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八朔とはどのような日?
八月(葉月)
 

八朔とはどのような日?

八朔(はっさく)とは、旧暦の8月1日のことです。またその日に行われる行事のことも指します。また、柑橘類のフルーツのはっさくも漢字で書くと八朔になります。もちろん、日付の八朔に関連してフルーツに名前がつけられました。また、八朔という贈答品のやり取りがあった時代もありました。こうした情報を取り上げて、八朔がどのような日なのかをこのページでは紹介しています。現在ではあまり意識されない日かもしれませんが、昔その日に込められていた意味を意識すると、日々に変化が出て刺激になるかもしれません。

八朔の日付と、フルーツのハッサク

八朔の日付はいつになるのか?

八朔とは、8月の朔日(ついたち、さくじつ)であることを示しています。そして、朔日とは新月の最初の日ということを表しています。つまり、旧暦の8月1日ということになります。現在のカレンダー上では、8月下旬から9月下旬のどこかに当てはまります。また、新暦の8月1日をそのまま八朔として用いる場合もあります。

柑橘類の八朔との関連

現在、はっさくという音を聞けば、多くの人が連想するのは柑橘類のはっさく(八朔)ではないでしょうか。ミカン科の分類に属する、堅くて分厚い皮と強い酸味や苦味のあるあの果物です。漢字で書くと同じなように、両者には関連性があるようです。
フル−ツのはっさくが発見されたのは、比較的最近の話で、江戸時代末期のことといわれています。広島県にあるお寺の住職が、たまたま境内で発見したものと伝えられています。そして発見者の住職が八朔の日にならないと食べられないから、という理由ではっさくという名前をつけたとも伝わっているようです。ただし実際は八朔の日には、まだ十分に熟していないことが多いそうです。はっさくの発見は広島でしたが、現在は和歌山県が生産量トップなようです。
しかし、生産量のトップは和歌山に奪われたものの、はっさく発祥の地である広島も負けていません。はっさくを大福餅の餡に使用して、はっさく大福として銘菓が生み出されています。はっさくの果実を白餡で包み、それを餅で包んだ大福餅となっています。八朔前後に、よそのお宅を訪問する機会があれば、こういった季節の果物を使ったお菓子を贈り物にして、話のタネのひとつにしてみるのもいいのではないでしょうか。

八朔とたのみの節句

お中元やお歳暮に並ぶ贈答の風習、八朔の祝い

かつての旧暦にもとづいて人々が生活していた時代では、八朔は夏から秋への移り変わりのタイミングでした。そこで、秋の収穫を前に豊作を田の神様に祈願するお祭りがありました。それをたのみの節句といいます。たのみの節句には、田の実、田実、憑などの字が当てられています。また、作物の豊かな収穫を願う日であり、たのみの音は、頼みに通じることから、日頃よく頼み事をする相手へ新しく収穫した穀物を贈る風習が生まれました。この贈答の慣わしは鎌倉時代に始まったといわれています。この風習はやがて町方、いわゆる町人達の間に広まりました。一方、武家の間では八朔の祝いという名前で、主従関係をより強固なものにするために贈答品のやりとりをお互いに行ったといいます。この八朔の祝いの贈答は、面子を重んじる武家ということもあったため、贈答が過剰になり規制が入ったという話もあるそうです。頼みや八朔に倣って、親しくお世話になっている人に、何かちょっとしたギフトを送ってみるのもおもしろいかもしれません。

八朔に家康が江戸城へ入城したため徳川幕府の重要な日に

江戸時代には、8月1日が幕府を開いた徳川家康が江戸城に初めて入城した日だったため、とても重要視されていたようです。八朔の日には江戸城で大名達が、主君である将軍に祝辞を述べていたそうです。
また、かつて江戸では吉原の遊女達が白無垢の小袖を着て八朔を祝ったという話もあります。

八朔のその他のお祝い

八朔の贈答の風習は、いまやほとんど見受けられません。贈答の風習はお中元とお歳暮がすべて持って行ったかのようです。しかし、贈答の他にも現代に残る八朔の行事があります。
たとえば八朔祭りがそうです。昔のままの農村の豊作祈願の形を残したものもあれば、大名行列もあります。山梨県の都留市の地元では「おはっさく」と呼ばれる八朔祭りがあり、生出(おいで)神社の秋の祭りとして行われていますが、大名行列が目玉のようです。京都松尾大社(きょうとまつおたいしゃ)の八朔祭では、奉納相撲に神輿、盆踊り等の行事が行われています。そのほか熊本県山都町でも大造り物の引き廻しといって、大きな山車を引き回し、豊年祈願と商売繁盛の八朔祭りが行われています。このお祭りの山車は、地元の自然から素材を調達して造られるそうです。
農耕の予祝儀礼(よしゅくぎれい:前祝い)として、穂掛けの飾りつけなどして、豊作の祈願を行なっているところもあるようです。まだまだ全国各地を探せば、八朔祭りを開催しているところがあるでしょうから、まだ見たことないお祭りとの出会いを求めて探してみるのもいいかもしれません。
また京都市の祇園では、舞妓さんが唄や踊りの師匠やお世話になっている方のところへ、八朔のあいさつ回りをするのが、しきたりになっているようです。当日(新暦の8月1日)はその様子を見ようと普段以上に観光客で賑わうそうです。