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八十八夜の由来や縁起物の新茶について
5月(皐月)
 

八十八夜の由来や縁起物の新茶について

「夏も近づく八十八夜〜」「あれに見えるは茶摘みじゃないか〜」と茶摘みの歌でお馴染みの八十八夜ですが、日付はいつで、どのような日なのでしょうか。このページでは、八十八夜の名前の由来や、できた経緯などを解説していますので、是非日常の日々に変化をつけるものとして、利用してみてください。

八十八夜という雑節のできた経緯

八十八夜とは何なのか?

八十八夜は雑節と呼ばれる季節区分のひとつで、日付は年によって変わりますが、5月2日前後になります。雑節とは、中国からそのまま導入した二十四節気と日本の実際の季節感との間に生じたズレを補うためにつくられた、日本の実情に合う季節の区切り目です。他の雑節には、梅雨の訪れを知らせる入梅や田植えに適した季節の半夏生、冬と春の分かれ目の節分などがあります。
なぜ雑節や二十四節気といった季節の区分が生まれたかというと、農作業の役に立つからという理由があります。自然と密接に関係した農業では、季節や天候を把握することが重要です。特に現代のように科学が発展していない時代は、自然のサイクルに上手く乗ることが大切だったようです。そのため、雑節や二十四節気のような季節の区切りにどのような農作業をするかの目安にしていました。これは「○○の時期は●●をする時期」という一種のマニュアル化ともいえるかもしれません。八十八夜の場合は霜が下りなくなる季節で、種まきに適した季節とされていました。

八十八夜の由来や別れ霜

名前から察せられるように、2月4日頃の立春から八十八日目という意味になります。立春の頃はまだ春といっても名ばかりですが、5月頭ともなると立夏まで残すところあと1週間を切り、大分暖かさが感じられるようになってきます。そのため、霜が降りなくなって冷害の怖れが低下し、農耕の開始に適した季節とされています。そのほか、八十八夜の八十八を合わせると米という漢字になることから、五穀豊穣を願う神事を行う地域もあるようです。いずれにせよ農業に密接に関係した言葉ということが伝わってきます。
こうした冷害の怖れがなくなる時期であることを示すのに、八十八夜の別れ霜という言葉があります。ただ、この別れ霜の言葉は、逆の意味で使用することもあるようです。その場合は、まだ霜が降りることもあるので、注意しましょうとなります。日本の気候に合わせた雑節といえども、日本列島は南北に長いですから全国一律にともいきません。そこから、八十八夜の別れ霜というひとつの言葉に、それぞれ逆の意味が持たせられるようになったのかもしれません。

茶摘みの歌に唄われる八十八夜

お茶の最盛期の八十八夜

冒頭で触れたように、八十八夜は茶摘みの歌に唄われるくらい、お茶の葉に縁の深い季節の区切り目です。そして、八十八夜は良質な新茶が収穫できる時期とされています。また、昔から八十八夜に摘まれたお茶を飲むと長寿になるとして、縁起物にもなっています。なお、新茶とは春になって出たその年の最初の新芽の茶葉のことをいいます。
また、お茶が長寿の飲み物とされたのには、お茶を飲む風習が再興されたときの来歴があるようです。中国(宋朝)から日本にお茶の木の種子を持ち込んでお茶を飲む風習を盛んにする下地を作ったのは、鎌倉時代の栄西という僧侶です。禅宗の臨済宗の開祖として知られる栄西は茶の種を「喫茶養生記」という書物を記して、お茶の効用や製法などを日本に紹介しました。その書物の中で「茶は養生の仙薬なり、延命の妙術なり」と、その効能が謳われています。ちなみに、再興というのは、お茶は早ければ奈良時代、平安自体には確実に持ち込まれており、お茶を嗜んだ様子が和歌や漢詩から伺えるからです。しかし、寺院などごく狭い範囲にしか広まらず、武家などへの広がりは栄西の登場を待たねばなりませんでした。また、より広範囲に嗜好品として好まれるようになったあとでも、お茶は高価なものだったようです。江戸時代の支配者層は、庶民の奢侈(しゃし=度を過ぎたぜいたく)を度々制限しましたが、その中にはお茶も入っていました。庶民も気兼ねなく、誰はばかることなくお茶を飲めるようになったのは、お茶が伝わってから約1200年の歳月が流れた最近のことになります。

八十八夜の新茶の贈り物

八十八夜の新茶は旬のものですし、なおかつ縁起物ですから、贈り物にお勧めされることもあります。地域によっては、お茶の木は根が深く伸びて植え替えが困難なことから、嫁ぎ先に根付くようにという願いを込めて結納品に用いられることもあるようです。ただお茶は土に還るとして、通夜や葬式の香典返しなどの不祝儀にも用いられますから、その辺りを気遣う人もいるかもしれません。もし贈り物にする際は、先方がそういったことを気にかける方か、事前に確認をした方が良いでしょう。
また、余談ですが、若々しい新茶の美味しさを存分に引き出すには、繊細な気遣いが必要なようです。新茶を美味しく煎れる肝はお湯にあるといい、程良い温度、約60度くらいのお湯で煎れるのがベストといいます。熱湯で煎れると、渋みまで引き出されてしまうので注意しましょう。また1分半程度蒸してから湯飲みやコップなどに注ぐようにします。折角の縁起物の新茶ですから慌てずに、ゆっくり落ち着いた心持ちで味わいたいところです。