場合、相続財産を遺贈することもできます。また、婚姻していない内縁の女性との間にできた子を認知することも可能です。これにより、認知した子を法定相続人に加えることができるあたり、覚えておくと良いでしょう。ちなみに、法定相続人である子が未成年の場合、遺言者の死亡によって親権者が不在となります。その場合は、第三者の後見人を立てて未成年者の財産管理などを委託可能です。また、相続人相互の担保責任について指定することもできます。相続した遺産が他人の所有物だったり、はたまた欠陥があったりする場合は、担保責任を誰が負うかについてと、その負担割合を決められるのです。

無効になるケース

様々な効力を発揮する一方で、書き方や手順の違いによって無効になってしまうこともあります。些細なことで無効になるケースも多いことから、作成の際には慎重に取り組む必要があると言えるでしょう。
例えば自筆証書では、パソコンで作成したりレコーダーで録音したりした証書は無効です。押印や日付が漏れていたり、他人が作成・署名したりした証書も認められません。さらに相続する財産の内容が不明確な場合、同一の遺言証書で2人以上の共同作成なども無効になるため、十分注意しましょう。
また公正証書では、公証人に口授せず、身振り手振りなどで伝えても正式な証書として認められません。さらに証人の人数が足りていない場合なども無効になってしまうことも併せて覚えておきましょう。