ギフトマナー辞典

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『忘れられない贈り物』 入賞作品1-701-002 佳作 谷 浩子 様
贈りものがたり
 

『忘れられない贈り物』 入賞作品1-701-002 佳作 谷 浩子 様

 私がパートで勤めている保育園の園長先生は職員に毎年誕生日プレゼントをくださる。定期入れ、ポーチ、手袋……。その年によって色々なものがある。何をいただいても嬉しいものだが、私にとって忘れられない一番の贈り物がある。
 その年の贈り物をいただいた十一月の末に私は乳ガンの手術を受けた。職場を暫く休むこととなり、幼い娘を連れて実家へ戻った。
 手術をして元気になれば、また元の生活ができるーー。わかっていても「不安」という文字は私の頭から離れなかった。気分が落ち込むと来年という年が無事に来るのかも疑わしく思う日もあった。
 休みに入った私は園長先生にいただいた贈り物を時折出して見ていた。その贈り物とは次年度のスケジュール帳だった。私は仕事復帰を待っていてくれるような気がして嬉しかった。
 そして来年という日、仕事復帰の日はちゃんとやってきた。その年は予定を書き込めること、手帳に文字が埋まっていくことが嬉しくて仕方がなかった。予定があることをとても幸せに感じた。
 あれから六年がたつ。今では病気をしたことも忘れてしまうくらい元気に、以前と同じ生活を送っている。
 贈り物というものが、こんなにも人を元気づけてくれるということをその時初めて知った気がする。
「贈り物」とはただ単に品物を差し上げるだけのものではない。相手のことを考えながら選び、贈る物。そんなことは以前からわかってはいたはずだが、品物だけではなく、心も元気になるパワーも一緒に贈ることができるのだと改めて感じた。
 園長先生にいただいた「明るい未来」をもたらしてくれたスケジュール帳は、その年が終わってしまった今も大切にしまってある。