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二百十日とはどのような日?
九月(長月)
 
雑節
 

二百十日とはどのような日?

二百十日と書いて「にひゃくとおか」と読む、この日は季節がどのような時期か示す雑節という目安のひとつの日になります。稲の開花時期と同時に台風襲来のシーズンが重なっているため、農家には注意が必要な季節だとされています。このページでは二百十日の由来やどのような日なのかを紹介しています。

雑節、二百十日はどのような日なのか

二百十日は何から数えて二百十日?

二百十日は、雑節と呼ばれる季節の変化を把握するための目安のひとつです。何から数えて二百十日というのかというと、立春から数えて210日目ということになります。立春は二十四節気という古代の中国で考え出された季節の区分のひとつです。先に出た雑節は、中国と日本で実際に感じる季節感のずれを修正するために、二十四節気を導入した日本が独自に付け足したものです。また二百十日のみならず、八十八夜や二百二十日(にひゃくはつか)などの雑節が、立春を起点として日数をカウントした名前がついています。こうしたことから察せられるかもしれませんが、立春は様々な季節の区分のスタート地点となっています。これは立春が農耕のスタート時期になっているからであり、そもそも暦や季節の区分が作られた理由が、今のような気象情報などの無い時代に、天候や季節の影響を大きく受ける農業生産を円滑に行うために必要だったことにもつながります。
ですから、二百十日が現代のカレンダーの上で何日になるかは、その年の立春次第になります。立春はおおよそ2月4頃になり、二百十日は9月の1日頃になります。

二百十日はどのような季節感の日なのか

現在の暦では、9月の頭の辺りになる二百十日は稲の開花時期にあたり、お米を作る農家にとっては非常に重要な時期になります。しかし、この二百十日から10月末にかけては、同時に台風が日本によく接近・上陸して来る時期でもあります。台風は育てている農作物に大きな被害を与える恐ろしい災害です。こうした自然災害に警戒を呼びかける意味合いで、二百十日という雑節が作られたのだといわれています。また変わったところでは、中国で厄日に設定されていた百五日を倍にしたという話もまた一説あります。

約800年間使われてきた暦の改定時にできた二百十日

この二百十日を決めたのは、渋川春海という17世紀半ばから18世紀初頭にかけて活躍した江戸時代の天文学者だといわれています。平安時代からそれまで約800年に渡って同じ暦が使われていました。この暦は中国の唐朝から導入したもので、そもそもの日本と中国の緯度経度も違えば、実際に観測される太陽や月の動きとのずれも蓄積している状態でした。この暦を改定したのが渋川春海という人物です。前例を覆すのは昔の日本でも大変だったようで、暦の改定が認められるまでには難事だったようですが、貞享2年(1685年)から「貞享暦(じょうきょうれき)」という初めて日本人の手による暦が施行されるようになりました。
二百十日を決めた理由には、品川の高齢の漁師から必ず立春から210日に台風が来ると聞いたとも、過去に到来した台風の日を集計して決めたともいわれています。

二百十日の行事など

二百十日の安全祈願と五穀豊穣

先に紹介したように、二百十日の時期は稲の開花時期にあたります。順調に受粉することで実が成るわけですから、とても重要な時期です。しかし、それまでの作業を無にさせかねない、台風という自然災害がやってくる確率が高い時期にも入ります。こうしたことから、昔の農家は風鎮祭や風祭りを行って、育てている農作物が被害を受けないように祈願したようです。このお祭りは各地でそれぞれの様式で、また時期も二百十日前後に限らず行われていました。風日待(かざひまち)といって仕事を休み、集落や村落で集まって飲食をすることもあれば、村の神社に篭って祈願する風篭り、風止め篭りをすることもあったようです。
現代でもそうしたお祭りを大々的にやる地域もあるようです。たとえば、奈良県生駒郡の龍田大社は風の神様として古くから信仰を集めている神社ですが、7月に「風鎮大祭」という五穀豊穣を願うお祭りがあります。また、山形県東根市の若宮八幡神社で8月の最終日曜日に行われる「風まつり」では、「太々神楽」という舞を奉納して五穀豊穣を祈願します。また、地域住民によるものとしては富山県富山市八尾町の「おわら風の盆」が有名です。9月1日から3日にかけて行われる風神鎮魂のお祭りです。

現代でも無視できない自然の脅威

現代では農業に携わる人口が昔に比べると激減していますから、あまり二百十日を意識することは無いかもしれません。また、カロリーベースでの食料自給率が4割を切る日本にあっても、主食用のお米の自給率はなんと100%をキープしていると発表されています。とはいうものの、1993年に起きた米不足の騒動(このときは冷夏と長雨によるとされています)などを考えると、台風などの自然災害が廻り廻って、日々の食卓を襲うことも無いとは言い切れないでしょう。近隣に二百十日のお祭りなどがあれば、出かけていって台風の害からの安全や五穀豊穣を祈願してみてはいかがでしょうか。