茶寿のお祝いとは？

ただでさえ、祖父母、両親、配偶者、友人、恩師など、親しい間柄の方の長寿は、大変心強く、喜ばしいことです。そのようなおめでたい長寿が、数え年でなんと１０８歳という節目を迎えたときに茶寿のお祝いをします。この記事では、大切な方の茶寿をどのようにお祝いするとよいか紹介していますので、参考になさってください。

茶寿のお祝いの仕方

そもそも長寿のお祝いとは？

長寿のお祝いは、昔から行われていた冠婚葬祭の冠に当たる行事です。その始まりは奈良時代にまでさかのぼります。中国で行われていた一定の年齢に達したことを祝う儀式を、仏教や律令などを当時盛んに輸入していた奈良時代の日本が取り入れたのが始まりです。奈良時代の貴族社会では、初老の賀（数え年で４０歳）、五十の賀、六十の賀という算賀の儀礼を行われていました。この長寿を祝う儀礼が後代に受け継がれて、江戸時代には六十の賀が還暦となったり、古稀が追加されたりと変容しつつ、庶民の間にも広がりました。そして、現代にまでつながっています。
今日では、十干と十二支の干支がひとめぐりして生まれたときと同じになる数え年で６１歳（満６０歳）になったことを祝う還暦に始まり、７０歳の古希、７７歳の喜寿、８０歳の傘寿、８８歳の米寿、９０歳の卒寿、９９歳の白寿、１００歳の百寿、１０８歳の茶寿、１１１歳の皇寿（以上すべて数え年）といった多くの長寿のお祝いがなされるようになりました。
かつての４０歳で初老、人生五十年とされた時代、齢六十の還暦を迎えた時点で家督を子に譲り、社会的な人生に幕を引いて隠居生活に入った時代とは大きく様変わりしており、日本人の長寿化が、この賀の祝い、賀寿の変遷には現れています。
このように賀寿は長寿のお祝いですが、世界有数の長寿国である現代の日本では、活動的な高齢者の方も少なくありませんし、平均寿命はまだまだ延びると予測されています。まだまだ元気ではつらつとした方がお年寄り扱いされた、と気分を害されないような気配りも必要とされているようです。

茶寿とは何歳のお祝い？

茶寿は数え年で１０８歳、満年齢では１０７歳を祝う賀寿です。茶寿という名称は、茶という漢字をばらして、二十（草冠の部分：廿「にじゅう」と読む）と八、十、八に見立て、２０と８８を合計すると１０８になることから来ています。

お祝いはいつどのタイミングで？

昔ながらに数え年でお祝いをするのであれば、数え年で一歳年をとる元旦にお祝いをします。そうでなく現代風に満年齢で祝うのであれば、満年齢の誕生日にお祝いをします。そのほか、誕生日前後の吉日や敬老の日にお祝いをすることもあります。
賀寿は子供や孫、親族が集まって、内輪でお祝いをするケースが多いようです。内輪でやるお祝いの場合は、自宅もしくはレストラン、料亭に席をとるのが一般的です。本人の希望や体調、健康状態などを一番に考えながら、場所や日取りを決めましょう。
また、内輪のお祝いとは別に、親族以外の方々が集まって盛大にお祝いするということもあるかもしれません。この場合、多数の出席者の都合がありますので、日取りは必ずしも誕生日でなくても構いません。誕生日以降の日曜や休日に会場をとると良いでしょう。その際、招待状の発送や出欠の返事は早めに行いましょう。招待状は２週間前までに先方へ届いていることが望ましいです。なお、宴席を設定するときに気をつけたいのは、主賓が１００歳を超えた高齢者だということ。場所や時間など無理をさせないように気をつけてお祝いしたいものです。

茶寿の贈り物とそのお返し

贈りものに適しているのは？

賀寿の贈り物というと、還暦のお祝いで有名な赤い色の頭巾やちゃんちゃんこのような昔からの定番があります。茶寿の場合では、古稀（数えで７０歳）以降の賀寿で伝統的に紫の座布団を贈った風習が当てはまります。なぜ紫色かというと、高貴な色であると同時に無病息災を表す色とされたことによります。
上記のような、伝統的な贈り物をおくるのもよいですが、今の時代に合わせた贈り物でも構いません。毛布、膝掛け、衣類、アクセサリーなどの実用品や趣味に関するものを贈るのもよいでしょう。いずれの場合にせよ、本人に喜んでもらうことが大切ですから、できることなら希望を事前に把握しておきたいところです。好みが分からなければ、カタログギフトを贈るという選択肢もあります。
なお、一般に地味なものは避け、いつまでも若々しくという願いを込めて、より華やいだ色合いのものを選ぶのが良いとされています。
贈る際の体裁は、のし付き、水引は紅白か金銀の蝶結びとし、表書きは「祝茶寿」「寿」「寿福」「御祝」などとします。水引に関してですが、賀寿は何度あっても良いお祝いごとですので、蝶結びとされています。間違っても、繰り返さないことを意味する結び切りの水引を用いないようにしましょう。
また、お祝いの相場は３千円から５万円と幅がありますが、子から親への場合は３〜５万円、孫から祖父母へは１〜３万円、親類からは１万円がおおよその目安となっているようです。

贈り物へのお返し

お返しは特に必要とされていませんが、お祝いの席の引出物としてお返しをするのが一般的なようです。引出物として伝統的なものには、寿の文字の入った紅白の饅頭や餅、同じく寿の文字を染め抜いた風呂敷や袱紗（ふくさ）などがあります。なお、お祝いにいただいた金品の額にかかわらず、全員に同じものを贈ります。
引出物にはのしをつけ、水引には普通のお祝いのときに用いる紅白の蝶結びのものをつけ、表書きを「内祝」とします。