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盂蘭盆会(うらぼんえ)とはどのような日?
お盆
 
七月(文月)
 

盂蘭盆会(うらぼんえ)とはどのような日?

盂蘭盆会(うらぼんえ)というと、聞きなれない言葉で何の日だろうと首をかしげる方もいらっしゃるかもしれません。現在では一般的にお盆と呼び習わされている日です。このページでは、盂蘭盆会の由来やどういう意味合いの行事なのか、期間はいつかなどといったことを紹介しています。

盂蘭盆会の由来と意義

盂蘭盆会の行事の由来

盂蘭盆会は盂蘭盆とも、精霊会(しょうりょうえ)、魂祭り(たままつり)とも呼ばれています。一番、一般的な呼び方はお盆でしょうか。現代では単なる夏休み、貴重な夏期休暇として捉える向きもあるかもしれませんが、盂蘭盆会は先祖の霊を迎えてまつる古くからの慣習です。
日本書紀によると、この盂蘭盆会の日本における歴史は606年までさかのぼります。この年から4月8日と7月15日に寺ごとに設斎をしたと記されていて、4月が仏陀(ブッダ)の誕生を祝う潅仏会(かんぶつえ)、7月が盂蘭盆会のことだといいます。盂蘭盆会の名前が登場したのは、657年になってからです。
元々は3世紀半ばから4世紀初頭の中国は西晋の僧により訳された、「仏説盂蘭盆経」にもとづいた行事とされています。その由来は、目連(もくれん)という仏陀(釈迦が悟りを得たもの)の弟子が、餓鬼道に落ちて苦しむ母親を救うために7月15日に僧達に飲食物を施したことだとされています。

盂蘭盆会の名前の由来

ここで盂蘭盆会の名前の由来について触れると、中国の唐代の僧によって7世紀半ばに唱えられた説で、うらぼんえとはサンスクリットでウラバンナが訛ったもので、意味は倒懸(とうけん)だとされています。倒懸とは逆さ吊りを意味し、餓鬼道に落ちた目連の母親が、逆さまに吊るされて苦しむ様を表しているといいます。この説が盂蘭盆会の名前の由来として、もっとも広く知られているようです。
一方で異説もあります。盂蘭盆は衆生供養のための容器のことというものです。前述の「仏説盂蘭盆経」にも6世紀の中国の歳時記の書物にも、この説明が記されているそうです。日本が仏教を摂取(しょうしゅともいう)した古代の中国ですでに様々な経典、中国の昔からの思想や宗教の影響で混沌とした有様だったといいますが、その一端が窺える話かもしれません。

日本での盂蘭盆会

古代の日本に導入された盂蘭盆会は、死者への供養として催されました。やがて日本の祖霊信仰と固く結びつき、先祖供養の行事となりました。これは現在でもまったく変わっておらず、約千年近く盂蘭盆会に先祖供養をする風習が続いていることになります。ただし日付は東京以外の地域の多くは、8月13日から16日を盂蘭盆会の期間としているようです。

一般的な盂蘭盆会の過ごし方

盂蘭盆会でするご先祖様の送り迎え

盂蘭盆会の過ごし方は先祖供養という点で共通していても、地域や宗派によって微妙に違うかもしれません。また盂蘭盆会の時期も7月13日から16日、月遅れで8月に行う地方があります。さらに、仏教式の先祖供養を行わない方もいらっしゃるでしょう。そこで、あくまで一般的な盂蘭盆会の過ごし方を簡単に紹介していきます。
現在の盂蘭盆会の基本は、先祖の霊を自宅にお迎えすることから始まります。ご先祖様の滞在場所の準備として、盆棚(精霊棚などとも)を組んで、位牌を移して初物の果物などのお供え物や、桔梗、萩(みそはぎ)、ほおずきなどの盆花を飾ります。これから盂蘭盆会の期間中、仏壇は閉じておきます。そして、夕方には迎え火を炊いて里帰りするご先祖様が迷わないように道を照らします。お盆の間には菩提寺からお坊さんを招いて棚経をあげてもらうことが多いと思われます。また、盂蘭盆会の間は欠かさず一日三度、家族と同じ食事(精進料理)をお供えします。そして盂蘭盆会の最終日の夕方に、送り火を炊いてご先祖様をお送りします。地域によっては海や川に灯篭流し、精霊流しなどの風習もあります(現在は環境保護のため、流していいのか確認が必要でしょう)。また送り迎えでは、キュウリとナスに割り箸などを刺してご先祖様の移動用の乗り物を作る風習もあります。キュウリは足の速い馬でお迎えするときに、ナスは足の遅い牛でゆっくり名残を惜しめるようにお送りするときにと役割が違います。なお、浄土真宗では精霊棚を組んだり、送り火をしないといわれています。分からないことがあれば菩提寺に尋ねてみるのが一番良いでしょう。
また、お盆休みといえば墓参りに帰省される方もいらっしゃるでしょう。お墓参りのタイミングですが、ご先祖様は里帰り中ですから、13日のお迎えする直前かお送りした後にという場合もあれば、15日など中日に墓参りをするというケースもあるようです。実家の慣わしに合わせましょう。

回向料(えこうりょう)や初盆のお参り

そのほか、盂蘭盆会で気になるのは、棚経をあげたお坊さんに支払う謝礼や、初盆、新盆のお宅へお参りする際のマナー等ではないでしょうか。棚経の謝礼は檀家と菩提寺の間で様々ですから、ここでは基本的な謝礼の体裁について紹介します。黒と白または双銀、黄色の結びきりの水引でのしを付けず(水引を付けなくても問題はありません)、表書きを「御回向料」「御布施」「御経料」などとします。渡すときは小さなお盆に載せて渡します。また御車代、御膳料を別個に用意して包む場合もあるようですが、これもやはり菩提寺との関係次第ですので、前例に倣うと良いでしょう。なお、お車代は白封筒でかまいません。
次に初盆のお宅にお参りに行く場合ですが、もし初盆の供養に招かれたのなら喪服が良いでしょう(特に親族なら)。もしくは略式の喪服が好ましいとされています。ただし、盛夏という季節柄、地味な平服であれば良いとする説もあります。初盆以降は地味な服装であれば特に問題ないとされています。
それから、不祝儀として包む金額の相場は5千円から1万円といいます。表書きは「御供」「御仏前」などとし、水引は双銀か黄色のの結び切り、のしは付けません(水引を付けなくても問題はありません)。なお、金封の場合、双銀はどの宗派でも葬儀や法要など関係なく使えるオールマイティーな水引とされているようです。お供え物の場合は、かけ紙を付けて「御供」とします。

お盆前後はお中元の時期

お盆の前後はお中元の時期でもあります。元々は中国の7月15日にもてなしをすると罪が無くなるという思想と盂蘭盆会が混じりあい、その風習が日本に入ってきました。そして、盂蘭盆会はご先祖様を供養しますが、亡くなってない方を生御霊(いきみたま)と呼んで、両親や恩義のある方へ贈り物をするようになり、室町時代頃からちらほら贈答の風習があったようです。現代では中元として盛んになっています。